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INTERVIEW

BAD OMENS

2024.08.07UPDATE

BAD OMENS

Member:Joakim “Jolly” Karlsson(Gt)

Interviewer:菅谷 透 Translator:川原 真理子

"ヘヴィ・ミュージックは嫌いだけどこのアルバムは好き"と言ってくれる人が大勢いる。それはとてもクールだよ


-アルバム収録曲「Just Pretend」はSNSでヴァイラル・ヒットし、Spotifyでは現在2億回以上再生されています。バンドではこのバズを当初どのように思ったのでしょうか?

あのときの気持ちを説明するのは、変な感じだ。すごくいい曲だよ。君も賛成してくれる? いいと思う?

-もちろん!

僕たちは以前からそう思っていた。でも最初は、アルバムのシングルだったわけでもなんでもなかったんだ。TikTokから加速していったんだよ。あれで可能性が開けたんだ。僕はとても感謝しているよ。ちょっとした可能性のおかげで、予想もしなかった後押しが生まれたんだからね。僕たちが狙ったことでも、人にやらせたことでもなんでもなくて、曲によって自然と熱を帯びてきたんだ。そして、みんなが投稿を始めたんだよ。それで大勢の人があの曲を聴くことになったけど、あれ自体とてもいい曲だったから、おかげでこのバンドと他の曲もチェックしてもらえるようになった。そして僕たちを見つけてもらえて、ハードな音楽をあまり聴かない人たちも受け入れてくれるようになったという点において、「Just Pretend」はみんなが新しい音楽を聴くための橋渡しになったんだ。それ自体、とてもクールな気持ちになれる。"ヘヴィ・ミュージックは嫌いだけどこのアルバムは好き"と言ってくれる人が大勢いる。それはとてもクールだよ。とてもありがたかった。確かにあれはクレイジーなことで、あっという間の出来事だったけど、素晴らしかったよ。

-同曲のMVもヒットのあと、アルバムのリリースから1年以上経った2023年6月に公開されてますが、人気を受けて制作したのでしょうか?

話題になったから、それに伴うものを出すべきだと思ったんだ。だから、MVを作るのは正しいことだと思えたんだよ。最初から予定されていたことではなかったけど、結局作ることにしたんだ。

-ヴァイラル・ヒットを受けて、ご自身ではどのような変化を感じましたか?

僕たち全員とてものんびりした人間でね、外にもあまり出ない。だから、僕的には変化は感じないね。人気バンドにいることにうまく対処していると思うな。楽しいよ。これまでのところ問題はないし、このまま続いてくれればと思っている。でも結局のところ、自分たちの音楽を大勢の人が気に入ってくれるのは喜ばしいことだね。自分の得意なことが1つはあること、そして大勢の人に喜びを与えられることが証明されたわけだから、とても喜ばしい気持ちだ。自分たちにやれることをやって、それで他の人たちの気分を良くすることができるんだったら、周りの人に気づかれたとしてもそれはかまわない。でも僕たちはどちらかと言うと、ライヴのあとは逃げるように帰るタイプだね(笑)! こっそり抜け出してバスに乗るんだ。僕たちはかなりシャイだから、スポットライトはあまり浴びずにのんびりやりたいよ。ステージにはすでに上がったんだから、終わったあとはのんびりしたいんだ。

-すでにアルバムのツアーをこなしており、『Concrete Jungle [The OST]』にもライヴ音源が収録されていますが、収録曲の中で、ライヴでプレイするのが好きな曲はありますか?

それは反応によってかなり違うな。セットリストも自分たちのために変えているんだ。そのほうがライヴで楽しくプレイできるからね。何百回もライヴをやっていると、たまには変えることが重要なんだ。そうすれば、やっていることに対して常にエキサイトできるからね。僕が一番好きなのは、最後のほうでやる「Dethrone」かな。......これはニュー・アルバムからじゃなかったな。2ndアルバムからの曲だ。「Artificial Suicide」をやるのはいつだって楽しいよ。これはたいていセットのかなり最初のほうでやる曲で、いかにも"ライヴが始まります"という感じですごく楽しい。オーディエンスが曲に気づいてエキサイトしてくれるのは嬉しいものだ。だから、たぶんこれだね。

-ここからは『Concrete Jungle [The OST]』についてもうかがいます。昨今ではアルバムのデラックス・エディションとして未発表曲やリミックス収めた作品がリリースされるのは珍しくないですが、独立した作品として、しかもゲスト参加やライヴ音源等26曲も収録してリリースするのはなかなかないと思います。本作を制作するに至った経緯をうかがえますか?

やれると思ったからやったんだ(笑)。コラボしてくれそうな人たちからの興味がかなりあったから聞いてみたところ、大勢のクールなアーティストから承諾の返事があったんだよ。外したものは何もなかった。君が言うようにライヴ音源もあるけど、どれもすごくクールだから、僕たちのライヴの様子をみんなに聴いてもらえるのはいいと思ったんだ。でも、これが僕たちの今後のサウンドを示唆しているわけじゃない。単にコラボがたくさんあって、彼らなりのひねりを加えてほしかったんだ。そうすると、必ずしも僕たちらしいものにならないからね。すごく楽しかったよ。楽しいプロジェクトで、結果的にクールなものになったんだ。

-本作は新たなアルバムというより、バンドが発表したコミック("Bad Omens: Concrete Jungle")のサウンドトラックという扱いなのでしょうか?

その通り! これは通常のスタジオ・アルバムじゃないから、4枚目のアルバムとして数えられない。それにさっきも言ったけど、これは僕たちの今後のサウンドを反映したものでもない。かなりエクストリームなもので、単に楽しみたかっただけなんだ。というわけで、これはオフィシャル・サウンドトラックなんだよ。そういうつもりで作ったんだ。

-『TDOPOM』との関係性について教えていただけますか?

サウンドトラックの大半は、『TDOPOM』の曲やパートから生まれたんだ。ベースラインにラップを乗せたりしてね。例えば、「Artificial Suicide」のベースラインに合わせてUKラッパーがラップしている。だから、『TDOPOM』のいろんな曲やパートを借りて、考え直して他のアーティストと一緒に作り直したんだ。

-本作の制作は『TDOPOM』と同時期に行われたのでしょうか? それともあとですか?

で作ったんだ。同時期にレコーディングされたわけじゃないよ。

-本作にはPOPPY、HEALTH、BOB VYLAN、WARGASM、ERRA、THOUSAND BELOW等、様々なアーティストが参加しています。ゲストを選定したテーマや基準等があれば教えていただけますか?

これまた、一番クールなサウンドだと思ったものさ。結局採用されなかったコラボもあるんだ。気に入りはしたけど、どうもここに入れるにはしっくり来ないなと思ったものもあったんだよ。収録されたのは、いいなと思った曲なんだ。そんなに難しいことじゃなかった。もちろん、大勢の人に連絡を取らないといけなかったけどね。これの陣頭指揮を執ったのはNoahだったから、これは彼のプロジェクトとも言える。とにかくいろんなアーティストに連絡を取って、曲のやりとりをしたんだ。彼らと共に曲を変えていって、彼らと積極的に作業したんだよ。だからもちろん、作業はたくさんあった。でも楽しかったよ。これは僕たちがやりたいことでもあったけど、コラボはどんどん普通のことになっていった。特にバンド同士がコラボすることがね。数年前はそんなによくあることじゃなかったんで、なおさら楽しかったよ。特にERRAみたいな友達のバンドとコラボできたのが良かったな。プロデューサーも手を貸してくれた。とても良かったよ。とてもいい出来になった。楽しむことが肝心だよ。

-コラボ曲の新曲はNoahがまったく歌っていないもの(「V.A.N」等)もありましたが、問題はありませんでしたか?

なかったね。そのことがちょっと話題になって、コメントする人が出てくることはわかっていたけど、あれはクリエイティヴな決断だった。例えば、「V.A.N」にはNoahを入れる余地がなかった。趣味の悪くないものを入れることができなかったんだ。みんなが求めているからと言って、彼のスクリームをどこかに入れればいいというわけにはいかなかった。この曲には必要なかったんだ。肝心なのは曲なんだからね。ああいうコラボをして、クリエイティヴな決断をするのは面白いよ。たとえ歌っていなくても、彼はかなり関わっていたんだ。曲を作って、歌詞を作って、プロデュースするときも彼は関わっていた。歌詞の大半は彼が書いたはずだ。"なぜ彼は歌っていない?"、"何が起こっているんだ?"って思った人もいるだろうけど、楽しいからだよ(笑)。

-基本的には、各楽曲をアーティストに送ってエディットしてもらったのですか? アーティストが曲作りやアレンジに関わることはあったのですか?

コラボ・アーティストには、考えていることを伝えないといけなかった。だからもちろん、アイディアの交換はしたよ。"これはすごく良かった"、"これはあまり良くなかった"というやりとりをした。夕食を作っているとするよね。10分間作ったあと出ていって、他の誰かがやって来て10分間料理する。それからまた自分が戻って来て料理する。完璧な料理を作ろうとするけど、作っているタイミングはそれぞれ違っていて同時じゃない。でも、向こうから送られてきたものが良ければそれに取り組むんだ。そうしてゴールに到達することを願うわけだけど、それが難しいこともある。特に何十曲も取り組んでいるとね。でも、すごく良かったと思うな。どれもとてもいい出来になったよ。

-機会があれば今後コラボしてみたいというアーティストはいますか?

いい質問だ。コラボのことはほとんど考えないんだ。むしろ、自分たちが何を作れるかを考えているからね。ちょっと変に聞こえるかもしれないけど、僕はいつだって、自分たちが何かを思いつくと気分が盛り上がるしエキサイトするんだ。でも誰かな? AURORAみたいなアーティストとだったらクールかな。僕はノルウェー人シンガーのAURORAが大好きなんだ。彼女は本当にクールな声の持ち主なんだよ。もしくは、天使のような声を持つ女性シンガーがいいな。

-両作品とも実験的なサウンドを大胆に取り入れており、バンドの挑戦的な姿勢が窺えます。近年では新世代メタルの代表格として名前を挙げられることも多いですが、そうした革新的なマインドを保つためのモチベーションやアイディアはどのようにして得ているのでしょうか?

これまたいい質問だ。以前の僕たちは何も開拓しようとしていなかった。単に作りたいものをできる限り忠実に作っていただけだ。それしかやりようがなかったんだよ。そして前作にはそれが示されていたと思う。正直で忠実な曲作りであることがね。もちろん、いろんなものみたいに聞こえているさ。インスピレーションの源は聴けばわかる。THE WEEKNDみたいに聞こえるところもあるだろうし、Post Maloneみたいに聞こえるところもあるだろうし、メタル・バンドっぽいところもあって、SLIPKNOTみたいに聞こえるところもある。いろんなものが詰まっているけど、それが完璧な形でミックスされているところが肝心なんだ。そのためにはインスパイアされ続けないといけないし、他のアーティストがやっていることを聴かないといけない。そして、ひたすらトライすることだね。ボールを蹴るのと同じで、やればやるほどもっといいアイディアがやって来て、もっと面白いものができるんだ。そうなったときはわかるよ。アイディアがすぐに湧くこともある。シャワーを浴びているときにアイディアがたくさん湧く人もいる。答えるのがとても難しい質問だけど、とにかくクリエイティヴであり続けて、常に楽しむことだね。プロセスに逆らわないこと。そして自分が邪魔にならずに曲が自ずとできるような方法を見つけられたら、それがベストなやり方だよ。複雑な考え方だけど、"曲そのものの邪魔にならないこと"が一番簡単な言い方だ。

-2018年には来日公演("Bad Omens Japan Tour 2018")を行っていますが、当時のことは覚えていらっしゃいますか?

もちろんだとも! これまで世界中のいろんな国に行ったけど、日本はとてもスペシャルだ。とても美しい、別世界だよ。あの地に降り立つと、景色が違う。とてもクールだ。ほんの短い間しかいられなかったから、個人的にはバンド抜きで行きたいね! そうすれば観光客になって、心から楽しむことができるだろ。ツアーだと、それはなかなかできないからね。でも日本のことは覚えているし、早くまた行きたいよ。もちろん、ライヴもやりたい! いつだって楽しいから。

-来日公演を行うアイディアは実際にあるのでしょうか?

チャンスはあるはずだよ。今はなんとも言えないけど、僕たち全員日本が大好きだし、しかるべき時が来たら行くから、アンテナを張っておいてくれ! 行くからね!

-最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

今言ったように、本当に日本に行って君たちのためにプレイできたらと思っているよ。僕は早く行きたくて仕方がない! プレイしようがしまいが、美しい国だからね。それまで元気でね。じきに会おう。