INTERVIEW
SEVER BLACK PARANOIA
2016.04.04UPDATE
2016年04月号掲載
Member:Daisuke(Vo/Syn)
Interviewer:沖 さやこ
-以前はトランスの要素が強い印象がありましたが、今回はエレクトロコアを基盤に様々なアプローチをしている、新しいミクスチャー・ロックの形を提示した作品になっていると感じました。ダークな世界観でありつつも、メロディも立っている曲があるので、以前よりも幅広い人たちが聴ける作品になっているとも思います。
大勢の人に聴きやすく、といった狙いはまったくなかったですね。これは精神論なのですが"気に入ってもらえますか?"ってリスナーのみなさんの表情をうかがうような姿勢は絶対とりたくなかったので、自信を持って"聴いてくれ!"とステージに立てるナンバーを提示しようと決めていました。今作のために楽曲を25~30曲制作したのですが、あまりタイプが被らないように曲を採用していった結果、このラインナップになりました。激しく、ダークな雰囲気の中にも繊細さ、美しさがあって本当に聴きやすいと思いますよ。
-Track.5「E-Virus」はイントロのギターや、スローなパート、ストリングスの旋律、女性の声が入っていたりと、ハードな中に繊細な印象を与える日本人ならではの"わびさび"のある楽曲だと思いました。この曲を境にアルバムの趣が変わるので、とてもドラマ性を感じます。Track.6「Life in the Rain」のような感傷性もひとつのテーマでもありましたか?
「E-Virus」は、美とグロテスクをテーマに作りました。バイオハザードの"感染レイチェル"というキャラクターをご存じですか? そこから着想を得ました(笑)。僕らの過去作品の中でも特に、1stミニ・アルバム『Metasentiment』(2012年リリース)では感傷性が大きなテーマでした。僕自身が物事を楽観的に捉えることが苦手なので、「Life in the Rain」のように楽曲が感傷的な雰囲気にできあがるのが、ごく自然になっていますね。意識して作らないとハッピーな曲ができません(笑)!
-SBPにはメロディにも強いこだわりを感じます。その反面一歩も引かない楽器隊、特にドラムはかなりテクニカルなのでインパクト大です。そのバランスを取るうえでのルールやコツなどがあれば教えていただけたらと思います。
メロディこそ1番悩みますね。良いものは聴いたその一瞬で良いと感じることができるので、悩んでいる時点でそのメロディなんかボツなんですけどね。ひとつのメロディを何週間もかけて変化させて作っても、思いつきの鼻歌に負けることがあるんです。音楽ってほんとイタズラです(笑)。ルールを作りすぎたり、先入観に支配されることで制作が行き詰まることもあるので、"ここはサビだから歌が主役で、楽器隊は目立たないように"って決めないようにしてますね。僕らのようなメタル系のバンドって、歌が主役という固定概念すら壊せるジャンルだと思うのです。サビだとしても、激しく刻みまくりましょう!
-特にTrack.10「One Last Step」は和メロで日本語もきれいに入ってきて、ダブステップやヒップホップの要素なども入っていて、生バンドの良さも感じられるものになっていると思いました。
この曲はバンド結成した当初、つまり今からもう何年も前に原案ができていたんです。結成当初はライヴでも演奏していました。そして曲ができていく中で演奏しなくなっていったのですが、ふと昔のデモ音源を聴き直しているときに"今この曲をやったら面白い"と思ったんです。そしてアンサンブルをアレンジして、歌詞を現在の気持ちに書き直して作りました。
-今回はMAKE MY DAYのIsamさん(Vo)、A Ghost of FlareのKaname Akamineさん(Vo)、BACK-ONのTEEDAさん(MC)をフィーチャリング・アーティストとして招いていますが、なぜこの3人にオファーしたのでしょうか?
僕らバンドにとって、フィーチャリングは初めての試みでした。Isamとは何年も前に渋谷CYCLONEのブッキング・ライヴで出会いました。Isamは当時組んでいたバンドで、僕はSBPで出演したのですが、そのとき彼のあの空を切り裂く様なシャウトを生で聴いてから、ずっとスクリーマーとして意識していました。そして、一緒に作品中で叫びまくってみたいなと考えていて、このタイミングで実現できて本当に良かったです。Isamありがとう! そしてその当時、A Ghost of Flareもすでにライヴ活動をしていて、僕は新宿MARZで初めてKanameさんの声を聴きました。すさまじい叫びで、ブン殴られるような感覚でしたね。ドラムのHibikiが収録楽曲「The Last Vengeance」(Track.7)の原案をドラムから制作して、そこに他のパートのフレーズを入れて作っていったのですが、曲ができあがったときにKanameさんの声がピッタリだなと思い、すぐにお願いをしました。Kanameさん最強です! TEEDAさんは僕らが遠征ライヴ先でBACK-ON と共演させていただいたときにTEEDAさんのパフォーマンスやラップを生で見聴きして、ラップ・パートがある楽曲を制作してみたいという頭の中の構想とピッタリ重なったんです。それから楽曲のデモを聴いていただいて、オファーをしました。TEEDAさん最高です!
-Track.9「Trap of Love」は特に面白い化学反応だと思いました。バンドにとってもTEEDAさんにとっても挑戦した楽曲だったのではないでしょうか。
曲調自体がこれまでになかったような雰囲気なので、たしかに挑戦でしたね。デモが完成して、ラップが入る部分の歌詞を書き始めようとしたとき、ラップ・パートはラップのプロが作った方が断然良いだろうと思い、TEEDAさんにリリックの制作もお願いしました。英語と日本語をミックスした独特のリリックや言い回し、TEEDAさんの表現を思いっきり詰め込んだ楽曲に仕上がりました。これまでのSBPにはなかった世界観が完成してるので、本当に楽しんで聴いてもらえると思います。
-今回の制作で改めて気づいたバンドのことや、今後挑戦したいことなどがあれば教えていただけますか。
やっぱりバンドは楽しい、そして思いっきり楽しんでやっていいんだと改めて気づきました。まずはツアー全日程のライヴひとつひと思いっきり暴れて、会場に来てくれる人たちと思い出をたくさん作って、ツアー・ファイナルまで駆け抜けます。そしてそのツアーの中で今後の夢や目標を、ステージで話し、語ったりしたいなと考えています。新作『ELIZA』、そして僕たち新生SEVER BLACK PARANOIAをよろしくお願いします。