DISC REVIEW
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メジャー・デビュー10周年記念のベスト・アルバムを間に挟んで、前作から4年ぶりにリリースする5作目のアルバム。多発性硬化症のため、ドラマーがバンドを一時離脱するという逆境をバネにカナダの硬派パンク・バンドは持ち前の闘争心を取り戻したようだ。Track.4「Louder Than The DJ」を始め、初期のころを思わせる激しい曲を多めに収録。その一方で、シンセも使いながらMUSEとDEPECHE MODEを掛け合わせたというTrack.9「Horses & Chariots」や彼ら流のディスコ・ナンバーのTrack.11「February Winds」を始め、新境地にも挑んでいる。6分を超えるスロー・ナンバーのTrack.6「Rabbit Down The Hole」も聴き応え満点だ。バンドの成長は前2作でアピールした成熟とはまた違う方向に向かい始めたようだ。 山口 智男
"SUMMER SONIC 2005"での初来日から11年、今年の"SUMMER SONIC"でまさかの再来日が決定している、カナダの国民的パンク・バンドによる、約4年ぶりとなる最新作。日本も含めて世界同時発売となる本作は、長年苦楽を共にしたメンバーのひとり、Aaron Solowoniuk(Dr)が病気のために活動を休止、彼抜きで作られた初めてのアルバムでもある。初期の彼らが持っていた強烈なテンションこそ減退したものの、骨太なリズム隊を軸に、アルペジオや耳に残るギター・リフをうまく盛り込んだバンド・アンサンブルの妙は健在で、男の哀愁が絡みついた、激エモーショナルなメロディが今まで以上に押し出されているのが印象深い。幅広い楽曲が並ぶ中、決して揺らぐことのないBILLY TALENT節がここにある。 井上 光一