INTERVIEW
グラビティ
2025.10.24UPDATE
2025年11月号掲載
Member:六(Vo) myu(Gt) 杏(Gt) リクト。(Ba)
Interviewer:サイトウ マサヒロ
どんな色も、全部混ざると深くて濃い黒になる "黒"は今の自分たちに一番似合う言葉というか全てを象徴してる
-myuさんは作曲者且つギタリストとしてどのようにこの楽曲に向き合いましたか?
myu:自分が原型を作ってから六がフルのデモを完成させて、みんなでスタジオに入って編曲したんですけど、そのときに初めて歌詞とタイトルを知ったんですよ。そこで、歌詞がずっと暗いからサウンドでは明るい感じを出したいと思って。メジャーに転調するとか、イメージを擦り合わせながら編曲しました。サビは毎回ギターの音が違くて、どんどん歪んでいくんですよ。それは"黒"っていうタイトルを意識してて。色が塗りつぶされて、黒くなっていくのをイメージしました。
-なるほど。歌詞やタイトルを受けてデモが変化していくのはよくあることなんですか?
myu:今回は特に顕著でしたね。そもそも、ちゃんとメンバー全員で編曲したのは初めてだよね。
六:基本、曲を作るときはパソコン上で僕とmyuがやりとりしてたんだけど。
myu:なので、「黒」は今までで一番ちゃんと意思疎通をしながら作れた曲ですね。完成度はもちろん、メンバーの楽曲への理解度は絶対に高い。表題曲になったのもそういうことだと思う。
-六さんの歌詞が楽曲制作に大きな影響を与えたということですよね。これまでで最も内面を曝け出してる内容なんじゃないかと思ったのですが。
六:歌詞とかの書き方がアップデートしてますね。ヴォーカルも、詞に沿って感情が乗るように歌いました。
-それこそ以前までの活動のことも含めて、赤裸々に歌っているような。
六:いろんなものを込めてますね。そうやって読み取ってもらうのも正解ですし、いろんな人がいろんなことをこの曲を聴きながら感じるのかなって。そんなことも考えながらできていった作品だったように思います。作詞にはめっちゃ時間を使いましたね。
-"黒"は、9月20日に渋谷ストリームホールで開催されたワンマン・ライヴのタイトル("グラビティONEMAN TOUR FINAL 「黒」")でもありましたし、重要なキーワードのようですね。
六:どんな色も、全部混ざると深くて濃い黒になるじゃないですか。この歌詞を書いてるときは本当に様々な感情が蠢いていたので、パッと"黒"っていう言葉が浮かんだんですよね。今の自分たちに一番似合う言葉というか。うちのバンド、最初はメンバーカラーっていうものを打ち出してたんです。でも、バンドとして見られたいっていう気持ちが強くなっていくと、あんまりそれを前に出したくないなと思うようになって、それもあるし、この黒っていうのは1つだけの意味じゃないですね。
-カラフルなイメージで活動していた過去のグラビティと今のグラビティが混ざり合った色でもありますもんね。
六:ちょうど全てを象徴してるんですよね。
-その他の収録曲についても聞かせてください。「プアゾン」(A-type収録曲)はライヴ映えしそうな楽曲ですね。
myu:とことんノりやすさをイメージして。ライヴでは新しい方向性になってからの曲をメインに演奏してるので、"こんな曲があったらな"っていうのもありますし、六からの要望もあって。
-要望というと?
myu:主催ライヴのラストにみんながワーッと出てきて、大セッションで盛り上がって終わり! みたいなのあるじゃないですか。そのときにめっちゃ盛り上がる曲。
六:うちにはそういう曲がないなって思ったんですよね。過去の曲を遡ればあるんですけど、もうやれないなと思っているものも多くて。だから、今の自分たちでやるならこんなものを作りたいなっていう相談から生まれました。
-今のグラビティのライヴに足りないパーツを埋める楽曲みたいな。
六:足りないパーツというよりか、それ以上に意味あるものを作る気で編曲してましたね。
-歌詞はどうですか?
六:僕が使ってる香水をモチーフにしてます。"ヒプノティック プワゾン"っていうDiorの香水があって、その甘い匂いが結構印象に残るんですよ。メンバーもその匂いだけで僕がいるって気付いてくれるくらい。
myu:六以外の人が付けてても六を感じるもん。
-「笑う街」(B-type収録曲)も、「黒」に負けず劣らずエモーショナルな楽曲に仕上がっています。
myu:これは、六がアコギを弾くための曲で。ある日、六の家に行ったら、彼がアコギを弾いてたんですよ。SUM 41か何かをポロポロっと。そこから軽いノリでこの曲を作り始めて。
六:気付いたら俺がアコギを弾く前提の曲になってて、じゃあ練習頑張ります、みたいな。
myu:みんなで演奏するっていうことに振り切ってる曲というか。1サビが終わった後の間奏が結構長いんですけど、そこは自分たちのグルーヴを見せるセクションで。六がアコギを弾くのがなかったらこうはなってないですね、絶対に。
六:歌詞もそれを意識して、みんなで踏ん張るようなフレーズを書きました。"明日こそ楽になれるから"とか、この世に対して共に闘える気持ちになれるような言葉が出てきましたね。
myu:打ち込みもほとんどないですしね。できるだけ生の音で、その場の空気感を聴かせるっていう。
-おっしゃる通り、バンドとしてのアンサンブルが緻密に組み上げられている印象を受けました。レコーディングの際にはどんなことを考えていましたか?
リクト。:俺はレコーディングの時点で六がアコギを弾くっていうのを知らなかったんですよ(笑)。ただ、グルーヴ感っていうのはこの曲に限らずいつも意識してることで。あとは、この曲に合ったいいフレーズを結構加えることができたんじゃないかな。
myu:打ち込みが入ってない分ギターで音を埋めようとしましたし、六を含めるとギターが3人いるので、その振り分けをしっかり考えていきましたね。なので、杏はもう六の補佐みたいな感じで、俺は好きなことやってます、みたいな。アコギを基調に考えて、そこに他の音をくっつけていったっていう感じです。
杏:一緒に弾けるの楽しみだね。
六:うん。ライヴでは熱が入りそうだよね。CDとはまた違う一面が出そうな予感がしてる。
-改めて、新曲3曲を完成させた手応えはいかがですか?
杏:全曲雰囲気が違うんで、どこを取っても楽しいシングルだなって思うし、対バンやフェスに持って行っても戦える曲だなって思ってます。
リクト。:「黒」は特にうちにありそうでなかった曲になってるし、歌詞も六のことが伝わってくる内容になってるので、今のグラビティを知るのにピッタリなシングルになったと思います。
六:......僕もそう思います(笑)! とにかく曲が全てで、下手に付け加える言葉はいらないかな。
myu:8年間やってきて、一番いいシングルができたなっていう自負があります。3曲とも今のグラビティに合ってるし、"黒"っていうタイトルにも合ってるし、アー写の空気感にも合ってるし、全部がちゃんとマッチしてて、ズレがない。
六:この8年が詰まってるよね。
myu:たまたまですけど、ドラマーが抜けた今の状況に歌詞もハマってるし。いろんなものが重なって、今のグラビティが分かる作品になってます。
-11月からはワンマン・ツアー"死体蹴り(グラビティONEMAN 死体蹴り TOUR)"が開幕します。パンチのあるタイトルですね。
六:インパクトも大事にしてます(笑)。
myu:何個も候補あったもんな。
六:死体蹴りっていうのはゲームについてのスラングで、殺した相手をさらに攻撃することなんですけど、うちってもともと、ライヴにアンコールがなかったんですよね。決め打ちでやるアンコールの意味を考えてしまって、それなら本編でプラス2曲やるっていうことを押し通してきたんです。でも、その発想に縛られすぎちゃってたし、アンコールで仕切り直すことの良さも分かっていたので、"やっぱやめた"と思って(笑)。だから今回は、アンコールをやるツアーなんです。で、僕等は殺す気でライヴをやってるから、2回殺してやろうかなと(笑)。
-では最後に、ツアーに向けての意気込みをお願いします。
杏:ドラマーの宏祐(社長)が抜けてから初めてのツアーなので、サポート・ドラマーさんが2人参加するんですけど、交互に叩くことでバンドの雰囲気も変わると思うんですよ。そういうところも毎回楽しみにもらえたらなと考えてます。
リクト。:8年目にしてメンバーが変わったのもそうですし、アンコールありのツアーでもあるので、いろんな初めてをみんなで楽しみたいです。
六:4人になるという真新しい状態になるタイミングって、もう二度と帰ってこないじゃないですか。今は『黒』の3曲にフォーカスしている時期ですけど、それも過ぎたら次に進んでしまうし、この瞬間を見逃さないでもらいたいです。
myu:サポートのドラマーが加わるということもあって、リハの回数も増えたし、改めて一曲一曲について話し合う機会が多くて、確実に完成度が上がってるんですよ。今、脂が乗ってる状態なので観に来てください。お願いします!






























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