LIVE REPORT
Steve Aoki
2015.10.20 @新木場STUDIO COAST
Writer 吉羽 さおり
アルバム『Neon Future Part.1』と『Neon Future Part.2』に続き、新曲とリミックスをコンパイルした配信限定アルバム『Neon Future Odyssey』をリリースしたSteve Aokiが、5月の"electrox Beach osaka"、"Electric Zoo Beach Tokyo"に続く来日ライヴを行なった。今回は、"WIRED MUSIC FESTIVAL"でのヘッドライナーと、"CAKE MECRAZY"と題した東京、福岡でのプレミアム・パーティー。東京、福岡ともにチケットはソールド・アウトの盛況ぶりだ。東京の会場となった新木場STUDIO COASTは、開演前からとにかくにぎやか。特に会場入り口に設置されたセルフィー用のパネルは、長蛇の列ができていて一段と盛り上がっている。フロアにいるファンのカオスぶりもまた面白く、Steve Aoki主宰レーベル"Dim Mak Records"やフェスTシャツでタオルを肩にかけたロック・ファンの姿から、遊び・踊り慣れたおしゃれなクラブ・キッズ、会社帰りらしき男性や学生のグループ、そして自作の"CAKE ME"の大きなパネルを持った女の子たちとが入り混じっている状態。EDMやロック界隈のリスナーだけでなく、普段足しげくライヴハウスに足を運ばないようなライトな層までをも引っ張り込んでいく狂騒ぶりと、ハイエナジーなDJスタイルがパーティー野郎と言われる所以だろう。作品では、アーティスト的でありアルチザン的な面もしっかりとのぞかせながらも、卓の前では人一倍跳ねまわり、長い髪を振り乱し大声を上げてと、ショーのホストながら誰よりも目立つ勢いで楽しむSteve Aoki。日本人に親しみやすいそのルックスと、カリスマ感をあえて脱ぎ捨てるようなフレンドリーな佇まいやプレイ(とはいえ、世界DJ長者番付では2年連続TOP5入りというセレブぶり!)が、会場を埋める理由だ。
まずはオープニング・アクトのSHINTAROが登場。"ULTRA JAPAN"のメインステージに立ち、DJとしてもプロデューサーとしても注目を集める新鋭が、的確なプレイで一気にフロアを沸かせていく。約1時間のセットで、緊張感と昂揚感、そして時に実験的なビートで仕掛けていったりと、ドラマたっぷりの内容だ。頭からこんなにヒートアップさせてしまっても大丈夫?というくらいの、充実度。今日を迎えたオーディエンスのテンションの高さもわかる。
スクリーンに映し出された10カウントダウンの中、"Aoki(エイオーキー)! Aoki!"というSEとオーディエンスによるコールが響きわたると、"久しぶり、トーキョー!!"とSteve Aokiが登場。悲鳴のような歓声と拍手が混じり合った轟音と、スピーカーから放たれた爆音ビートが、ずしずしと会場を揺さぶっていく。アルバム『Neon Future』での曲はもちろんのこと、AVICIIなどのヒット・チューンも交えて、上昇一方の軌道を描いていくハイパーなアゲっぷりだ。そして驚くのは、みっちみちに詰まったフロアでオーディエンスが終始大合唱しているということ。Steveが両手を挙げるおなじみのポーズでジャンプをすれば、フロアもまた一斉に上へと飛び上がり、ヴォーカルがフィーチャーされた歌モノのナンバーでは、ここはスタジアムか!?と言わんばかりに、一体感たっぷりでシンガロングを聴かせる。このオーディエンスのノリがすさまじい。「I Love it When You Cry」などの大合唱ぶりとフロアから立ち上る多幸感には、こんなアンセム・チューン揃いのアルバムだったっけか?と思いめぐらすほどだ(実際、どの曲もヘッドフォンで世界観に浸るのはもちろん、ばっちりフロア対応の最強チューンと再認識した)。その他、『Neon Future Odyssey』収録の新曲「The Power Of Now」や「Cake Face」といった、ハレのダンス・チューンも披露。クライマックスはOASISの「Wonderwall」という必殺チューンで再び会場一体となっての、大合唱。大団円を迎えるかと思いきや、Steveが特大のケーキをオーディエンスに投げまくるケーキ投げへ。"Cake Me"のボードと大歓声がフロアのあちらこちらで上がり、ラストはケーキまみれで狂乱の夜を締め括った。
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