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INTERVIEW

DONOTS

2010.05.10UPDATE

2010年05月号掲載

DONOTS

Member:Ingo Donot (Vo)

-遂に自分のレーベルSolitary Man Recordsよりアルバム・リリースとなりましたね。いかがですか?

凄く誇りに思うし達成感があるよ。バンドの皆が遂にアルバムを完成させ、新しい曲を日本のファンの耳に届けることが出来てうれしく思っている。自分達のレーベルSolitary Man Records からリリースされるのは最高だよ。働いてくれている人たちは大好きだし、自分達がどんな風に代表されたいか自分達が一番分かっているしね。それに僕らにとっては習慣みたいなものなんだ。90年代にリリースしたDONOTS の初めの2枚のアルバムは全部自分達でやったし、16年間のキャリアの後また全てのコントロールを手に入れることが出来てクールだよ。一番うれしいのは新しい楽曲に対してとても誇りに思っているし満足だってこと!

-前作の後バンドはどのように過ごされましたか?その2年間についてどう思いますか?

前作『Coma Chameleon』のプロモーションの為ツアーをいっぱいしたんだ。日本でやったPUNKSPRINGやライヴのいい思い出や、そのほかに行った国の思い出がいっぱいあるよ。ツアーの後は休まなかったんだ。Solitary Man Records Japan はPLACEBO やTHE DROPKICK MURPHYS みたいないいバンドをリリースしていたし、DONOTS は新曲を書き始めた。そのころには僕らの住んでいるMünsterに自分達のスタジオを持ったから毎日のようにデモを作る事ができた。信じられないかもしれないけど、デモを90 曲も録音したんだ。最終的に数あるアイデアの中から15曲をレコーディングしたんだ。

-アルバムのタイトルを"Long Way Home"にしたのは?

アルバム名を"Long Way Home"した理由はたくさんある。この16年間これまで1,000 以上ライヴをしたんだけど、凄く長い道のりだったと感じるし、今でも移動をしている気がする。この旅から休みたくないみたいなんだ。これが永遠に続いたとしても僕らは幸せだよ。いつも日本に来るたび飛行機で長い道のりを家に帰ってくる気分だし。日本に友達や家族が出来たし、古い友達やそして新しい友達のためにライヴするのが待ちきれないよ。
それと僕らの昔からのお気に入りのTHE CURE やNEW ORDER、ANIMOTIONといった80'sニューウェーヴ・バンドやJohnny CashやMUMFORD AND SONSといったカントリー/ フォーク・アクト達に影響を受けているという事からもこのアルバム名はきている。日本のファンはよく知ってると思うけど、それもすべて、僕らのエネルギッシュなパンクロックの土台になってるんだ。
そうだ、日本のファンに特別なおまけとして日本盤の『The Long Way Home』のみのエクスクルーシヴ・トラックとして「We Took The Long Way Home」という曲をレコーディングしたよ。それと日本だけで、「Too Young To Be Old」っていう曲も入っているよ。これまでサポートしてくれた事に対して特別な何かをあげたかったんだ。悪くないでしょ? ;-)

-どこでアルバムをレコーディングしましたか?どれくらい掛かり、雰囲気はどうでした?

まず自分達のスタジオで仮製作し、4,5曲出来たところでMünsterの近くのPrincipal Studiosに移って最終のリアルテイクをとったんだ。アルバムを完成するのにほぼ1年かかったよ。レコーディングし、ツアーし、スタジオに戻ってそれまでにレコーディングしたものを見直し、色んな楽器を試したりして再度レコーディングした。そうしてついに年の終わりにトラックリストに入れる曲を決めたとたん"ヘイ、出来上がったぞ!これこそがアルバムでこのままで最高だ!"って分かったんだ。

-プロデューサーはどなたですか?

90年代初期からの古い友達で、彼が手がけた初期の作品が僕らの2枚目のDIYアルバム『Tonight's Karaoke Contest Winners』だというVincent Sorg。これまでもいくつかのB-sideや『Coma Chameleon』では「New Hope For The Dead」を含む3曲を手がけてくれている。
ずっとフルアルバムをもう一度一緒にレコーディングしようとは思っていたんだけど、これまではスケジュールが合わなかったんだ。VincentはDIE TOTEN HOSENというドイツの有名なロックバンドの最新のアルバムを手がける有名なプロデューサーなんだよ。とても才能のあるミュージシャンでもあり、プロデューサーで、信頼できる友達!彼の作品は凄いんだ。これもまたアルバム・タイトルを"The Long Way Home"とした理由だね。

-前作と今作の違いは?レコーディングの前にサウンドの方向性は持っていましたか?いつものDONOTS(オーディエンスが一緒に歌いたがるメロディックでポップなサウンド)とへヴィでドラマティックな進化したサウンドが融合されている感じがします。

前作『Coma Chameleon』でのチャレンジはスタジオで曲を書きその場でレコーディングをしたこと。朝その日に何をレコーディングするのか全く分からない状態。とてもリスクが多かったけど何とかできた。
今回は全ての曲を出来る限り感じたかった。「このアルバムの基本的方向性やサウンドは何か?」っていうよりは、「一つ一つの曲をユニークで個性的にするには?」って考えていた。だからすべてをもっと深く考えたし、新しい楽器を使ったり、部分的に再度レコーディングしたり、DONOTSをソングライティングの新しいレベルへ持っていった。
このアルバムの歌詞は魂をさらけ出している。自分自身に正直になって、自分について多くを発見し、「Parade Of One」といった曲では本当の話を歌っている。『The Long Way Home』はDONOTSのアルバムの中で一番深く、歌重視の真剣なアルバムだ。とても大変な作業、ストレス、汗、つば、血でいっぱいだったけれど家までの長い道のりを旅する甲斐はあったよ。

-何か新しいもの(機材など)を使いましたか?

パンクロック・バンドには想像つかないような楽器をたくさん使ったよ。アルバムのフォークの部分はコントラバスや、チューバ、メロディカ、マンダリンといった楽器が必要だった。曲をひずませないけれどラフでかすれさせるのに使われる楽器さ。「Calling」というシングルで聞こえる80年代のシンセーキーボードは僕らの80'sニューウェーヴ・ヒーローへのトリビュート。陳腐に聞こえるかもしれないけど、その曲にはぴったりで、まるで初めからその曲に含まれるべきだったようなんだ。

-ソング・ライティングに何か変化は見られましたか?

バンド全員ガレージ・バンドがついたマックブックを持っているから、皆家で曲を書いて曲がすでにデモの段階になった気になる。全体的なソング・ライティングに関して言えば『The Long Way Home』はこれまでのDONOTSのアルバムと同じようにコンパクトだけれど、より深くなった。「Parade Of One」や「Changes」といった曲は通常のアレンジメントのルールに従っていないんだけれど、アルバム全体の中ではフィットしている。アルバムの全ての瞬間を高めることを意図としていたから、瞬間の持つ素朴さを保ちつつも全てをもっと深く考える必要があったんだ。

-アルバム全体で1つの物語があるのですか?

実は初めはコンセプト・アルバムにしたくはなかったんだけれど、トラック・リストに曲を追加するたびに、ある場所から別の場所へ旅をする事や移動するっていうことがアルバムの中に入りこんできたんだ。人生の中の変化、一生の旅、常に何かを捜し求めること、家と呼ばれる場所があると知りながらたどり着けない事についてなんだ。 アルバムがその方向に進んでいるとわかったとき、アートワークも同じ流れにしないといけないと思った。そこで僕らの良い友達で写真家のPatrick Runteがすばらしい冒険の旅の風景をつくり、バンドの写真をとり、その風景に入れて写真を撮り冒険の世界を作り上げた。見て分かるようにアートワークもアルバムの濃さに沿っているんだ。大変な作業だったけれど見た目は最高でしょ。

-このアルバムを作るのに何にインスパイアされましたか?

僕らはバンドだけではなくレーベル、家族だって言う事実にインスパイアされている。やる事は全て家族としての決定であり、バンドでいる全ての瞬間を大切に思う。最近は僕らがやりたい事が何でもできるって分かっていい気分だよ。『Coma Chameleon』で既に音楽的境界線を越え、『The Long Way Home』を自分達でリリースし、DONOTSにとって可能性は無限で何もかも可能って気がする。僕らはどこへでも好きなところにいけて、ファンは例え別の惑星にでも付いて来てくれるって思えるのは最高の気分だよ。