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LIVE REPORT

Waive

2025.07.25 @恵比寿LIQUIDROOM

Writer : 杉江 由紀 Photographer:加藤千絵(CAPS)

それは1つの理由でもあるし、それだけが理由なわけでもない。今年1月に25周年を迎えたWaiveが、2026年1月4日に行われる、最初にして最後の日本武道館公演"Waive「LAST GIG.」"をもって解散するのは、紛れもない事実だが、だからこそ今この瞬間をWaiveは"生き切ろう"としているのだろう。限りある時間を余すところなく使い果たすために。

ある種"Road to 武道館"の意味合いも持つツアーとなった、今夏の"Waive GIGS 2025「蒼紅一閃 -soukouissen-」"は、昨年11月と今年5月に発表された、セルフカバー・ベスト・アルバム『BLUE ALBUM』と『RED ALBUM』を軸にした内容となっており、ファイナルとなった恵比寿LIQUIDROOMでは、"不器用だけれど懸命に明日へ駆け抜けるだけ"という歌詞が印象的に響いた「HEART.」を皮切りにして、田澤孝介の卓越した歌唱力が聴衆を惹きつけた「spanner」、コール&レスポンスで場内が盛り上がった「Lost in MUSIC.」等、珠玉の名曲たちがこれでもかと連打されることに。 また、本編佳境では観客たちが"折り畳み"に興じることになった「Sad.」や、Waiveのライヴにおける鉄板曲「ガーリッシュマインド」も交えつつ、ラストはポジティヴ・チューン「いつか」で晴れやかに締めくくってみせた次第である。

そして、アンコールでのMCにおいてはギタリストにしてリーダーの杉本善徳が、"これはメンバーにも話していない"と前置きした上で、解散に至る経緯を改めて率直にファンに語り掛けるという一幕があったのだが......その内容が翌日にネット・ニュースとなって世間を駆け巡ることになってしまったのは、なんとも今時な展開と言えようか。
なんでも、杉本は手首や頸椎を故障したのを始まりにして、現在では背中にも痺れ等が出ているそう。また、過去に患った突発性難聴に重ねて最近もメニエール病の発症等が続いているらしい。
ただ、それらの報道を受けてすぐに杉本は自身のSNSに、"とにかく病気や怪我でバンドを解散させるわけじゃない。それがトピックになって1人でも多くが関心を持ってくれるならそれはありがたいことだけど、俺の伝えたい真意やバンドの真実は「それだけじゃない」。"ともポストしている。それは当然そうだろうとも。

四半世紀もの間、一度は解散しつつも何度かの限定復活を繰り返し、2016年以降は"解散中"の看板を掲げながらもツアーを実施して、2023年4月には"再結成"を宣言すると同時に、2026年1月4日に行われる最初にして最後の日本武道館公演"Waive「LAST GIG.」"をもって解散することを発表したWaiveが、そこに至るまでの間にどれだけの葛藤や決断を迫られていたかは想像するに難くない。ましてやバンドは個人運営ではなく、メンバーの人数分に相応する人生そのものが懸かった共同体であるわけだ。

田澤が以前、本誌でのインタビュー(※2025年6月号掲載)にて"全員の意思で「ここで終わりです」と決めたからこそ、物事を進められた"と語っていたように、紆余曲折を経てきたWaiveに最高の花道を自ら用意することが、彼等にとっては1つの使命であるに違いない。

なお、この夜のアンコールにて歌われた、Waiveとしてはだいぶメタル色の強い「火花」には、"あの日の僕にまだ届くなら すべてを燃やし尽くせ!"という一節がある。すなわち、Waiveがここから駆け抜けていくことになる来年1月4日までの日々は、完全燃焼を目指すものとなっていくはず。現在進行形の物語はむしろ今からより面白くなる予感大!!

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