LOUD PARK 08特集｜SLIPKNOTライブレポート！！

Report : MAY-E

会場が暗転し、スタンド席でも多くの人が立ち上がる。暗幕が中央からゆっくりと開くと、ゴールドのど派手なドラムセットが顔を出し、ブルー、パープル、グリーンの照明に怪しく照らし出されたステージが現れる。バックには大きな旗が掲げられ（これがライブ中に３回ほどチェンジする）、おどろおどろしくも過激なステージセットに目を奪われていたのも束の間、オーディエンスの大歓声とともにメンバーが登場だ！

１曲目は「Surfacing」。初っ端から「ナカユビタテロー！」とお得意の決め台詞も飛び出した。ドラムセットを挟んで二ヵ所に設置された火炎装置から、ボンっと炎が大きく噴き出し、ジョーイのドラムのリズムに合わせて動く照明の煽りもうけて、アリーナは早くも渦を巻いている。

その後は「The Blister Exists」「Get This」「Before I Forget」と過去作からのセレクトが続く。私はスタンド席からアリーナを見おろしていたのだが、集ったMaggots達が一丸となって手拍子をし、飛び上がり、モッシュをし、そしてそのモッシュの渦からペットボトルの水が噴水のように湧き上がる様は実に壮観である。４ｔｈアルバム「All Hope Is Gone」をリリースした直後だということもあり新譜中心にプレイするのかと思いきや、過去作の人気曲もばっちりとカバーした最もフェスらしいセットリストだった印象だ。

「アリガトーゴザイマース。コンニチハ、ラウドパーク！ハハハハハ」とコリィもなんだか上機嫌。４ｔｈアルバム「All Hope Is Gone」が世界各国でチャートの１位になったことを語り、それに対してオーディエンスから歓声と拍手が沸き起こると「アリガトー。アリガトー」と返すなど、一見SLIPKNOTらしくないような温かい空気が流れたのだが、それがとても微笑ましく思える。

さらにコリィ、「コノ曲ハ、ディザスタデース」と日本語で曲紹介までやってのけた。ここからまたバンドもオーディエンスもエンジン全開。「Dead Memories」ではステージが真っ赤に染まり「サワゲー！」と言われても、アリーナはもうこれ以上騒ぎようがないくらいに騒いでしまっている。１．５倍速のイントロで始まった「The Heretic Anthem」は、サビの「６６６」に合わせて炎がボンッ、ボンッ、ボンッ、と上がるんだから、スタンドで見ていた私も興奮を抑えることがもう出来なかった。

その後、照明が落ちてスモークがもくもくと出てくる。「ドウモアリガト、マゴッツ」と言いながらコリィはペコリと一礼。「People = Shit」、そして「ワンモア、サワゲー！」で最後の最後に「（sic）」をプレイしたアンコールでは文字通り会場が爆発するような盛り上がりを見せ、SLIPKNOTのショウタイムは終了した。

ジョーイを乗せたままドラムセットが回転するなどの過激なパフォーマンスや、炎や照明を使った派手な演出はもちろん印象に残るのだが、ほとんどの曲間に短いMCを挟んでいたりと、１曲１曲をとても丁寧にプレイしていることにちょっと驚いた。演出面だけでなく演奏面ももちろん上手かったので、大満足だ。そして結成当初の猟奇的で殺伐とした雰囲気の中にも、なにやら穏やかな空気がプラスされたことは、SLIPKNOTが世界的なロック・バンドの一つとなったことを印象付けているようにも感じた。(MAY-E)