SiCX（シックス）が今年7月26日にメジャー第1弾フル・アルバム『INITIUM』をリリースした。パンク、ハードコア、ロック、グランジ、メタル、ジャズ、ファンク、ヒップホップなど、様々なジャンルを横断し、独自のミクスチャー・センスでかき鳴らす5人組。メンバーそれぞれルックスやファッションもいい意味でバラバラ。ひとりひとりのキャラ立ちは抜群で、個性の強い者同士が集まった結果、四方八方に刺激を放つ音像を掲げている。その意味で今作は"SiCXって、どういうバンド？"という問いに対して、明確に答えてくれる作品と言えるだろう。
ここでバンドのプロフィールに触れておきたい。Katsuhiko（Gt/Prog）とYU-$UKE（Gt）を中心に前身バンドを2011年に結成。2014年にヴォーカルが脱退することになったものの、バンドは活動継続を選択。2015年に現バンド名に変更。2016年にSHO（Vo) が入り、楽曲を一新して再始動。今に至っている。そして、現在のメンバー5人でこれまでの歴史を総括するべく、同年11月には過去楽曲をまとめたインディー盤『GRADALE』を発表した。
2017年初頭には2曲入りの1st EP『Unholiest Night』をライヴ＆通販限定でリリース。夜をテーマに据えたというコンセプチュアルな作品により、バンドの礎となるサウンドを確立する。「Taking hope」、「Myth from dark」の2曲は、その後のメジャー第1弾フル・アルバムの布石とも言えるドラマチックな曲展開で、もはやSiCX節としか言えないオリジナリティを叩きつけていた。その2曲を含むメジャー第1弾フル・アルバムは、既発曲の再録、新曲2曲（「OUTSIDE CREATURE」、「Room #100」）という構成。ただし、歌詞も一新しているので、メンバー的にはほぼすべて新曲という感覚が強いようだ。カリスマ性のあるSHOという金看板的ヴォーカリストを含む5人体制で、SiCXというバンドを音楽的に再編成、再構築したいという目論見があったのだろう。初期パンクのTHE CLASHからニューメタルのKORNを突き抜けて、今の音楽シーンにも目配せした音像は懐かしくもフレッシュな煌めきに満ちている。

今作は冒頭の2曲が新曲になっている。特に1曲目「OUTSIDE CREATURE」の破壊力は別格だ。バンド的にはやりそうでやってなかったストレート感を意識したそうで、神聖なイントロを経て、熱量漲るハードコア調のヴォーカルが鼓膜を激しく打つ。それから優美且つキャッチーな歌メロに突如切り替わるギャップ感には、ゾクッとせずにはいられない。アグレッシヴとシンフォニックな雰囲気を両手に抱きかかえ、前のめりに疾走するかっこよさは文句ナシ。続く「Room #100」はライヴを意識したのか、"ウォーウォー"のコーラスで始まる。ここでもSHOの妖艶な歌メロが際立ち、ストーリー性を感じさせる奥深い曲調だが、ロックの躍動感は微塵も失われていない。また、ベースがうねりを上げる「Faceless」、デモ音源から進化を遂げた「Strawberry Fields」など、どの曲もメンバーのルーツ音楽を感じさせながら、特定のジャンルからハミ出したSiCXらしさを封印することに奏功した。
作品全体を通して、パイプオルガン、聖歌隊、女性コーラス、ストリングスなどゴージャスな音色を積極的に取り入れたゴシックなムードと、ストリートで培ってきたミクスチャー的アプローチが融合し、バンドの持ち味と言える光と闇のコントラストと際立つ音像を屹立！ 彼らの本当の闘いは、今作から始まると言っていいだろう。

▼リリース情報
SiCX
1stフル・アルバム
『INITIUM』

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amazon TOWER RECORDS HMV

1. OUTSIDE CREATURE
2. Room #100
3. Faceless
4. Deadly Sin
5. DEAR HATERZ
6. Myth from dark
7. Strawberry Fields
8. iori
9. the grim reaper's scythe
10. Taking hope

LIVE INFORMATION
SiCX presents "Pit of Madness vol.4" -SiCX 1st Full Album "INITIUM" Release Party-

8月20日（日）新宿club SCIENCE
OPEN 18:00 / START 18:30
前売 ￥2,500（＋1D） 当日 ￥3,000（＋1D）
出演：SiCX / COUNTLOST / DISH / THE BROTHELS
DJ Dice-K（Greedy Sound Market）/ DJ MASARU（PET）