DISC REVIEW
-
-
SLEEP TOKENが世界的大ブレイクを果たした4作目『Even In Arcadia』。シングルだけで1億ストリーミング数を突破する等、正体不明の謎に包まれたバンドが、ロックの枠を越えて音楽シーンに激震を与えている異様な状況である。多様なジャンルを高いバランス感覚でまとめた力量には驚かされる。これはメタルなのか、ポップスなのか、それ以外のジャンルなのか......果てしない論争が巻き起こっているが、彼等は今作で"SLEEP TOKENというジャンル"を確立させた。全英/全米アルバムチャート1位! という触れ込みはハイプに感じる人もいるだろうが、楽曲の高いクオリティと音質は必聴だ。2025年、避けて通ることのできないマスターピースである。 澤田 修
驚異的なブレイクスルーを成し遂げた前作『Take Me Back To Eden』から約2年を経て、SLEEP TOKENが新たな金字塔を完成させた。モダンなメタルを軸にポップやR&Bを融合させた音楽性はさらに進化し、もはや既存の枠組みでは定義不可能な程多様性に富んだサウンドへと発展している。それでもリスナーを惹き付けてやまないのは、Vesselの求心力に満ちたヴォーカルが根底に存在するからなのだろう。歌詞には成功に対する重圧が綴られているが、批判に屈することなく自らの音楽的な信念を貫く覚悟も窺える。すでに大きな論争を巻き起こしているが、メタルやヘヴィ・サウンドといったジャンル自体の可能性を劇的に拡張する歴史的作品であることは間違いないだろう。 菅谷 透