INTERVIEW
wrong city
2013.12.04UPDATE
2013年12月号掲載
Member:Victor (Vo) Onoshit (Gt) Atsushi (Ba) jorge (Dr)
Interviewer:篠崎 祐介
-確かに触れるのをためらうような歌詞もありますよね。
V:ハッピーな歌も好きだし、"酒が好きだ!SEXが好きだ!"って曲も大好きなんですけど、同じようなことをしててもつまらないし。やっぱりこういう人種に生まれて差別も受けてきたし、そういう俺が経験してきた悪いことをあえて書きました。俺と同じ人種に生まれてきた人が何て思うかなとか、悪い曲だけどためになる部分を引き抜いていってほしかったんですよね。
-普段感じているフラストレーションなどが歌詞に直結している感じですか?
V:そうですね。基本的にはネガティヴですね(笑)。「the Everything」とか初期の曲は、周りに寄せてラヴ・ソング気味な感じの歌詞にしてみたんですけど、自分の性格上女々しいから若干マイナスな感じはありますね(笑)。でもどうせ書くならこういう方が俺っぽいなと思ってます。
-確かに音楽に乗せてネガティヴなことを吐き出すというよりは、ネガティヴなことをぶつけるのが音楽しかないというか、音楽に依存しているというか、そういう雰囲気を感じました。
V:そうですね。吐き出すというよりは愚痴ってる感じですかね(笑)。俺らも割と周りの人が思うほど"ウォー"って叫ぶようなバンドでもないから、ちゃんと歌詞が伝わりやすいし、ちゃんと伝えられる歌詞だと思います。
-あと感じたのは、日本のバンドが書く、日本語を英語に訳した歌詞とは違って、英語で書いた歌詞を日本語に訳してあるのを見て、"あ、こういう表現をこういう風に訳すんだ"って面白かったんです。
V:日本のバンドの英語の歌詞を見てて思うんですけど、英語のなかにも人間性がほしいんですよね。俺が凄いなって思うSiMとかは、英語の歌詞と日本語の歌詞が全然違うんですよ。人間性がにじみ出ると思うんですよね、英語って。日本の人たちが思ってる以上にパッと出てくるので、そういう英語の面白みって部分も書けたらいいなと思って書いてます。まだまだなんですけどね。
-さっきおっしゃってた差別についてですが、Track.2 「Blood libel」が人種差別についての歌詞ですね。けっこうきわどい歌詞ですよね。
V:そうですね、でも何も考えずに書いてみたんですけどね(笑)。叩かれても何しても俺の人種だからどうにもならないよって感じです。
-出身はアメリカですか?
V:アメリカです。アトランタに10年住んでて、そこから日本に移ったので、ちょうど半々ぐらいですね。アメリカでも嫌なことはあったし、日本でもありましたし、でもそれを糧にして、そういうことを経験したら良い方向に行くじゃないですか。そういうことも思って「Blood libel」の歌詞は書きました。基本的には白人と黒人の間の人種差別についての曲で。俺は何も思ってなかったんですけど、アメリカにいるときに親友が黒人だったんですよ。で、その親友が郊外で白人にナイフで切りつけられそうになった事件があって、それで怖くて家の外に出れなくなっちゃたんです。当時小さかったから分からなかったけど、今考えてみれば差別なんだろうなって。そういうところをテーマにして"白人と黒人何が違うの?"って歌ってる曲です。
-Track.4「Paraphilia」やTrack.5 「Dance Hall Drag」も官能的だったり、快楽的だったり過激な歌詞の曲ですね。
V: 「Paraphilia」は対人間犯罪って部分でレイプについて歌ってます。現代では二次元に逃げる人間もいっぱいいて、この曲の中の人物を例えにあげると二次元にハマり過ぎて現代の三次元の世界に麻痺する感覚になって、その二次元の中にある悪い部分だけをバンって放出するのは違うんじゃないかなって思ってて、そういうことを書きました。おまえは気持ちよくても俺は気持ち悪いわって。
-「Dance Hall Drag」と近いニュアンスなのかな?と思ってましたが、話を聞くと違うように感じますね。
V:どうだろう?「Dance Hall Drag」は単純に現実逃避したい子の歌だから。そういう深いことを考えずに、ノレたらいいかなって曲ですね。さっきも言ったとおり、初期の何も考えずに作っていた頃の曲ですね。
-ちなみに今回の収録曲で、最初に作ったデモに入ってたのが「the Everything」、「Dance Hall Drag」ですが、1番新しい曲ってどの曲なんでしょう?
V:1番新しい曲は「Blood libel」ですね。
-Track.6「Bullet Circle」はこの作品で唯一前向きな歌詞の曲だと感じましたがいかがですか?
V:でもこの曲も自分のなかではけっこうマイナスな曲なんです。この曲は現代社会でストレスを抱えてる、例えばサラリーマンとかが、自分に嘘をついてでも前に進もうとして、それで精神が崩壊しちゃうっていう、俺としてはこの「Bullet Circle」が第1章で、次の「Firster and Tail」が続編なんですよ。「Bullet Circle」は自分に嘘をついて前に進もうとして、その後「Firster and Tail」で人格が崩壊して鬱状態に入るっていう、俺のなかで現代の日本というイメージなんですよ。