DISC REVIEW
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ブラック・メタルのJ-POP化という長距離運動のエネルギーが、国境やジャンルを超える拡散を生んだ前作『アイランド』。夏をテーマに据えた同作に対し、今作で描かれるのは冬、降り積もる雪景色だ。その視覚的なイメージはソリッドなサウンドメイクへと変換され、布 大樹のシャウトは明瞭さを増して迫る。近年の国内外でのツアー経験も楽曲に大いに反映されており、ライヴ・フロアを意識して数多くの収録曲に組み込まれたシンコペーションを筆頭に、肉体的な即効性を生むアプローチが満載だ。冷たい風を受けて感覚が鋭敏になるように、社会と摩擦するなかでこそ個の痛みは増していく。それでも明日の叙景はただ、あなたを想っている。 サイトウ マサヒロ