DISC REVIEW
-
躍動感と疾走感を漂わせながら、ドラマチックに"星空"への憧憬と人間の内面にある葛藤をも描き出している「SIRIUS」。小粋なリズム・ワークに、ヘヴィなギター・サウンド、グルーヴィなベースラインが錯綜しながら、やるせない心情と冬の情景がエモーショナルに歌われる「不香の花」。どこかファンタジックな響きを漂わせながら、童話"人魚姫"になぞらえ恋愛模様が綴られてゆく「泡のワルツ」。どれも丁寧に作り込まれた楽曲と、丹念に仕上げられた歌詞によって成立している印象で、聴く側に対しての説得力にも富んでいると言えるだろう。V系バンドであるという自意識がある一方、むしろギター・ロック・バンドなどからの影響も大きいと自認しているところが音にも絶妙に表れている点が面白い。 杉江 由紀