INTERVIEW
ORSEAS
2025.09.25UPDATE
Member:LUM.(Vo) 柳(Gt) くろ(Gt) GoH(Ba) Seira(Dr)
Interviewer:サイトウ マサヒロ
要注目のヴィジュアル系バンド、ORSEASが待望の1stシングル『Crying with Regret』をリリース! 2020年にGrimAquaとして結成され、少年漫画のごとく一人一人仲間を増やしながら、2024年に完全体の5人組、ORSEASへと改名した彼等。メンバーの個性が調和を求めるよりもむしろ激しくぶつかり合うことでスパークするような全3曲で、勝負を仕掛ける準備は万端だ。11月28日の1stワンマン"ORSEAS 1st ONEMAN『1123+365=』"、そしてその先の未来で、彼等が作り上げる安息の地とは?
-前身のGrimAquaは2020年に結成されたんですよね。
柳:はい。元メンバーであるもう1人のギタリストとバンドを始めることになって、メンバーを探していたときに、セッションのライヴでGoH君と演奏したんですよ。すごくいいベーシストだから、ぜひ一緒にやろうというノリになって。LUM.君は知人から紹介されて、ライヴを観てみたら存在感や歌声がその日の出演者の中で一番カッコ良かった。
LUM.:当時、僕はバンドをやめて神戸から上京してきたタイミングで、ソロ活動をやっていきたいと思ってたんです。そこで柳から連絡を貰って、一度スタジオに入ったけど、やっぱりしばらく1人でやっていこうと。そこから2年間くらいソロを続けてたんですけどなかなか上手くいかず、今度は僕から柳に連絡しました。"まだ僕のことを好きでいてくれてますか?"って(笑)。
-構想から結成まで、数年間かかったんですね。その後、2023年にくろさんが加入して。
GoH:くろさんは、僕が何度かセッションをしたことがあって。僕等にいないタイプのメンバーだから、ぜひ入ってほしいと思ったんですよね。
-というと?
GoH:人間性もそうですし、何よりギターのプレイ。やなさん(柳)と全く違うギターを弾くし、アレンジにも個性があるので、お誘いさせてもらいました。
くろ:もともと、もうバンドをやるつもりはなかったんです。だけどめちゃめちゃ上手くてカッコいい人たちに誘われたものだから、すごく悩んだんですよ。でも、2023年の一時活動休止前にGrimAquaのライヴを観て、加入することに決めました。
-そしてSeiraさんは当初サポート・メンバーで参加していました。
GoH:これまで何人かにサポートしてもらってた中で、Seira君がめちゃくちゃいいっていうのが満場一致の意見で。くろさんと同じく、キャラクターも被ってないし。サポートを始めてから1ヶ月くらいで、正式加入することになりました。
Seira:その1ヶ月間、いろんなことを考えましたよ。ドラマーとしてのプレッシャーというか、俺の音で彼等を上に上らせることができるのかどうかと。それでも決め手になったのは、皆さんの人間性と楽曲の良さ、あとはGoHさんからの猛プッシュ(笑)。人に何かを伝える言葉遣いが上手なんですよ。引力に引き寄せられたような感覚でした。加入が決まってから、僕が車を運転してるときに助手席のGoHさんが屈託のない笑顔で"なんでも聞いてね!"ってイケメンな声で言ってくれたのがすごく印象に残ってます。
-長い時間をかけて、この5人がようやく集結しました。そして2024年11月、Seiraさんの正式加入と共にバンド名を"ORSEAS"へと改名しています。GrimAquaでの3年間も決して短くない期間ですし、勇気のいる決断だったように思いますが。
GoH:Seira君が加わったことで、言わばピースが全部揃ったので、心機一転新しく始めていきたいなと。柳は結構迷ってましたけど。
柳:バンド名を変えるっていうのは実家がなくなっちゃうくらいの感覚で、悩みましたね。GrimAquaへの愛着も思い入れも当然あったし。だけど"ORSEAS"というバンド名やそこに付随する意味にもすごく納得できたから、ポジティヴに捉えようと。
GoH:GrimAquaのときに掲げていたコンセプトや根底にあるものが、"ORSEAS"という名前になっても変わっていないから、決断できたんだと思います。
-その根底にあるものとは?
GoH:"GrimAqua"って、"Grim"が影で"Aqua"が光のような、対照的なものをイメージして名付けた名前なんです。そして、暗い現実に対して、我々が作るオアシスのような場所があって、そこで自由に泳いでほしいという意味合いを込めて、ファンのことを"Ariel"と呼んでまして。その"オアシス"というワードがそのままバンド名になったことで、よりバンドの在り方が分かりやすくなったかなと。
-ちなみに、"オアシス"と聞くとどうしてもUKのOASISが思い浮かんじゃいますよね。
LUM.:そんなバンドいるんですか? 知らなかったなぁ。
一同:(笑)
LUM.:ただ、"ORSEAS"という綴りにはこだわりがあって。もっと楽曲の中で死生観を深く描きたいという思いがあったので、"OR死す"で生きるか死ぬかという意味があったり、GrimAquaと同じく水をモチーフにして"SEA(=海)"を含めていたりします。
-改名のタイミングで、バンドのヴィジョンに変化はあったんですか?
柳:音楽的には、やってることはそこまで変わってないですね。ヴィジュアル面ではちょっと変化もありましたけど。
GoH:ヴィジュアルとこれまでの楽曲が噛み合ってないんじゃないかという印象が自分の中にあって、そこは試行錯誤中です。
-スタイリングやメイクに関して、メンバーそれぞれが異なる世界観を持っているのもORSEASの大きな特徴のように感じます。
LUM.:五者五様ですよね。ただただ、それぞれの個性をフィーチャーしているっていうか。
-いろんなアニメや映画のキャラが交ざって1本の作品に登場してるみたいな。
LUM.:"アベンジャーズ"的な感じですね。僕も、もしくろさんがいなかったら、ああいうメイクをしてたかもしれない。
柳:それはないんじゃない(笑)?
くろ:こんなのが真ん中に居たら嫌でしょ(笑)。
-ORSEASの音楽のコンセプトは"人の中に必ずある二面性"だそうですね。
LUM.:先程GoH君が言ってくれた通り、"GrimAqua"というバンド名が表していた対照的なテーマを引き継いで、今度は人間の中にある二面性を描きたいなと思うようになりまして。GrimAquaとして「月影ラヴドール」(2023年9月1日リリース)を作ったあたりから徐々にその方向性に進んでいったかな。それまでは自分と相手がいる物語を描くことが多かったんですけど、自分の心中に秘めているものを歌詞にするようになりました。
GoH:この半年間くらいで、歌詞だけではなく音でも二面性を意識するようになりました。静と動、光と影を、例えばベースのアレンジにおいても考えてます。
-その二面性のどちらにも寄り添って、生きられる場所を提供するのがORSEASというバンドだと。そういう意味では皆さんにとってライヴはとても重要な空間だと思うのですが、ORSEASのライヴの魅力とは?
GoH:自分でも言うのもあれですけど、演奏力と歌唱力にはそれなりの自信があります。
柳:あとはもう、くろさんの存在が。
くろ:ずっとどんなパフォーマンスをすればいいか悩んでたんですけど、事務所のスタッフからありのままでいいんじゃないかっていうアドバイスを受けてからは、もう何も考えてないですね。ただ、"お客さんが引いてたら楽しい"みたいな気持ちはあります。"こんなもん見せつけてやったぜ"みたいな。他のみんながカッコいいから、僕がカッコつけてもしょうがないなって。
LUM.:そんなことないよ、くろさんカッコいいよ!
-Seiraさんは、ライヴでの演奏に関して気を付けていることはありますか?
Seira:ドラムは生楽器なので、強弱は意識します。歌ももちろんですけど、楽曲の中に細かく動くGoHさんのベースや、フィーチャーしたいやなさんのギター・フレーズがちりばめられているので、それに寄り添って殺さないように。
-たしかにORSEASの楽曲は、柳さんとくろさんのツイン・ギター、GoHさんのベース・ラインがいずれも主張しまくっているのが魅力的です。
柳:そこは結構こだわってるところですね。今のシーンはシンセを多用してるバンドがほとんどじゃないですか。それを全部ギターでやろうっていうのがあって、そうすると必然的に動きがあって目立つフレーズが増えますね。
-そもそも、メンバーの皆さんはどんな音楽に影響を受けてきたのでしょうか?
LUM.:僕はSMAP、TOKIO、V6、KinKi Kids(現DOMOTO)、チェッカーズ。ヴォーカリストで影響を受けたのはZIGGYの森重(樹一)さん、ラルク(L'Arc〜en〜Ciel)のhydeさん、あとは木村拓哉さん。ヴィジュアル系は、バンドを始めてからいろんな方々の話を聞いて知っていきました。
GoH:僕も根底にあるのはJ-POPです。音楽もアコギから始めて、Mr.ChildrenやB'zを聴いてました。ベースを弾きたい、バンドを始めたいと思ったきっかけはLUNA SEAですね。そこからはPIERROT、DIR EN GREY、ROUAGEとかを弾いてましたね。
Seira:入りはマキシマム ザ ホルモン、the GazettE、NIGHTMAREとかです。好きなドラマーは、CrossfaithのTatsuyaさん、SLIPKNOTのJoey Jordison。パワー・ヒッターが好きですね。
柳:俺は最初GLAYやLUNA SEAからバンドに興味を持ち始めて、ひたすらコピーしてました。ただ、やっていくなかで徐々に、小さい頃に惹かれてた久石 譲さんのサウンドやコード感がすごく好きだっていうことを自覚し始めて。その影響を作曲やギターのプレイに活かしたりしてますね。
くろ:僕はギターを始めたきっかけがhideさんのソロ作品で、hideさんが紹介してた洋楽アーティストを聴いてましたね。いろんなジャンルに満遍なく触れてましたけど、レッチリ(RED HOT CHILI PEPPERS)、RADIOHEAD、THE SMASHING PUMPKINSとか90年代のオルタナが好きでした。
-それぞれ異なるルーツのメンバーが集まっているんですね。そんな皆さんがどんな音楽性に進むのか、共有していたヴィジョンはありましたか?
GoH:最初はなかったと思います。徐々に、柳が作る曲をメインにしていくようになりました。
柳:バンドを始めてしばらくはいろんなタイプの曲を作ってみて、ライヴでパフォーマンスをしていくなかで、"俺たちはこっちだな"っていうのがだんだん見えてきた感じです。
-"こっち"とは?
柳:一言で言うなら、THE歌モノ。ライヴで遊ぶのを目的にした曲とか、いろんな枝分かれはありますけど、一番大事にしてるのはやっぱりメロディと歌ですね。