INTERVIEW
DEZERT
2025.11.14UPDATE
2025年11月号掲載
Member:千秋(Vo) Miyako(Gt) Sacchan(Ba) SORA(Dr)
Interviewer:山口 哲生
-抽象的だったとおっしゃっていましたけど、『yourself: ATTITUDE』はシンプルにめちゃくちゃいい曲が多いなと思いましたよ。
千秋:そうなんすよ。ツアーは「真宵のメロディー」(『yourself: ATTITUDE』収録曲)を1曲目にずっとやってたんですけど、よく分からなくなっちゃって。途中で終盤に置いたりしたんですけど、結局またもとに戻していて。
-「真宵のメロディー」から始めてるんですね。いわゆる激しい曲ではなくて。
千秋:1曲目で"その先へ"って歌って、その後に「「変身」」っていうのもなんかなと思って。1曲目はガンガン行ったほうがお客さん的にも絶対いいから、「真宵のメロディー」を途中に変えたんですけど、やっぱり1曲目に戻さない? ってなりました。僕的には、ここ2回の「真宵のメロディー」は、かなりベストになってる。それぐらいちょっと見えてきてるから、このミニ・アルバムは「真宵のメロディー」が肝なんだろうなと思いながらやってます。
-あと、「「火花」」(2025年10月リリースのデジタル・シングル)はいつ頃作った曲なんですか?
千秋:武道館後ですね。幕張メッセが決まったときやったかな。歌詞の中の"ステージ"っていうのは、幕張メッセをイメージしてました。でも、いろんな大人の事情がありまして、ミニ・アルバムには入れられなかったんです。もともとは「「火花」」を中心に作っていこうみたいな考えが僕にはあったんですけど。だから最近作った曲では全くなく、むしろ『yourself: ATTITUDE』の中だと、「「変身」」よりも前に作ったかな。
-Miyakoさんとしては、『yourself: ATTITUDE』の楽曲をツアーでやっていてどんな感覚がありますか?
Miyako:このミニ・アルバムだからっていうわけでもないんですけど、武道館後に千秋君が作ったものに対しては、共感できるところがすごく多くて。お客さんもそう思ってるのかもしれないけど、自分に歌われてるような感覚になるときもあるんですよ。だから演奏してて気持ちがこもりやすいし、違和感なくその曲に入っていけるというか。武道館からの流れでこれを出したからそうなれているのかなと思ってはいるんですけど。
-特にこの曲は入り込んでるな、みたいなことってあります?
Miyako:それは歌詞とはまた別なので難しいんですが......聴かせるような曲じゃないけど、「「変身」」の歌詞はそうだよなってデモが来たときに思いました。でも、どの曲もそうですね。それを音で、ギターでどう表現するのか。「真宵のメロディー」とか「明日暗い月が出たなら」とかは、その日の空気感や雰囲気を受け取ってこんな音を出したいんだよな、こう届けたいなみたいなことをすごく意識しながら弾いてる感じがあります。
-「「変身」」は、あの場所まで行ければ変わると思っていたけど、結局何も変わらないしそれでも先を目指すんだというかなり生々しいというか、素直な心情が綴られていて。そういうところはMiyakoさんとしても思うところがあるという。
Miyako:武道館というものに対して、知らないうちに希望みたいなものを抱きすぎてたのかもしれない。立てることが光栄な場所じゃないですか。バンドを始めた10代のときにどこでやりたい? ってなったら、もっと広い会場はいっぱいあるけど、やっぱり武道館って頭の中にパッと出てくる場所でもあって。あと、小さい頃に父親と一緒にライヴを観に行ったこともある場所なんですよ。それもあって自然と出てくるところだったから、武道館に立つことに期待とか希望を知らぬ間に抱きすぎてたけど、そうでもないんだなっていう。 でもまぁ、なんでもそうだとは思うんです。例えば29歳で誕生日を迎えて30歳になったからって、その瞬間に何かが変わるわけじゃない。結局自分次第っていうか。別に武道館に立ったから何かが変わるわけではなくて、全てはそこからの自分次第っていう感覚はすごくありますね。
-Sacchanさんはいかがでしょうか。『yourself: ATTITUDE』や、武道館後の新曲をライヴでやっていてどんな感触がありますか?
Sacchan:自分たちであんまり言いたくはなかったんですけど、武道館をやるにあたってDEZERTが1回リセットされるんだろうなと。いろんな意味で武道館って節目になってしまうものだと思うし、これが"余裕の即完です"みたいなテンション感だったらまた違うとは思うんですけど、自分たちでどれだけ泥臭く登っていけるのか、どれだけゆっくりずっと右肩上がりにいけるのかみたいなバンドにとって、歴史を1回切ってしまう可能性もあるわけじゃないですか。それもどうなんだろうね? ってことも話し合いながら決めた武道館だったので、そこから新しいものを作るのであれば、"リスタート"みたいなものがもしかしたらキーになるんじゃないのかなと。
-なるほど。
Sacchan:実際、現状その通りになっているんじゃないかなと思いますね。DEZERTっていうバンドの六角形のプロフィールがあるとすると、わりと各方面バランスが取れていて、いいところを全部拾っているのは間違いないし、洗練されているよねっていうイメージを持ちながらやっているのも確かなんですよ。そこについていけているのか、いけていないのかは難しい話ですけど、ここまでやってみて、これでいいんだよねみたいな感じになってきた曲もあるし、ライヴでの育て方みたいなものに関しては慣れている部分もあるので、イメージの付け方に関しては手応えは感じていますね。ある程度狙って出したところもあるので、予想通りにできているなっていう。
-自分たちがやろうとしていたことはちゃんとできている。
Sacchan:そうです。それ以上でも以下でもないっていう。だから僕の中では今最高! って感じです。それ以上に評価が上がっちゃうと、自分の中で理由を探さなきゃいけなくてキツいんですよ。(予想を)外してることになっちゃうんで。なので、今のところ思った通りにちゃんとやれているって意味で、自己評価的にもちょっと高めというか、嬉しいというか。そういう感じはすごくしてますね。
-SORAさんはいかがでしょうか。
SORA:これは演者にしか分からないし、言語化してるのもメンバーでは僕だけかもしれないと思うんですけど、音に"入る"瞬間ってあるんですよ。音になっちゃう感じっていうか。ライヴ中に"うわぁ、ヤベぇ、ハンパねぇな"みたいな。武道館までにそんな状況になったときは、千秋のエモーショナルな言葉があって、なんか分かんないけどすげぇヤバかったねっていう感じしか判断基準がなかったんですけど。このツアーを回りながら自分の過去の日記やこれまで"入った"曲、同録、ライヴ映像とかを観たり聴いたり自分と対話したりしたときに(どんなときに"入る"かに)気付けたというか。 僕の耳と感覚では、メンバーの演奏のグルーヴと千秋が伝えたいと思ってる言葉の空気感と、波動というか振動みたいなものが、照明も相まってチームDEZERTの表現としてまとまっている瞬間に起こっていて。それが正しいかどうかはここから続けていかないと分かんないですけど。
-新曲の中でそれを特に感じた曲ってありますか?
SORA:僕の好みになっちゃうかもしれないですけど、「真宵のメロディー」は特に最近すごく伝わってる感じがして、ちょっとテンション上がっちゃいますね。自分の目標としては、その感覚に他の曲でもどんどんなっていかないとというのがあるんで、それをツアー回りながら探していかないといけないなって。































