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INTERVIEW

DEZERT

2025.11.14UPDATE

2025年11月号掲載

DEZERT

Member:千秋(Vo) Miyako(Gt) Sacchan(Ba) SORA(Dr)

Interviewer:山口 哲生

今年6月から、[DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR '25-'26 "あなたに会いに行くツアー"]をスタートさせたDEZERT。昨年大成功で幕を下ろした日本武道館単独公演"DEZERT SPECIAL ONEMAN LIVE at NIPPON BUDOKAN「君の心臓を触る」"の記憶も新しいなか、次へ向かうことを高らかに宣言したミニ・アルバム『yourself: ATTITUDE』を手に、バンド初となる47都道府県ツアーで彼等は何を感じ、何を掴もうとしているのか。来年3月20日に幕張メッセ 幕張イベントホールで行われる"DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR GRAND FINAL 「僕らの音楽について」"へ向けてひた走る、DEZERTの今に迫った。

-現在開催中の[DEZERT 47 AREA ONEMAN TOUR '25-'26 "あなたに会いに行くツアー"]ですが、この取材をしている段階(※10月中旬)では29公演が終了。全行程の半分を少し越えたあたりですが、ここまでを振り返ってみての手応えをお聞きできればと思います。

千秋:結構準備して丁寧にやってきているので、上手くまとまっているとは思うんですけど、僕は20公演目ぐらいでちょっと悩んでいたというか。ライヴ自体はいいんだけど、幕張、幕張! って思いすぎていて。お客さんは入ってるけど手応えはあるのかないのかよく分からないし、どうしようかなってなかでメンバーと話して、一公演一公演やっていくしかないなという感じですかね。やっぱりその日にしか来られない地方のお客さんがいるのが僕にとってはデカいので、今日でやりきるという思いは絶対持ってます。

-そういう思いを持ちながら丁寧にやっている。

千秋:本当はそういうのってどうなんだろうとも思うんですけどね。僕はフロントマンなんでセトリとかガンガン変えたいんだけど、演奏する側からしてみれば急に変えられても練習してなくてミスするから嫌やろうし。俺はミスしてもいいと言うんですけど、そこはそれぞれの価値観があるし、それに対する理解もあるので、ある程度決められたなかでエッセンスをどう入れるかって感じですかね。だから順調と言えば順調だし、不安と言えば不安。これは当たり前でずっと変わらないことですけど、まぁ、大人になったなっていう。

-その意味でも、シンプルに"あなた"に会いに行っているというか。

千秋:このタイトルにするってことはそれを忘れないようにしてるということなんで。それでみーちゃん(Miyako)と1回バチバチの喧嘩になったときもあったし。いい思い出だね?

Miyako:ははははは(笑)。

千秋:みーちゃんがチャレンジしている難しいことの話で、"次を良くするために今日はこれをやってみる"って言ったときに、"いや、今日来てるお客さんはどうなるんだよ! 今日来るお客さんに最高のものを届けないといけないじゃん!"みたいな。みーちゃんはそういうつもりで言ったわけじゃないっていうのは分かってるんだけど、それぐらい僕はこのタイトルをかなり引きずってますね。

-Miyakoさんは千秋さんとそういう場面もあったそうですけど、現状ここまで回ってきていかがですか?

Miyako:半分ちょっと過ぎて、人間としてちょっとずつ成長できている感じがしているというか。いろんなことに対して、今までは結構狭まったところを見ていたのが広く見られるようになって、そういう意味ではちょっとずつ成長できているのかなみたいな。でも、やっぱり調子の悪い日もあるし、一歩進んで半歩下がるみたいなこともやっぱりあるけど、それも含めてすごく前向きには捉えられていて。今日は自分が納得いくものがあんまりできなかったなと思っても、ネガティヴな感じじゃないというか。次の日とか次の週に(次のライヴが)絶対やってくるじゃないですか。

-そうですね。基本的に週末に開催されていて。

Miyako:それがしばらくはずっと待ち構えてるし、そこに対してくよくよしてられないというか。進んでいかなきゃいけないとは思えているので。それが47(都道府県)ツアーのいいところかな。

-視野が広くなってきた大きな理由とか、きっかけみたいなものってあったりしますか?

Miyako:急にそうなったわけじゃないから、きっかけは何か分かんないですけど、それこそ途中で千秋君とちょっともめたというか言い合いになって。後々考えたときに、千秋君はわりと広い視点で、いろんなことをフロントマンとして見てるんだっていうことに気付いたのもあるかもしれない。

-なるほど。先程も言いましたが、今回のツアーは基本的には土日で開催していく行程になっていますけど、そういったスケジュールに関してはいかがです?

Miyako:まぁ良くも悪くもですね。いい部分もあれば、正直しんどいときもあるし。

千秋:いや、しんどいよ。しんどくないわけないじゃん。金曜日と月曜日も死にますからね?

-移動日も含めると。

千秋:つまり週の4日間死ぬんだよ? もうしんどいって言ってこ? 絶対しんどいんだもん。

Miyako:まぁね(笑)。現実問題、気持ちはあっても、47都道府県ツアーなんてバンバンやれるもんじゃないじゃないですか。もしかしたらこれが人生最後の47ツアーになる可能性だって大いにあるわけで。そう思うと引き締まるというか、本当に大事にしないといけないなって。毎週末必ずあると、流れで数ある中の1個みたいな感じに自然となるけど、そうじゃないなっていうのはありますね。

-Sacchanさん、先程Miyakoさんが、もしかしたらこれが人生最後の47ツアーになるかもしれないというお話をされたときに、頷きながら聞いていましたけど。

Sacchan:僕、頷いてました?

-なんかこう、前後に動いてましたよ。

Sacchan:たぶん細胞からもう47やりたくないっていうのが出てたんじゃないですかね(笑)。

-(笑)実際ここまでを振り返ってみていかがでしょうか。

Sacchan:スケジューリングのおかげで、聞いていたイメージよりかはいい意味でライヴに集中できているから、苦ではないんです。ただ、老いと戦ってる部分はあって。あんまり言いたくないんですけど(苦笑)、実際問題前にできていたものができなくなってきたり、気にしなくても自然とやれていたことが頭から飛ぶようになったりというのと、戦いながらやっていて。前は2デイズくらい余裕でやれてたんですけど、シンプルにちょっとしんどいなと思ってきたとか、そういうところも含めつつ、ちょっと自分と向き合ってる感もありますね。自分が今できるパフォーマンスの最大限ってどこなんだろうという。

-なるほど。

Sacchan:劣化させるってことじゃなくて、それをいいふうに使うにはどうするのがいいんだろうかというチャレンジみたいなものが、実は毎回自分の中でテーマとしてあって。その意味では、長くやればやるだけこうなってくるだろうなって想像とは逆で、毎回緊張感が増してます。ライヴに対しての緊張というよりは、このセットリストの中でこんなチャレンジがしたいって部分がどんどん増えていくので、結構しんどいですね。要するにしんどいです(笑)。

-(笑)ご自身の中での課題や目標がどんどん増えていくから大変だという。

Sacchan:そうなんですよね。具体的にここのパフォーマンスが良かったとかそういうことじゃなくて、昔はこんな雰囲気を出せていた気がするんだけど、今同じことをやろうとするとなんか違うなと思うようになってきて、昔の映像とか地味に観ちゃったりするんですよ。今までそんなことしたことないのに(笑)、急に復習しだしたりして、かっこいいと思ってたけど別にそうでもないなって改めて感じて。じゃあ、今できるかっこ良さをやらなきゃみたいな感じで、自分の中で噛み砕きながら、次のライヴで自分が納得するようにやろうと思うと、意外と時間がない。真面目にやるならこのスケジュールでギリだなと思いました。

-たしかに即席でやるのは難しい部分ですよね。SORAさんはここまで振り返ってみていかがでしょう。

SORA:ライヴは楽しいです。それ以外はしんどい。途中までは千秋がみーちゃんと喧嘩した理由でもあると思うんですけど、"今日しか来られない人もいる"、"今日で終わりかもしれない"っていうことを(千秋が)言っていて、正直違和感を感じてたんですよ。おっしゃる通りだと思うんだけど、今日で終わりかもしれないっていうことは、今日が俺のラスト・ライヴなんだと思いながらやっていたら、めっちゃしんどくて。プライベートにもいろいろ影響出るくらい。俺、きっかけって言葉が大好きなんですけど、ステージ上で何かきっかけを探しても見つからなくて、"あ、俺終わっちゃった。なんか喧嘩してるしどうしよう"みたいな(笑)。いいライヴだったのかどうかもよく分かんなくて。

-そうだったんですね。

SORA:別に病んでるとかじゃないですけどね。昔と違ってどうしたんだろう、どうすればいいんだろうみたいに思ってたんですけど、とある日に、千秋が"終わりじゃなくて始まりだと思ってやろう"って言ってくれて、それそれ! と思って。これが始まりと思ってやることで、逆にこっちがきっかけをあげればいいんだっていう。ライヴハウスを出たときに、今日から頑張ろうとかあいつウザいけど仕事頑張ろうとか、本当になんでもいいんですけど、僕はきっかけになりたいって思いながら武道館まで走ってきたんで、それでいいやって思った瞬間から、ステージ上はもう楽しくて。