DISC REVIEW
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揺れる天秤が意味するものとは、なんなのか。"Libra"と冠された今作で、FIXERはバンドとしての"新章"を紡ぎ出したかったのだという。ヘヴィ・チューンでありながらも、どこかにクリアさを感じさせるリード曲「アスタリスク」といい。敏腕ベーシスト 70.の弾くスラップと、童歌がモチーフとして織り込まれている「空蝉」といい。とつとつとしたテンポ感の中で、AikaとYuhmaによるギター・アンサンブルが、ドラマを生み出してゆくディープな「蜉蝣の夢」といい。Koreyの叩き出すリズムの鋭さが、不穏なうねりと融和する「hollow」といい。今作では、各曲にFIXERの新機軸が込められているらしい。斬新なほどに叙情的な美旋律が疾走し、Jeyの歌がリアルに響く「アザレア」はリード・チューンでもいいほどの存在感だと言えよう。 杉江 由紀