LIVE REPORT
ORSEAS
2025.11.28 @EDGE Ikebukuro
Writer : サイトウ マサヒロ Photographer:紫音(Bloom)
11月28日、ORSEASがEDGE Ikebukuroにてワンマン・ライヴ"1123+365="を開催した。改名前のGrimAqua時代から毎年の恒例行事となっている同会場での周年ワンマン。現体制でORSEASとして再出発を切ってからちょうど1年のこの日は、当日券無料の大盤振る舞いで"Ariel"(ORSEASファンの総称)を理想郷へと迎え入れた。
彼等のライヴを観て改めて実感させられたのは、メンバーの圧倒的な個性だ。プレイ・スタイルのみならず出で立ちも......言わば"作画"もまるで異なる5人が、譲れない美学をステージにぶつけ、散る火花の鮮やかさこそがORSEASならではのカラーとなる。額に十字架を刻み、悪の皇帝のようなカリスマ感でオーディエンスを統制するLUM.(Vo)はもちろん、頭から白い角を生やし、凛とした佇まいで躍動感溢れる演奏を繰り出す柳(Gt)、ゴスロリ三つ編みで血の涙を流しつつ、予測不可能且つ狂気的なパフォーマンスを繰り広げるくろ(Gt)からも目が離せない。アンサンブルを支えるリズム隊は、余裕すら感じさせる堂々たる立ち姿が印象的なGoH(Ba)、端正なルックスから高精度でパワフルなドラミングを披露するSeira。目と耳がいくつあっても足りない状態だ。
ライヴ序盤に演奏された1stシングル『Crying with Regret』収録曲「哀傷雨」は、2本のギターがツイン・リード的にせめぎ合う一曲。メロディアスなフレーズの応酬で楽曲世界を紡いでいく柳に対して、くろはトリッキーな奏法を見せるばかりか、時には演奏を放棄し振付や表情等視覚でもステージを盛り上げる。そんな煌びやかなギター・サウンドとうねりまくるベース・ラインがコントラストを示す「ガラス玉」は、彼等が掲げる"人の中に必ずある二面性"というコンセプトの説得力を高めていた。
「愛葬ロマンス」、「Room No.」と客ノリ重視な楽曲たちでフロアを温めた直後、会場を包んだ静寂を切り裂くように幕を開けた「Painful Memories」。ピアノのコードの上に、LUM.とGoHによるハーモニーが煌めく。楽曲終盤、LUM.のロング・トーンは、伸びやかながら疼くような痛みを宿していた。続く新曲もミディアム・ナンバーで、静かに、ジワジワと熱量を高めていくような展開が印象的、彼等のクリエイティヴィティがネクスト・ステージへと進んでいることが分かった。
優れた表現力が発揮されるのは、スローな曲だけではない。「黄昏オフィリア」では、疾走感の中にも哀愁を感じさせる。冬、秋、雨の午後、夕暮れ、1人の夜。セットリストは様々な景色を浮かび上がらせながら進んでいた。「"Goodbye,Ms.Lawrence"」からは一段階ギアが上がったようにサウンドの迫力が増して、LUM.がシャウトのようなスキャットをかましてみせる。
"見たことない景色を見に来たから。みんなで一体となって、最高の日にしたいと思います!"。LUM.の言葉を合図に始まった終盤戦は、お構いなしにアグレッシヴな楽曲を連投。ミクスチャー・ロック的パートから幻想的なサビに展開する「空は群青に泣く」がヘドバンを誘発する。メンバーのフットワークも自在さを増し、縦横無尽にアクション。"お待たせしました、「月影ラヴドール」の時間だ!"と人気曲「月影ラヴドール」をドロップすると、"生きてる証を届けろ!"という煽りに、フロアは声とモッシュで応答した。
本編は「ECLIPSE」でフィニッシュ。"再会を誓う曲なんですけど、最近曲の意味が変わったような印象があって。これからもずっと一緒にいようっていう曲に変わりました"。定番のラスト曲だが、この日だけの特別な響きを持っていたに違いない。メンバーは一音一音を、リスナーの、そして自分自身の胸に刻み込むように繊細に歌い奏でた。
アンコールでは、一人一人がMCでこの1年間を振り返る。"とにかくいっぱいライヴができて、5人で一歩一歩力強く進んでこれた"(柳)、"自分が選んだ道は何も間違ってなかった。なのでこれからも安心してSeiraのドラムについてきてください"(Seira)、"今日はここからのスタートでもあるので、もっともっと僕等の音楽がみんなの居場所になれたら嬉しいです"(GoH)、"今この瞬間に繋がるために過去があったんだとしたら、素晴らしいことだったんだなと思ってます"(くろ)、"当分はこのキャラ設定でイキり散らかそうと思ってます"(LUM.)と、それぞれの言葉を届けた。
来年3月に2ndシングル『冥水ラカンス」をリリース、4月にSHIBUYA DESEOにて"ORSEAS 2nd ONEMAN 「WAVE DAWN」"を開催と、嬉しい発表も。さらに、艶やかさと攻撃性が交錯し徐々にダンサブルに展開する新曲「静世界~新解釈ザ・ワールド~」が初披露された。サビで観客にファイティング・ポーズを取らせ、さらに後ろを向かせるという独特の楽しみ方を提案すると、客席から"気まずいです!"の声が上がる等、和やかなムードが印象的だった。正真正銘のラストとして「Abyssally」をプレイすると、メンバーは手を繋ぎ、マイクを通さずにカーテン・コール。ORSEAS="OR死す"。その名に違わない覚悟と確信が、音、言葉、表情から確かに感じ取れるライヴだった。
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