DISC REVIEW
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昨年からコツコツと新曲を配信リリースしてきたMEMPHIS MAY FIREが、満を持して3年半ぶりのフル・アルバムを発売。アルバムの情報を出さないまま、暫く立て続けにシングル曲を発表していたことで、ファンの期待は最高潮に高まっていただろう。そんな渇望は、怒濤のごとく畳み掛けるアグレッシヴな楽曲を詰め込んだ今作で得られるカタルシスに結実している。メロディのキャッチーさや、鮮やかなクリーン・ヴォーカルの魅力はありつつも、今作はガツンと叩きつけるようなヘヴィさが気持ちのいいアルバムだ。中でも、FIRE FROM THE GODSのAJ Channer(Vo)をゲストに迎えたTrack.10は、ゴリッゴリのサウンドとノリやすいリズム、ラップ、グロウル、クリーンで緩急をつけた緊張感のある展開がたまらない1曲。アルバム全体を通して、成熟したバンドのテクニックと、あるがままの初期衝動が同時に感じられる作品だ。 山本 真由