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DISC REVIEW

IDEAL

NAZARE

『IDEAL』

Release Date : 2019-07-03
Label : unknown words

ここまでフル・アルバムを含む3枚の音源を、流通をかけずにリリースしてきたNAZAREが、満を持してリリースする初の全国流通音源となる1stシングル。8弦ギターとベースとドラムがヘヴィなユニゾンを決める「IDEAL」は、一躍彼らの名を知らしめた「幸福論」と同じように、NAZAREの"核"とも言えるメタル・サウンドを聴かせてくれる。また、この曲で澪(Vo)自身の"表と裏"を書いたことで、NAZAREの音楽性の幅広さを感じさせるスロー・ナンバー「閉鎖的、屈辱の雨」では弱気な澪の"裏"を、ライヴ映えしそうなハードコア的な爆発力を持つ「INSOMNIA」では強気な澪の"表"を表現し、コンセプチュアルでNAZAREの"らしさ"が詰め込まれた1枚となった。 オザキ ケイト

理想は高ければ高いほど、志を明確に持つ者を然るべき場所へと導いていくはずだ。元DIMLIMの壱世(Dr)が立ち上げたNAZAREは2018年11月に始動したばかりであり、流通盤としては今作が初のシングルとなる。表題曲は凶悪なメタルコア系の音像を軸としながらも、サビメロはあくまで叙情的であると同時に、カップリングの「閉鎖的、屈辱の雨」は哀切の漂う風情と溢れるような激情が交錯するミドル・チューン。ラストの「INSOMNIA」は、ソリッドで殺伐としたヘヴィ・サウンドが刺激的に展開していくなかで突如キャッチーな要素も弾ける、ライヴ映えしそうな1曲だ。平成の30余年で一時代を築いたV系界隈はもはや混沌としているが、NAZAREにはその名の如くシーンの救世主となってもらいたい。 杉江 由紀