INTERVIEW
WINTERSLEEP
2008.01.29UPDATE
Member:Paul(Vo&Gt)
Interviewer:MAY-E
―はじめまして。激ロック(https://gekirock.com/)です。
-ニューアルバム「Welcome to the Night Sky」を聴かせていただきました。エモーショナルな楽曲での温かみのあるサウンド、静と動の入り混じるダイナミズムが素晴らしい作品ですね。あなた方自身、アルバムの満足度はどのくらいですか?
ありがとう、May-E!仕上がりには凄く満足しているんだ。バンドとして活動を始めた当初から、表現したいと思っていたものを、この作品でやることが出来たと思っている。収録ナンバーを凄く気に入っているし、ひとりでも多くの人達に、ライヴで聴かせたくて、今からワクワクしているんだ。
-プログレッシヴな演奏とその世界観を引き立たせるサウンドメイキングのさじ加減が絶妙だと感じました。奥行きを増しつつも生楽器の柔らかな音の響きがとても心地いいです。こういうアナログ感のある音作りは、やはりコダワリの一つでしょうか?
初期段階のアイディアやパーツの多くは、アコースティック・ギターで作ったものなんだ。あとピアノを使ってやったものもある。だからレコーディング段階で、曲中にそういう音が織り込まれるのは、ごく自然な流れだった。
と同時に、僕達は自分達の音楽を表現するのに、色々な方法を試すのも好きなんだ。曲を一度解体して、最初の形に戻してから、また再び組み直してみたり。今では、これらをライヴでパフォームする時には、慎重に考えつつ、エレキ楽器も使っている。その方がライヴでは、曲を上手く表現出来るんだよね。
-プロデュース&ミキシングにトニー・ドゥーガンを迎えていますが、彼を起用した理由は?また、彼との仕事はいかがでしたか?
トニーは仕事場に、何よりもエネルギーと、それから刺激とそして味わいをもたらしてくれたと思う。 彼がいなかったら、このアルバムは出来なかっただろうね。
それぞれの曲を、僕達が考えていた以上のものに完成させてくれたし、彼のおかげで、とにかく凄く楽しい経験が出来た。彼が手がけたベル・アンド・セバスチャン、モグワイの大ファンなんだ。
-日本デビュー作となる今作「Welcome to the Night Sky」はアルバムのタイトル通り、夜空をイメージさせる真っ黒なカバーにぽっかりと浮かぶ満月が、シンプルだからこそ逆に印象に残るアートワークですね。中を開くと、輸入盤には歌詞は一切書いていないのですが、アルバムに歌詞を掲載しない理由を教えてください。
個人的に、歌詞を自分なりに翻訳・解釈しながら、何かを発見していく過程が好きなんだ。そういう作業って、何だか凄く心地良いと思う。そうして自分なりに解釈していく中で、何かを得たり、何かが失われていったり……そういう部分が自分は前々から好きだったんだ。
音楽を聴きながら、こうじゃないかと考えていることが、実際に綴られていることよりも、良かったりする場合もあったりして。音楽とは、メロディとそこに綴られている表現方法が全て。それは実際に書かれている内容と、同等に意味あるものだと、僕は思っている。
今回日本盤には歌詞が掲載されるからね。英語と日本語という言語の違いはあるけど、音楽を聴きながら色々と想像して解釈してみて欲しいし、歌詞を読んでまた色々な翻訳・解釈をしてみて欲しいな。
-このアルバムのテーマは何でしょうか? どのようなことが綴られているのでしょうか?
歌詞には色々なことが綴られている。なんて、ずいぶん大まかな言い方だけど。つまり、さっきの“色々な翻訳・解釈をして欲しい”という話に戻るけど(この“翻訳”って言葉、もう何度も言っている気がするなぁ!)、とにかく色々な解釈が出来るものが、僕は凄く好きなんだ。
だから作品の内容を語るのは、翻訳の過程を楽しもうって話を、ちょっと否定することになると思うんだよね。ミステリアスなものって、なかなか素敵だと思うんだ。だから、それぞれに想像をふくらませて欲しいな。
-また、曲作りにおいてどのようなことにインスパイアされますか?
色々なものからインスパイアされるから、これひとつと言うのは、本当に難しいな…。素晴らしいバンド、素晴らしい作曲家、素晴らしい人々、小説、作家、美しいカントリーサイド…。
-このようなアートワークに加え、前作は「Untitel(タイトルなし)」だったりと一貫したアーティスティックな手法からはポストロックの影響も感じられるのですが、メンバー皆さんどのようなアーティストに影響を受けたといえますか?
エリックス・トリップ、エレベーター、ディペンデント・ミュージック(僕達の愛しのハリファックス・レーベル)所属バンドすべて、レナード・コーエン、コンスタンチンズ、ソニック・ユース、ウッデン・スターズ、ロウ、ニール・ヤング、ザ・ブックス、ドゥー・メイク・セイ・シンク、ニック・ドレイク、ホット・スネイクス、モグワイ、レディオヘッド、ニーナ・シモン、ハンク・ウィリアムス、ベル・アンド・セバスチャン…レッド・ツェッペリン!…。世界中のあらゆる人達、たくさん居過ぎて、書き切れないよ。だからこれはその中のほんの一部だよ!