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INTERVIEW

NAMBA69

2015.09.02UPDATE

2015年09月号掲載

NAMBA69

Member:難波章浩(Vo/Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

-曲を書いた時点で、そういうハモリも入れようと。

結構、レコーディング中にRyanと一緒に考えていったところが多いですね。Ryanは、すごくいろんなアイディアを出してくれるから、"こういうハモリはどうだろう、こういうのはどうだろう"って。そこでみんなで試しながら、一緒に探っていったのがほとんどですね。

-そうしたハモリもそうですし、ヴォーカルの多重感、厚みも今回より強く意識されているように思います。

そうですね。僕のメロディもRyanと一緒に考えていった部分もあるんですよ。レコーディングの現場でね。それで、ヴォーカルをダブルとか、トリプルにして録って多重っぽくなっているところはありますね。今回は、ヴォーカルがすごくいいなと思います。Ryanは前作『21st CENTURY DREAMS』も録ってもらったんですけど、それがHi-STANDARD(以下:ハイスタ)の『ANGRY FIST』以来だったんですよね。ほんと久しぶりだったけど、俺の声はやっぱり、Ryanとのマッチングがいいんだなと思って。ハイスタのあの抜け感は、Ryanのものだったんだなっていう。そのくらい、ヴォーカルのプロデュースがハンパないんですね。

-何かアドバイスなどもあるんですか。

常に言われたのが、"リラックス、リラックス"ということ。僕は結構、力んで歌いがちなんですけど、その力んだものを録らないんです。全部、リラックスした声で歌ったものしかOKテイクにならなかったんですよ。それは大きかったんじゃないかな。自分もすごく発見だったし。レコーディング後のライヴも、あまり力まないで歌うようになって。抜けがよくなってきているんですよね。やっぱり、Ryanとレコーディングするとバンドがよくなる。それはハイスタもそうでしたけど、NAMBA69も前作を録った後は明らかにライヴが変わったし、今回もまた変わっているので。また今回のアルバムの曲をライヴでやるのが楽しみですよね。

-K5さんとSAMBUさんもコーラスもばっちりきめてくれそうですしね。

コーラスの練習をしないとなと(笑)。

-その他の曲についてもお聞きしていきます。まずTrack.3「WALK」、これは冒頭のギターと歌とによるエモーショナルなパートから引っ張り込んでいく、美しい曲ですね。

かなりエモーショナルな部分がありますね。この曲は唯一、僕の個人的な思いを歌ったものなんです。ハイスタが活動休止して、沖縄に行っていたときの気持ちというか。沖縄に行って、ひとりになっちゃったよっていう、そのときの歌なんですね。

-なぜ、今それが形になったんでしょう。

そう、なぜ今かなんですよね。今、ハイスタもみんないい感じだし、NAMBA69もすごくいい状態でがっちりとしたバンドとして固まってきたんですよね。それで、あのとき言えなかったことが今だったら言えるなっていう気持ちになれたんですよね。今この歌を歌うことで、例えば今、すごく大変な思いを抱えている人が、"俺も歩き出そう"って思えたり。"難波もあのときは大変だったんだな。でもあんなに今は元気なんだな"とか、"俺も今歩き出せば、大丈夫だろうな"と思ってもらえたらいいなと。それであえて今、歌っているんです。

-では書きながら、当時のことを思い起こす作業も。

そうですね。でも誰しもこういうことはあると思うんです。歌詞では、ただ歩くしかないんだと言ってるんだけど、ほんとうに何もあてもなかったけど、歩き出したからこそ今があるので。今のメンバーと出会ってこうしてバンドもやっているし、今の仲間がいっぱいいるという状況がある。今、大変だなと感じている人が、この曲を聴いて元気になってくれたらいいなと思いますね。

-いろいろな思いが詰まった曲ですね。それが今こうして、"LET IT ROCK"と叫ぶことができるまでの気持ちがすべて込められていますね。

うん、ほんとそうですね。

-Track.4「BREAK IT DOWN」は、シンガロング・チューンで、今作の中でもアグレッシヴな曲ですね。

僕 Oi!パンク大好きなんですけど、シンガロングでOi!パンク調でという曲ですね。社会の中には、目に見えない壁というものがたくさんあると思うんです。例えば、あいつとあいつが分断されてるとか、なんでここが分断されなきゃいけないんだ?っていう状況がたくさんあると思うんです。あとは、自分の中で殻を破れないことがあったりね。その壁をぶち壊そうぜ、っていうことなんですよね。何か"敵"に向かっていってぶち壊そうというのではなくて、そういうものによって生まれてしまう自分の壁や、身動きがとれなくなってしまうような壁を壊そうというものなんですよね。

-そこで象徴的だなと思うのが、この次の曲でTHE BEATLESの「Revolution」をカバーしていることですね。この曲は、タイトルこそ革命というものですが、革命だっていって旗を振る曲ではないんですよね。

そうなんですよね。

-もっと皮肉な目線や冷静な視点で、革命というものを歌った曲で。何かを変えると言って、ぶち壊していくばかりでない曲です。

そうなんです、実は「Revolution」という曲をちゃんと理解していなくて。最初は、革命を起こそうという歌なんだと思っていたんです。でも歌詞をよくよく読んでみると、革命っていうのはそういうことじゃなくて、うまくいくって信じることが重要で。うまくいくのは必然だよ、うまくいくはずだよって歌ってる曲なんですよね。革命を起こそうと躍起になって戦いすぎるのは、違うんじゃないのかって言ってる感じがするんです。"ああ、それって今の俺や、自分たちに合っているな"って思った。震災以降、闘おうというメッセージを自分のソロ時代のアルバム『WAKE UP!!!』(2012年リリース)に詰め込んで。そのあと、こうしてNAMBA69というバンドになって。自分は何をメッセージすればいいのかなって思ったとき、自分の役割って、"人生楽しもうぜ"っていう部分なのかなって思った。