DISC REVIEW
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BAD OMENSの3rdアルバムは、"いろんな意味でアーティストとして自由になれたんだと思う"とメンバーが語るとおり、驚くほどドラスティックな変化を見せる作品となった。ストリングスを用いた強靭なメタルコアから、トリップ・ホップやハイパーポップの影響下にあるエレクトロニクスを大々的にフィーチャーしたメロディックなサウンドのオルタナティヴ・メタルへと変貌を遂げ、時にはバンド・サウンドからさえも解き放たれた、変幻自在の創造性を提示。ブチ切れたスクリームから中性的なクリーンまでひとり芝居のように表情を変える、シーン随一のヴォーカリスト Noah Sebastianのパフォーマンスも圧巻だ。これだけ楽曲ごとの自由度を高めながら、アルバム全体には統一された雰囲気が貫かれているのもお見事。過去作のようなサウンドを期待したファンは少々面食らってしまうかもしれないが、まずはぜひ通しで聴いてもらいたい。 菅谷 透