DISC REVIEW
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"ダークサイコロジカル"というコンセプトや、"絶望"と書かれた半紙を貼り付けた赤い糸が張り巡らされたアーティスト写真から、スキュラは闇と病みに染まったグループだと思われがちだろう。たしかに「スケープゴート」のように絶望を表現する楽曲もあるが、こちらでも"その先は行かせない"と歌う通り、死の淵にいる人に光を差すような、明るい世界へ導こうとするものが多い。悲しみにさいなまれた気持ちを歌った「kill me」でも、ただ病み落ちするだけではないところがこのグループらしい。失意の底にいながらも前を向いた姿を描く「操り人形」等のように、多様な表情を見せながら、闇の中に救いの手を差し伸べるナンバーが並んでいる。 長澤 智典