LIVE REPORT
WARGASM
2024.01.16 @渋谷 duo MUSIC EXCHANGE
Writer : 菅谷 透 Photographer:Sotaro Goto
UKロンドン発のロック・デュオ、WARGASMが日本での初単独公演を2デイズで開催した。2023年は初来日となったcoldrain主催フェス"BLARE FEST.2023"でのパフォーマンスが話題を呼び、同年12月にはデビュー・アルバム『Venom』の日本盤も発売されるなど、国内でも存在感を高めてきたWARGASM。そんなふたりの待望のヘッドライン・ショーとあって、幅広い年齢層のファンが会場へと足を運んでいた。本稿では公演2日目となる1月16日の模様をお届けする。
今回の公演のオープニング・アクトを務めたのは、WACK所属の7人組グループ ASPだ。アッパーな「拝啓 ロックスター様」を皮切りに、THE PRODIGYのMaximが原曲を提供した「TOXiC iNVASiON」など、パンクからハイパーポップまで咀嚼したエッジーなサウンドとアグレッシヴなパフォーマンスで観客を魅了すると、中盤ではWARGASMプロデュースの新曲「MAKE A MOVE」も披露。ファンの熱気も含めて日本のガールズ・グループ/アイドル・シーンの奥深さをアピールする絶好の機会となっていて、アクト終了後には惜しみない拍手が送られていた。
転換中のBGMにはTHE PRODIGYやLINKIN PARK、SLIPKNOTなど、WARGASMのルーツと言える楽曲が流れていたが、その中にはなんと「残酷な天使のテーゼ」も。ジャパン・カルチャーにも関心が高いふたりならではの選曲に思わずニヤリとさせられたところで、バンド名の由来でもあるL7の「Wargasm」が響き渡り場内が暗転。サポート・メンバーに続いてSam Matlock(Vo/Gt)、Milkie Way(Vo/Ba)のふたりがステージに姿を現し、デビュー・アルバムの表題曲「Venom」でライヴがスタートした。身体を突き動かす爆発的なグルーヴはまさに超ド級の迫力で、フロアは即座に沸騰し暴力と快楽が支配するカオスと化していく。
それぞれハンド・マイクを片手に持ち、革ジャンを身に纏い攻撃的なシャウトで観客のひとりひとりを煽るSam、オーバー・サイズのジャケットの下から弾帯をチラつかせつつ幽玄なクリーン・ヴォイスを聴かせるMilkieと、好対照なふたりのアクションにも一気に引き込まれてしまう。続く「Rage All Over」のアッパーなビートでさらに勢いをつけると、「Minigun」ではギターとベースを手に取り、重厚でダイナミックなリフを叩きつけていく。歓声のなかSamがお立ち台に上り中指を掲げると、そのままギターをかき鳴らし「Fukstar」をドロップ。ビッグ・ビートにメタルを注入したハイテンションなサウンドに、ダイバーが続出するほどの盛り上がりを見せていた。
"私の愛する人へ捧げる曲よ"という語りから披露された「Salma Hayek」では、トリッピーなシンセ・ベースにMilkieが魔性のヴォーカルを乗せ、バンドのセクシーな側面も覗かせる。ふたりして"暑いな"と言い合ったところで、さらなる熱気を求めて「Pyro Pyro」を投下......が、Milkieがイントロで曲を止めてしまう。"何をすればいいかわかるよね?"と指をクルクル回すと、フロアも期待に応えるべく特大のサークル・ピットを生み出していく。
そうして再び演奏された「Pyro Pyro」は破格の盛り上がりで、Samは何度も"アリガトウ!"と口にしていた。Samが日本で2デイズ公演を開催できたことの感謝を伝えたあとは、Milkieの"ラヴ・ソングを演奏するわ"という紹介から「Modern Love」を披露。スマホのライトが灯され、幻想的な光景と共に一体感が醸成されていった。オーディエンスに手を掲げるよう求めたあとの「Sonic Dog Tag」では、強烈なリフとエモーションが交錯。SamとMilkieそれぞれのソロもあって、プレイヤーとしての持ち味も遺憾なく発揮されていた。息つく間もなくブレイクビーツが流れると、Fred Durst(LIMP BIZKIT)のゲスト参加でシーンを驚かせた「Bang Ya Head」へ。初日公演ではFredのパートにCrossfaithのKoie(Vo)とTeru(Prog/Vision)が飛び入り参加したことが話題を呼んだが、この日はMilkieが担当。凶悪なヘヴィネスに小悪魔的なヴォーカルがプラスされたことで原曲とはひと味違う魅力を放っており、フロアはヘドバンやモッシュ、ダイブとさらなる狂騒を見せていた。
終盤ではオープナーを務めたASPへ感謝が送られたあと、「Feral」でますますヒートアップ。続けて日本のファンのためにと披露されたのは、EP『Explicit: The Mixxxtape』の日本盤にのみ収録されている「Circle Pit」だ。Milkieの日本語ヴォーカルをフィーチャーしたアッパーチューンに、フロアは文字通りのサークル・ピットで応えていた。
また、ステージ上でDJからパーカッション、ギター・テックまで八面六臂の活躍を見せていたサポート・メンバー Adam Crillyのヴォーカル参加も特筆しておきたい。重厚なニューメタル・サウンドの「Outrage」を経て、本編ラストを飾る「Do It So Good」ではレイヴィなシンセとフィジカルなバンド・サウンドが炸裂し、オーディエンスを絶頂へと導いた。アンコールに応えメンバーが再びステージに姿を現すと(MilkieはBABYMETALの扇子を片手に登場!)、ドープなビートの「D.R.I.L.D.O」を投下。"Drink, fuck, fight, love"のコールが広がり、フロアは再び混沌へと突入していく。ラスト・ナンバーの「Spit.」ではSamがフロアへダイブ。この日最大の盛り上がりを見せ、フィナーレを迎えた。
ラウド~ダンス・ミュージックの垣根をブチ壊し、観る者すべてを踊らせる熱狂のステージを展開したWARGASM。この暴虐と快楽の宴は、次はきっとさらに大きな舞台で繰り広げられることになるだろう。
※写真は1/15の公演のものです。
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