LIVE REPORT
IRONBUNNY
2020.02.24 @新宿LOFT
Writer 宮﨑 大樹
Hina、Kotono、Minamiの女性ヴォーカル3人と、未来からタイムスリップしてやってきたサイボーグ・ギタリストのEdiee Ironbunnyからなるロック・ユニット、IRONBUNNY。4人にとっての1stワンマン・ライヴ"IRONBUNNY 1st ONEMAN LIVE「23 -twenty three-」"が、新宿LOFTで行われた。
開演前、満員のフロアを見渡すと、LED ZEPPELINをはじめとした海外のレジェンド級HR/HMバンドのTシャツを着ているオーディエンスの姿が目立って見えたことがまず印象的だった。耳の肥えたHR/HMリスナーたちからの支持をIRONBUNNYが集めていることの裏づけとも言えるだろう。
この日は、IRONBUNNYにとって初のワンマンということもあってか、フロアには高揚感と緊張感が混在する独特の雰囲気が漂っていた。そんな空気を打ち破るかのように、壮大なSEが流れ始めると大きな歓声と拍手が沸き起こる。手拍子の中、まずはサイボーグ・ギタリストのEdiee Ironbunnyが姿を現し、続いてHina、Kotono、Minamiの3人がステージに立つ。ライヴの開幕を飾ったのは、メンバーが感じたライヴでの観客との距離やつながり、熱量を歌詞のアイディアにしたという「Infinite Mirror」。この曲がオープニング・チューンに選ばれているあたり、記念すべき1stワンマンをファンと一体となって作り上げていこうとするIRONBUNNYの意志を窺えた。Edieeの力強くソリッドなギター・リフに、3人の女性ヴォーカリストの一糸乱れぬハモリ、まさに"全ツッパ"のスタート・ダッシュを決めると、「Lightning Speed」、「Steel 6 -the strong gage-」と畳み掛ける。オーディエンスと共にメロイック・サインを決めたHina、Kotono、Minamiの姿は、半年前に本誌でインタビュー(※2019年9月号掲載)をしたときとは見違えるほどにロック・シンガーのオーラを漂わせている。
"今日は記念すべき私たちの1st(ワンマン)ライヴということで、最後までみなさんと駆け抜けていきたいと思います"(Hina)、"今夜一度限りのライヴなので、来てくださったみなさんと一緒に作っていきたいと思っています"(Kotono)、"今日までみなさんに楽しんでいただけるように私たち精一杯準備してきたので、今日は最高にロックなライヴにできるように頑張ります"(Minami)と、3人がこのライヴへ込めた想いを口にし、ツーバス仕様の高速ナンバー「Struggle Lover」へ。イントロから勢い良く頭を振り乱す3人の姿は荒々しくも凛として美しい。ここまでの3曲で喉も温まり、MCによって緊張もほぐれたのか、伸び伸びとした歌声と表情をフロアに届けていく。そして、そんな3人に呼応するかのように鳴らすEdieeのテクニカルな超高速ギター・ソロは、まるで生き物のような躍動感で魅せる。美しい3声と超絶ギター・テクニックが生み出す唯一無二の音像、これぞIRONBUNNYの真髄だ。
ライヴ中盤では、ヒートアップしたステージからEdieeが不意に離れて行ってしまう一幕も。フロアに響き渡ったEdieeの声によると、どうやら彼は楽屋にいるらしく、サイボーグであるEdieeは長時間"全ツッパ"をしていると回路が焼き切れてしまうという。回路の冷却のためEdieeが不在になっている時間をさらに熱いものにするべく、ゲスト・ギタリストとして呼ばれたのは、IRONBUNNYとは対バンやラジオでの共演などで交流が深いMary's BloodのSAKIだった。彼女を迎えて、カバーのパートへ突入。POISONの「Talk Dirty To Me」と、Mary's Bloodの「アルカディア」で、一段と華やかで優雅なステージを届けていく。続くDEEP PURPLE「Highway Star」のカバーからEdieeが復活しSAKIとツイン・ギターで弾き倒す。息の合ったグルーヴ感は、長年バンド活動を共にしてきたかのような円熟味すら感じさせた。さらに、この日のためにEdieeが書き下ろしたという新曲「Strikes」をSAKIと共に披露。IRONBUNNYらしさを損なわない骨太なロック・サウンドながらも、ラップを取り入れたダークな曲調は、IRONBUNNYの新境地も感じさせる。ライヴ中ながらも、すでに今後の展開が楽しみになった瞬間だった。そうして「E.I.B.」、「23 -twenty three-」と繋げて本編を締め、興奮冷めやらぬフロアからの"アンコール"の声に応えた1曲目ではインストゥルメンタルの「Twin Flavor」を披露。時に力強く、時に哀愁漂うギター・プレイをEdieeが披露したのち、フィナーレの「Hate A Fate」ではHina、Kotono、Minamiの3人が拳を突き上げて、すべてを出し切った。
この日、1stワンマン・ライヴとは思えない磨き上げたステージを見せてくれたIRONBUNNY。ロックが廃れた未来を変えるために2300年の未来からタイムスリップして現代にやってきたEdieeと、選ばれし女性ヴォーカル3人であるHina、Kotono、Minamiの4人が歩んでいく未来征服への道のりは、きっと明るいのだろうと予感させる夜だった。
[Setlist]
1. Infinite Mirror
2. Lightning Speed
3. Steel 6 -the strong gage-
4. Struggle Lover
5. Black is the new innocence
6. One
7. Respect
8. Street Strider
9. Talk Dirty To Me
10. アルカディア
11. Highway Star
12. Strikes
13. E.I.B.
14. 23 -twenty three-
En1. Twin Flavor
En2. Hate A Fate
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