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INTERVIEW

BAD OMENS

2024.08.07UPDATE

BAD OMENS

Member:Joakim “Jolly” Karlsson(Gt)

Interviewer:菅谷 透 Translator:川原 真理子

2022年に発表した3rdアルバム『The Death Of Peace Of Mind』(以下:『TDOPOM』)の収録曲が2億回以上再生される等、もはやヘヴィ・ミュージックの枠を超えるレベルのブレイクを果たしたBAD OMENS。彼らの大ヒット・アルバムと、5月に配信リリースされ、POPPYやERRA等豪華アーティストとのコラボも収録した最新プロジェクト『Concrete Jungle [The OST]』を日本独自編成したCD『The Death Of Peace Of Mind + Concrete Jungle [The OST] (Japanese Exclusive)』の発売が決定。新世代メタルの代表格として脚光を浴びるバンドの今が詰まった本作について、ギタリストのJoakim "Jolly" Karlssonに語ってもらった。

-まず初めに、今夏のEU/UKツアーがキャンセルされましたが、現在のバンドの状態はいかがでしょうか?

状態はいいよ。僕たちにはオフの時間が必要だった。今思えば、あのツアー自体受けるべきじゃなかったと思う。すでにちょっと働きすぎだったからね。でも、今は大丈夫。(やらないという)決断を下してすべてオーケーで、みんなよく受け入れてくれた。だから今は、未来に向けてずっと気分がいい。あれは、僕たちが下さないといけないヘルシーな決断だったんだ。

-今回のインタビューでは3rdアルバム『TDOPOM』と、最新プロジェクト『Concrete Jungle [The OST]』を日本独自編成したCD『The Death Of Peace Of Mind + Concrete Jungle [The OST] (Japanese Exclusive)』が発売されるということで、それぞれの作品についてうかがっていければと思います。まず『TDOPOM』について、リリースから2年以上が経ちましたが、現在はアルバムをどう捉えていますか?

僕たちのサウンドにオリジナリティを見いだしたアルバムであることは間違いないね。自分たちの進むべき道を見つけたという点でドンピシャだった。それを思うと、あのアルバム全体の曲作りはとても楽しかったよ。パンデミックだったから、いつもとは状況がかなり違っていた。みんな家にいないといけなかったわけで、僕たちはしょっちゅうそう過ごしてた。そのおかげで、たくさんの曲を作ることができたんだ。曲作りが楽しかったし、クリエイティヴになれたんだよ。必ずしもBAD OMENS用というわけじゃなくて、単に楽しかったから曲を作っていたんだけど、その多くがBAD OMENSらしかった。曲を作る必要性に駆られていたから、とてもユニークなものになったんだと思う。そしてそれをBAD OMENSの曲に仕上げたんだ。とてもうまくいったよ。

-同作はエレクトロやシンセといったサウンドが増加し、従来のスタイルから大きな変化を遂げた作品となりましたが、このようなサウンドを志向した背景を教えていただけますか? 初めからこの路線でいこうとしたのか、徐々にシフトしていったのか、どちらなのでしょう。

みんながその方向に進んでいたんだと思う。未来はこうなるだろうという気がしていたんだ。そして僕たちはすごくクールなシンセを使っているバンドにインスパイアされたから、それを取り入れたかった。だからあのアルバムでは君が言ったように、シンセが多用されている。でも、それが僕たちの新しい方向性になると決めたわけではなかったんだ。未来はどんどん形成されていくわけで、僕たちは同じことを繰り返して同じようなアルバムを何度も作るようなことはしたくない。新しいことをやりたいけど、同時に僕たちらしいヴァイブはこのまま持ち続けていたいと思っている。要は、未来の僕たちのサウンドを模索しているんだ。楽しいよ。

-2ndアルバム『Finding God Before God Finds Me』(2019年リリース)のデラックス版(2020年リリースの『Finding God Before God Finds Me (Deluxe)』)には、DURAN DURAN「Come Undone」のカバーが収録されていました。ニュー・ウェーヴ・バンドのカバーということで、今にして思えばシンセをフィーチャーした作風に至る前兆だったような気もするのですが、いかがでしょう?

「Come Undone」をあそこに収録することになったのは、単純にあれがあったからなんだ。"この曲をカバーして、みんなの心にある種のアイディアを植えつけよう"と思ってしたことじゃない。あの曲をレコーディングしたのは、アルバムをレコーディングするよりだいぶ前のことだった。そしてあのとき、ドラムとかをレコーディングし直したんだ。要するに楽しいからやったんだよ。そして最終的にアルバムに収録されることになった。クールだと思うけど、特に意を決してやったことではなかった。単に楽しいからやったんだ。

-考えすぎでしたかね(笑)。

でも、それっていいことだよ。僕たちは、みんながそうやって考えてくれるのが大好きなんだ。このバンドには隠れた楽しみがたくさんあるし、僕たちはミステリーに溢れている。だからみんなが考えてくれるのはいいことなんだ。僕たちは仕掛けて、そして行動するからね。

-アルバムはダークな作風で、"サイバーパンク"等のワードも頭に浮かぶような世界観が提示されています。作品全体にテーマやコンセプトは設けていましたか?

設けていたと思うけど、それはNoah(Sebastian/Vo)の頭の中から生まれたものなんだ。彼にはコンセプトが間違いなくあったと思うし、あれ全体の世界観があるんだろう。だからもちろんライヴをやるときは、みんなにその雰囲気に浸ってもらいたい。でも僕はそっちのクリエイティヴな面には関わっていないから、それは僕に聞く質問ではないかな。でもコンセプトはあるよ。象徴的意味がたくさんあるし、すべてを歌詞で繋げてうまくいくようにしているんだ。点と点を結ぶ努力をかなりしたよ。そしてみんなに考えてもらって、いろんなものを見つけてもらうのはとても楽しいね。

-コンセプトはNoahの担当だとのことですが、『TDOPOM』の世界観を構築するうえで彼がどういったものからインスピレーションを受けたのかご存じですか? あなたご自身がインスピレーションを受けたものでも大丈夫です。

この映画だと特定することはできないけど、未来的なもの、ディストピア的なものは間違いなく感じるよね。昔の西部劇じゃなくてSF的だというのはわかるだろ(笑)。あと、ゲームもかなりあったと思う。僕たちが興味を持っているものだし、彼もかなり興味を持っているからね。彼がゲームを始めたのは10~15年前のことで、昔のゲームをやっていたんだけど、それが今の僕たちにインスピレーションを与えてくれる。例えば、声といったアイディアにインスパイアされるんだ。POPPYとコラボした曲「V.A.N」はそうしてできたんだよ。あの曲が古いゲームにインスパイアされたものだということを僕は知っている。15年くらい前のゲームだったかな。とてもクールだ。僕も同じようなもので、映画を観ているとサウンドトラックをよく聴くから、そこからインスピレーションを得ているよ。あと、"Mass Effect"っていうスペース・ゲームがあってね、宇宙ステーションで流れている音楽があるんだけど、僕はそれにインスパイアされてアルバムの1曲を作り始めたんだ。「IDWT$」という曲だよ。曲作りを始める際には、何かの取っ掛かりが必要なんだ。僕がゲームで聴いた5分間のループが僕の頭の中で何かを始めたら、そこから全体のアイディアを築いていくことができるんだよ。僕たちはこういうやり方が多いね。未来的な映画は重要だよ。

-『TDOPOM』では、ギタリストとしても、従来のヘヴィなリフをさらに拡張したサウンドを展開していましたが、どのような点を意識しましたか?

2ndアルバムと3rdアルバムは、僕とNoahがアルバムをセルフプロデュースしたんだ。そんなわけで、僕はギターだけじゃなくてすべてにかなり関わっていた。実は、Noahもギター・パートをかなり作っているんだ。彼は素晴らしいギタリストだからね。だからスタジオにいると、ギターはみんなの手に渡るんだ。僕はむしろ、曲の行き方とか、"ここでは何を歌っている?"、"ドラムは何をやっている?"といった全体像を見ているよ。そっちが僕の得意分野なんだ。今回のアルバムで、Noahは自分の声を見つけたと思う。2nd、3rdと聴き進むと、彼が良くなっていっているのがわかるはずだ。このアルバムでは自分の声を使いこなせるようになったんだよ。だから、これがヴォーカル主体のアルバムになることはわかっていた。ヴォーカルを際立たせようとね。だから、ギターのテクニックが云々ということではなくて、全体のバランスをサポートする役割を果たしている。でも、すごくクールなリフはあると思うな。ギターを際立たせる箇所では、とてもうまくやれたと思う。だからとてもエキサイトしているんだ。僕は常に作品全体を見て、その曲が好きかどうかを決めている。ギターがまったく入ってなくたってお気に入りの曲になり得る。肝心なのは、曲全体が僕にどういう気持ちを抱かせるかなんだ。