INTERVIEW
TRIBAL CHAIR
2011.06.06UPDATE
2011年06月号掲載
Member:Hiroki(Vo)
Interviewer:MAY-E
-では、今作から曲作りのプロセスも変わったんでしょうか?
そうですね。特に今回はギターのKeitaが、まるで悟りを開いたかのようにアイデアが溢れ出していたんで(笑)、Keitaが宅録できる環境をばっちり作り上げて、いつでもデモが出来る状態にしました。で、そのデモをスタジオに持ち込んで......という感じですね。
-じゃあリフから始まった曲も多いんですね。
そうですね。ただ、曲の原型が出来ていたものも多くて。そこに俺や関根がメロディやコーラスを加えていく感じでしたね。
-では、アルバム全体を通してのコンセプトやテーマというものは特に設けなかったんでしょうか。
うん、ただ強いて言うなら、"俺たちらしいラウドさ"を表現しようとはしました。今っぽさも古くささも含めて、色んなアプローチのあるラウドなサウンドにしようと。
-そうですね。先ほど"軸がぶれない"って話をしましたが、確かに「Till it's over」のように今までにないテイストの曲があったり、「Through the night」と「BREATHE」なんかはプログラミングのアレンジが加わったりもしていますよね。
そうなんですよ。インストの「Through the night」に関しては、楽曲の世界観を押しだすための味付けではありますが、これらは自分たちのこれまでの経験から出てきたものなんですよね。昔だったら"こんなコジャレたこと出来ねぇ!やりたくねぇ!"って思っていたかもしれないですけど、今は素直に表現出来るようになりました。
-その味付けの部分を含め、苦労した点や工夫した点はどこでしょうか?
ライヴ感は大切にしたかったのでプロツールスに頼り過ぎないようにしました。今の時代、下手に弾いたって上手く聴かせることが出来る訳ですけど、だからこそそればかりに頼りたくなかったんです。いかにライヴ感を出せるか。ギターの音色、音圧、リズム、アンサンブルから歌詞の子音の響きまで...言ったらきりがないですけどアナログな録音方法でも今風の図太い音にしたかったんです。プリプロを3ヶ月くらいやったりして、その辺の細かい音つくりはかなり拘りましたね。
-では、その中でも特に注目して聴いて欲しいポイントを教えてください。
まずは「Crows in the cloud」のKeitaのギターですね。そこんじょそこらの若手の中でもKeitaが一番上手いと思うんですよ。笑っちゃうくらいにわかりやすく、派手に弾き倒してるんでそれをまず聴いて欲しいです。
一昔前のガキだった頃って、盲目的に海外のロックばかりに憧れたり、追いかける時期だったけれど、今の俺らは追いかけているんじゃなく、それに日本式に応えて、世界に発信していくべき世代なんですよね。激ロックの読者のほとんどが英語の歌詞に耳が慣れていると思うし、確かにロックそのものは元々海外のものだけれど、同じ事やってたら意味がない。だからこそ、日本人が持っている唄心とパンク/ハードコアの融合を、この作品で楽しんでもらいたいです。
サウンドに関しても、ラウドではあるけれど日本人らしいきめ細いニュアンスを大事にしています。海外のバンドの良いところを取り入れつつ、日本人らしいラウドなサウンドに仕上がっていると思うので、ぜひその辺に注目して聴いて欲しいですね。
-ありがとうございます。制作にはどのくらいの時間をかけたのでしょうか?
曲作りを入れると丸1年ですね。アルバムに収録されているのは14曲ですけど、実は30曲くらい作っていて、録ったのに出してない曲もあるんですよ。1年かけて、ずっと作っていました。
-前作からは約2年と、割と早いスパンでのリリースですが、バンド内のモチベーションもそれだけ高かったとうことでしょうか。
そうですね。この歳になってきたからっていうのもあるんですけど、昔はその場その場が楽しければそれで良かったものが、今は色んなものが見えるようになってきて。ライヴハウスひとつにしろ、そこを経営して守っていく人がいるわけで。俺たちが遊べる場所を守ってくれているわけじゃないですか。そんな風に守ってもらっている場所にお呼ばれして、皆からお金をもらってライヴをやることの責任感や喜びに気付ける様になりましたね。そういうことがバンドとして分かるようになったから、応援してくれる人に向かって"かっこつけてくるぜ!"って素直に頑張れるようになりましたね。
-歳を重ねて、初めて見えてきたものがあるってことですね。
そうですね。ツアーに出てみても、どこにいっても応援してくれている人たちがいる。そういう環境の有り難みを今学んでいるところですね。
-歌詞は今作もHirokiくんが書いているんですよね?
はい、そうです。