DISC REVIEW
-
NINE INCH NAILSやMARILYN MANSONがブームとなる前から、いち早く日本のポップ・フィールドにインダストリアル・ロックを広めた今井と藤井によるユニット、SCHAFTの最新作。ヒリヒリとした緊張感に包まれ、無機質なビートと凶暴なノイズ、衝動的でありながら緻密に構築された音が描く漆黒のサウンドスケープは、強固な塊となって肉体を震わす。旧い器材で録ったという音質はどこかノスタルジーを感じさせ、いい意味で粗く仕上げられた効果によって生身の感情が浮き彫りに。実験的でありながらもキャッチーな歌モノが際立っており、見た目よりもとっつきやすいので、ダンサブルなロックが好きなキッズにもオススメしたい。現代において斬新な響きをもたらす、インダストリアル愛に満ちたアルバム。 KAORU