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INTERVIEW

TRIBAL CHAIR

2011.06.06UPDATE

2011年06月号掲載

TRIBAL CHAIR

Member:Hiroki(Vo)

Interviewer:MAY-E

-どんなことにインスパイアされて歌詞を書くのでしょうか?

「Synchronized red」なんかは政治について歌っている曲なんです。他の楽曲は、人間そのものがテーマになっています。善人もいるけれど、中には残酷なこともある。ずるがしこい部分も含めて、ありのままの人間らしさや日々思うことを書いています。誰も見ようとしない、見たがらない暗い部分っていうのかな、他のバンドがやらないなら俺がそういう部分も書いてやろう、みたいな。ただ"ラウド"っていっても、なるべく自分のテンションにあったものを選ぶようにはしています。同じリフものの曲でも、例えば"この曲は朝・昼・晩、どのタイミングで聴きたい?"って最初にKeitaに聞くんですよ。それを元に、自分の情景で絡ませられるものを選ぶんです。

-なるほど。歌詞の面で影響を受けたアーティストっていますか?

特に影響は受けたことはないけど、やっぱりTHURSDAYの歌詞は好きですね。文学的で。メッセージ性というとバンドのアティテュードになっちゃいますけど。

-なるほど。「Pray」なんかは、恋人にあてた曲かなぁなんて思ったんですが。

そうです。これ、妄想彼女なんですよ。今回ね、実は妄想縛りなんで、全て妄想なんです。ある一定の自分の過去を元に、違う道を歩んでいたらどんな未来があっただろうっていう妄想を綴っています。俺、今まで実体験でしか歌詞を書いたことがなかったんで、そういう意味では今回は結構苦労しましたね。

-じゃあ歌詞の面では過去作とは全く違うってことですね。

そうです、別モノです。NIRVANAでいったら『In Utero』って感じの黒いのもありつつ(笑)。知っている人たちの間では言葉にしなくても分かる感覚も、言葉にして教えてあげないと分からない現実もありますよね。その距離感にある人達に対してどう表現するか。
マスとコアの狭間で俺、根が人見知りのマイナー好きだし(笑)バンドの状況の変化に応じての表現のさじ加減だったり、自分自身の在り方について、今回はすごく悩みました。その分、より素直に人間らしさが出たかなぁとは思っています。

-TRIBAL CHAIRって、アルバムや曲のタイトルこそ英語ですが以前から日本語詞を大切にしているじゃないですか。やっぱり今作でも英語を取り入れることは考えなかったですか?

うん、まったく考えなかったですね。英語は他のバンドに任せています。外国人の前で恥ずかしくなる英語で歌は歌えない。俺は日本のロックのカルチャーの一種として日本語のロックを提言してきたし、それが他のバンドには出来ないアプローチだと思っているので。それはこれからもやっていきたいですね。

-台湾や韓国など海外ツアーも行っていますが、現地での日本語詞へのリアクションはどうなんでしょう?

簡単な言葉だったらガンガン日本語でシンガロングしてくれますよ。自分たちなりに理解しようとしてくれる人が、実は驚くほど多いんですよ。実際、海外に行くと"これってどういう意味?"って聞かれたりするんですよ。言葉って重要ですよね。 びっくりしたんですけど、実は台湾に俺らのコピーバンドがいるんですよ(笑)。

-へぇ、すごいですね!

うん。台湾って、ほんと面白いんですけど、今頃ポストロックとかスクリーモがブームなんでしょうね。インドネシアとかもやばいらしいです。俺らが海外のバンドを見るのと同じ感覚なんですよね。文化の違いはあるけれど、みんなめちゃくちゃ一生懸命なんですよ。国柄が親日だから色んな事を聞きたがるんですよね。ただ、ライヴではめちゃくちゃ盛り上がってモッシュも出来るのに、なぜかダイブは一切起こらないんですよ(笑)。なぜか上から飛ぶ奴は一人もいないっていう(笑)。

-それは面白いですね(笑)。だけど、スクリーモといえば普通だったらアメリカのシーンばかりに目がいくところだけど、ちゃんと日本のシーンにも目を向けてくれるところは親日の文化がある国らしいところですよね。

そうそう。アメリカの音楽も日本の音楽も並行して入ってくるんですよね。俺らがプレイしたのはクアトロくらいの大きさの箱だったんですけど、隣にスタジオも併設されていて。そこで働いている女性のスタッフの人なんかは、見た目はパンクなのにSAOSINが大好きって言っていましたからね。しかもENVYなんかもちゃんと聴いているみたいで。すごく不思議な感覚ですよ。向こうは、日本という島国を海外として捉えてくれているんですよね。韓国もそんな感じでした。

-韓国にも日本の音楽が浸透しているそうですね。

うん、韓国の人たちもちゃんとチェックしてくれているんですよ。

-台湾でも韓国でも、対バンはもちろん現地のバンドですよね?実際のところ、いかがでしたか?

いや、意外とヘヴィ系のバンドが多いんですよ!なんかね、ダサくなったRIZEみたいなのもいた(笑)。

-ハハハ(笑)。

あと、ミスターマウスってバンドがかっこよかったですよ。なんて言ったらいいんだろう......爽やかなTHURSDAYって感じ(笑)。

-爽やかなTHURSDAYですか(笑)。 韓国ってインターネットが盛んな反面、CDが売れない状況だっていうじゃないですか。今後のアジアでの展開はどのように考えていますか?

リリースとかは前向きに考えてますよ。向こうからいただくお話も少しずつ内容が良くなって来てるので、もっともっとライヴの機会とかも増やしたいですね。おもしろい事を一つずつ増やしていく、そんな感覚でマイペースに色んな所へ行けたらいいなって思ってます。

-そして、今作『Crows in the cloud』を引っ提げての日本ツアーが今年の9月にスタートする予定だとか。

はい、そうです。で、12月頃にまた海外に行って、年明けにまたツアーやります。

-忙しくなりますね。

そうなんですよ。なんか最近になって、ようやくアメリカのインディー・バンドばりに忙しくなってきましたね(笑)。

-(笑) だけど、こうやって海外での展開も見えてきて、結成から7年が経ちますけど、また新たなバンドの目標が見えてきたりもしているのでは?

目標は"長く続けること"ですね。前向きなメッセージだったり、前向きな音楽を、いつまで発信し続けていけるだろうかって思うんですよ。環境的な部分も含め"どこまで好きなことを続けられるか"っていう、だんだんシンプルな目標になってきている気がします。