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INTERVIEW

TRIBAL CHAIR

2011.06.06UPDATE

2011年06月号掲載

TRIBAL CHAIR

Member:Hiroki(Vo)

Interviewer:MAY-E

-お久しぶりです! 私がTRIBAL CHAIRのライヴで転換DJをやらせてもらっていたのが、今からもう5年ほど前の話になるんですよね。当時のジャパニーズ・エモ・シーンって一丸となって盛り上がっていこうとする、いい雰囲気がありましたよね。

うん、懐かしいですね!かなり。

-その頃と比べると、日本でも海外でも、いわゆるエモ・シーンの勢いは失速してしまったように感じますが、現在の音楽シーンをどう感じていますか?

僕らはバンドを結成してもう8年目になるんですけど、生き残っているバンドと消えていくバンドとの差がすごく激しくて。やっぱり同業の俺らから見ていると、素直に活動を楽しんでいるバンド、つまりマイペースにやっているバンドこそ今も生き残っている気がしています。マネーじゃない部分っていうのかな、いつでもフットワークが軽くて遊びに行けちゃうようなバンドこそが今も生き残って、そしてシーンを支えているように思うんですよ。大人が仕掛けてくれたバンドが逆に消えて行っちゃった、みたいな。だから、日本だけじゃなく海外もそうだと思うんですけど、今生き残っているバンドは本物なんだろうなって感じていますね。

-それは、具体的に挙げるとしたらどんなバンドでしょう?

いっぱい居すぎて名前を挙げるのも、僕らより全然先輩だから畏れ多いんですけど、単純に僕がキッズの頃から見てたバンドが今も続けてるってのは本当にすごいと思います。
FACT、NATURE LIVING、ENDZWECK、FC FIVEとかね。世界を股にかけて活躍してきましたからね。これからCROSSFAITHやFear,and Loathing in Las Vegasみたいな若い連中が、将来的にそういう存在になっていくんでしょうね。

-そうですね。勢いのある若手のバンドも増えてきましたよね。

そうですね。最近良いバンド出てきましたね。彼等のように、5年前はまだ高校生だったやつらが今は第一線で活躍しているんですよね。面白いですよ。もちろん、プレイヤーとして新しい世代に刺激を受けることもありますし。自分も歳を取ったんだなぁと思うと同時に、シーンも循環しているんだなって。そんなことを最近よく実感しますね。

-シーンの循環って、本当に早いですよね。

うん、早いです。ただ、俺らはライヴハウスの流行廃りの中心にいるバンドだとは思っていないんですよ。昔はパンク・シーンを意識していたこともあったけれど、今はシーンじゃなく、バンド単位で自分達のやるべき事を淡々と頑張っている感じです。俺らが大きくなれば周りも勝手についてくるだろう、みたいな。だから今のシーンに寂しさを感じることはあまりないですよ。俺らがかつてそこに居たことは間違いないし、根っこはアンダーグランドで同じライブハウス育ち。どうせ消えてくやつは消えるし、その反面、ずっと現役で頑張っている連中もいるから、それでいいのかなって思っています。

-なるほど。TRIBAL CHAIRと昔から親交の深いバンドのひとつにFACTがいますが、彼らのブレイクを機に、初めてスクリーモという言葉を知った日本のファンもいると思うので、FACTが日本の音楽シーンのひとつの起点になったと言えると思うのですが、どんな風に捉えていますか?

うん、彼らは今すごいことになってますよね。1000円くらいのチケットを手売りしていた10年前には想像も付かなかった状況なわけで。ただ、当時から"なぜこの音楽がメインストリームにならないんだろう"ってすごく思っていました。当時からバンドをやっているエモ、ハードコア、ニュースクール・シーン畑の連中......俺に限らず、きっと"ああ、俺たちのいた場所は、音楽は間違ってないんだ"って感じてくれたと思う。だから、俺は彼らのことはすげー応援しています。

-なるほど。

今までアンダーグラウンドで生きていた連中の中から、やり方を変えないまま、初めてメインストリームに出ていった訳ですからね。しかもセールス的にも認められて。それはそれで色んな苦労やプレッシャーがあると思うけど、自分の仲間やまだ日の目を見れない音楽達がそういう風に認められていくのは、やっぱり嬉しいですよ。

-そうですね。TRIBAL CHAIRの新作『Crows in the cloud』を聴いて、そんな風にシーンが移り変わっていく中でもバンドの軸がぶれないのがあなた方の凄いところだなぁと思いましたよ。

うん、やっぱりピコピコ系もヘヴィ系もみんな一括りに"ラウド"って言われますけど、その中でも俺たちはあくまでロック・バンドでいたいんですよね。メロディがあって、ギターがあって、ベースがあって、ドラムがあってっていうシンプルな枠の中でやっていますけど、派手さよりも自分たちらしさを意識するようにしています。その辺が、軸がぶれてないって言われるところなのかもしれないですね。

-そうですね。そういったバンドの方向性は、作品ごとにメンバー間で話し合って共有しているんですか?

いや、今までは自然にやっていたんですよ。2年前に出したセルフ・タイトルのアルバムまでは"俺らはこういうバンドなんで、知って下さい"って感じでした。ただ、今作はセルフ・タイトルのアルバムを出してからの一枚目ということもあって、"こういうアルバムを作ったんですが、どうですか?"っていう感じ。作品の方向性ありきで制作していたんで、目的意識はメンバー全員同じでしたね。

-なるほど。新作『Crows in the cloud』、本当に素晴らしい仕上がりですね。手応えも感じていると思うのですが、いかがでしょう?

ありがとうございます。ただ、客観視できないんですよ(笑)。

-(笑)TRIBAL CHAIRにはもともとヘヴィな側面はありましたが、今作はスクリームしている曲も多いなど、最もヘヴィな作品だといえますよね。「Pray」が唯一のミディアム・ナンバーですし。

そうですね。ほとんどが疾走系っていう。

-具体的にどのようなサウンドを目指していたんでしょうか?

今回は、バンドのメンバーのルーツをクローズアップするようにしたんですよ。今まではTRIBAL CHAIRというバンドありきの曲、という考え方だったんですけど、今作はメンバーそれぞれのルーツを追及しようっていう話になって。うちのギター2人はメタルやハード・ロックが好きなんで自然と重い音になるんですけど、今作はそれを軸に進めてみようかって。