DISC REVIEW
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NEW FOUND GLORYの曲名からバンド名をつけたカリフォルニア発の5人組によるニュー・アルバム。抜けるような青空の下でバカ騒ぎするというよりも、小雨がパラつく中で熱く拳を握りしめているような絵が浮かぶ音色だ。自分たちのルーツにあるポップ・パンクを軸に、憂いを帯びたエモのフィーリングを差し込み、キメ細かなアレンジも効いているところがミソだろう。絞り上げるようなパワフルなヴォーカル、重厚なリフで絡み合うツイン・ギターを含む楽器陣の演奏は芯の太い音圧で迫ってくる。ブンブンうねりを上げるベースが特徴的な「Heavy Gloom」、シューゲイザー調のスロー・ナンバー「Phantom」など、滋味豊かな曲調が揃い、アルバム・トータルで聴かせる説得力が備わっている。味わい深い。 荒金 良介