DISC REVIEW
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THE STORY SO FARが6年ぶりのニュー・アルバムをリリースした。前作『Proper Dose』(2018年)で少し落ち着いたというか、大人になって洗練された印象を与えた彼らだったが、久々の新作ではフレッシュな衝動を取り戻したかのようだ。パワフルなコーラスがガツンとくるTrack.1に始まり、疾走感と親しみやすいメロディでド直球なポップ・パンク・ソングのTrack.2で掴みはバッチリ。続くTrack.3のようにエモっぽい曲も、力強いドラムラインなど重厚感のあるバンド・アンサンブルで甘くなりすぎずいいバランスだ。バンドにとってはメンバー・チェンジなど大変な時期を乗り越えてのアルバムだが、初心に帰ってスッキリとしたようにパンチの効いたサウンドと、夏の終わりの夕暮れを思わせるような甘酸っぱいエモメロもあって、タイトルの"I Want To Disappear(消えてしまいたい)"っていうのもグサグサくる感じ。苦い思い出も飲み込んで先に進む前向きなパワーを貰えるアルバム。 山本 真由