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FEATURE

GREEN DAY

2014.09.08UPDATE

2014年09月号掲載

日本限定でデモ音源と未発表曲を発売!名盤『Dookie』から20年、GREEN DAYは今も昔もこれからもポップなパンク一直線!

Writer 山本 真由

かの名盤、絶対的アンセム「Basket Case」を含む多くの名曲を収録したGREEN DAYのメジャー・デビュー作『Dookie』のリリースから早20年......さらに言うと『American Idiot』の大ヒットから10年。GREEN DAYの3部作『¡Uno!』『¡Dos! 』『¡Tré!』の制作時に録りためられたデモ音源が、なんとここ日本限定でアルバム・リリースされるという。
実はこの作品『Demolicious』は、本国アメリカでは今年のレコード・ストア・デイの限定盤として発表されたものだが、日本でのみ一般流通で発売されることとなったのだ。これまでにも、『爆発ライヴ!』という日本限定のライヴ盤シリーズをリリースしていたり、日本を大切にしてくれるGREEN DAYには、特別な思い入れのあるファンも多いだろう。
もし、あなたがそんなGREEN DAY の楽曲と共に青春を過ごしてきたファンの1人で、3部作をまだ聴いていないとしたら、この機会にまずはこのデモ集をチェックして欲しい。"GREEN DAYってまだイケてるの?""GREEN DAYってまだパンクなの?"という疑問の答えはすぐに見つかるはずだ。

今作の内容について紹介する前に、ここ数年の彼らの活動を振り返ってみよう。『American Idiot』というモンスター・アルバム、そしてその流れを汲んだ『21st Century Breakdown』が世界を席巻して以来、休みなく突っ走って来たGREEN DAY。この間、単独公演とSUMMER SONIC出演のため来日も果たし、その際には民放の音楽番組にも出演、さらにはブロードウェイ・ミュージカルとなった『American Idiot』も日本公演が実現......と、日本でもお茶の間レベルで話題となった。
『Warning』(2000年)までは確かに、いつまでもやんちゃな遊び仲間のような存在であった彼らが、パンクというアンダーグラウンドなカウンター・カルチャー・シーンにとどまらず、どんどんビッグな存在となっていく様子に、ファンは複雑な感情を抱いていたかもしれない。しかし、そんなことを言い出したらもちろん、『Dookie』のメジャー・ヒットのときも"あいつらはもうパンクじゃない"とか散々批判されたわけだけれど......多分、その第1のステップ・アップと今の彼らの躍進は比べものにもならない。なぜなら、20年前のブレイクは彼ら自身確信のあったことだろうし、時代はポップ・パンク・ブームで、まだまだ肩を並べる仲間のバンドが数多くいたからだ。それに比べると、現在の彼らは孤高の存在だ。そして、そのとてつもないプレッシャーを抱えながらも、『¡Uno!』『¡Dos! 』『¡Tré!』で1年間にアルバム3枚という偉業を成し遂げた。本当にこの人たちは才能の塊だ。20年選手となってからも、まだこんなにも音楽に対してハングリー精神があるということを証明した3部作には本当に感心させられた。

だがしかし、その3部作を完成させたあと、Billie(Vo/Gt)のプッツン騒動(ライヴの残り時間が少ないことにキレてギターをロンドン・コーリングしちゃった件)からのリハビリ療養で、ライヴやプロモーション活動を一旦お休みするという心配な状況に。このときは、本当にGREEN DAYはもうすべてを出し切って真っ白になっちゃったんじゃないかと不安になった。しかしこの作品、『Demolicious』を聴いてとても安心したというか、ウキウキしたというか、とにかくGREEN DAYがずっとGREEN DAYのままで本当によかった、ということに胸がいっぱいになった。デモ音源ならではの、バンドの一体感やライヴ感、初期衝動を感じさせるリアルな息遣い、空気感がそのままコンパイルされ、未発表曲も収録された今作からは、3部作を制作していた当時の、クリエイティヴで充実した彼らの様子が伝わってくる。この作品は、『American Idiot』と『21st Century Breakdown』から脱皮して、3部作を発表した彼らが、再びフレッシュでナチュラルな感性を手に入れ、まだまだ立ち止まらずに前に進み続けることを証明する、意思表示のようなものかもしれない。
再生開始して1発目に耳に入って来る「99 Revolutions」(デモ・ヴァージョン)のシンプルでキャッチー、そして荒々しいサウンドを聴いたら、もうまるで彼らが目の前でライヴをしているような興奮が湧き上がってくる。デモとはいってもサウンドの質はかなり良いので、良質なライヴ盤を聴いている感覚に近いかもしれない。そして何といっても注目なのが、今回初公開となるアルバム未収録曲の「State Of Shock」。この曲がまた、どの時期のどのアルバムに入っていてもおかしくない程、メロディもリフも超王道GD節が炸裂したプリミティヴなパンク・ソング。その他に収録されている楽曲も、それぞれ違ったテイストの楽曲が収録された3部作の中から、比較的わかりやすくGREEN DAYらしいものが揃っているので、3部作のおさらいとしても予習としてもちょうどいい。
これは単なるコレクターズ・アイテムにしてしまうのはもったいない!ドライヴやパーティーのお共に、ぜひテンションを上げる起爆剤としてデイリーに聴いて欲しい作品だ。

こんなふうに、常に"らしく"ありながら、過去のヒット作を引きずることなく、"懐かしい!"なんて言われる存在になり下がらずに、彼らがこんなにも変わらぬ人気を維持し続けていられるのは、やはり人々を飽きさせないソングライティングのセンスがあるからだろう。
作品ごとに様々なエッセンスを取り入れ、どれ1つとして似たような作品はないが、どのアルバムを聴いてもGREEN DAYでしかないという強烈な個性を示してきた彼ら。それは、彼らが度々GREEN DAY名義ではない覆面バンドで、ガレージやパワー・ポップに傾いた、GREEN DAYらしくはない楽曲を発表しても"やはりGREEN DAYだなぁ"と感じさせるほど確かなものなのだ。そしてGREEN DAYという大きな柱以外にも、覆面バンド(THE NETWORKやFOXBORO HOT TUBS)やサイド・プロジェクト(Billie とJason が参加しているPINHEAD GUNPOWDER)で、息抜きをしつつ自身の可能性を模索している彼らならではの音楽に対する貪欲さが、さらに楽曲に奥深さを持たせているのかもしれない。
昨年には、Norah Jonesとのコラボレーション・アルバムを発表し、のどかなカントリー・ソングに合わせて優しい歌声を披露したBillie。自身のルーツである、アメリカン・トラディショナル・ソングをバンドとはまた違ったアプローチながらも、Billieらしい親しみやすさとポップさで表現し、様々なジャンルの音楽ファンにその存在感をアピールした。GREEN DAYファンにとっては、まだまだ新たな可能性を感じさせる1面を垣間見ることができた作品だろう。

はたしてGREEN DAYの新作がいつになるのか、どんなテイストの作品になるのか、そしてどんな形式で発表されるのか......それはまだ本人たちにもわからないことかもしれないが、きっとそれがどんなものであれ、これからも彼ららしいポップでパンクな楽曲で、私たちをウキウキワクワクさせてくれるんだろう。



GREEN DAY
『Demolicious』
[WARNER MUSIC JAPAN]
WPCR-15875
¥2,457(税別)
2014.9.10 ON SALE!!
[amazon] [TOWER RECORDS] [HMV]

1. 99 Revolutions (Demo)
2. Angel Blue (Demo)
3. Carpe Diem (Demo)
4. State Of Shock (Demo)
5. Let Yourself Go (Demo)
6. Sex, Drugs & Violence (Demo)
7. Ashley (Demo)
8. Fell For You (Demo)
9. Stay The Night (Demo)
10. Nuclear Family (Demo)
11. Stray Heart (Demo)
12. Rusty James (Demo)
13. Little Boy Named Train (Demo)
14. Baby Eyes (Demo)
15. Makeout Party (Demo)
16. Oh Love (Demo)
17. Missing You (Demo)
18. Stay The Night (Acoustic)

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