INTERVIEW
ARKTA
2025.10.22UPDATE
Member:Tak(Vo) kenken(Vo/Producer)
Interviewer:菅谷 透
-アグレッシヴになった一方で、メロディックな要素も魅力として残っていますよね。今回のツアーのように、ラウド・シーンに対応する部分もあるし、ギター・ロックを聴いている層にも刺さるような仕上がりになっています。
kenken:アグレッシヴさも絶対欲しいんですけど、僕がARKTAの曲作りでコアだと思っているのは、キャッチーさやメロディアスな部分、聴ける部分なんです。スクリームやシャウト、ギターやドラムでガンガン押すのも魅力の1つなんですけど、僕自身、きれいなメロディが好きなんですよね。歌じゃなくても、シンセで鳴ってる聴いたら口ずさめるようなメロディとか。そういうものを組み合わせたのがARKTAの音楽性だと思ってるし、そこは意識してます。おこがましいかもしれないですけど、僕たちが一番好きなのがLINKIN PARKで。日米のミックスだし、お互いシャウトとクリーンが共存してるスタイルが好きでやり始めたので、攻める部分ときれいな部分はどの曲にも持たせたいなって思ってます。今のところシャウトだけの曲っていうのはないですね。
Tak:まぁ、1曲あってもいいかなって思うくらいですね。でも、ARKTAでは僕が今までできなかったジャンルができていて。僕は日系アメリカ人で、日本のラウドロック・シーンが大好きだったんですよ。アメリカにいたらアメリカの音楽やれよって話なんですけど(笑)、日本のラウドロック・シーンにずっと憧れていて、当時そういうシーンのバンドを聴いてたので、シャウトやメロディックなサビに憧れてました。だから今は、できなかったことをできてる楽しさがありますね。
kenken:シャウトだけだったらTakはアメリカでやってるバンドがあるので、僕たちでやる必要はないかなっていうのもあって。あと日本語でも歌えるわけだから、日本語シャウトもやらせたいですよね。今回入れてみたんですけど。
Tak:そうですね。初めてでした。
kenken:インターナショナルだからできることも取り入れてっていうのもコアとして持ってますね。
Tak:我々はLINKIN PARKと"ガンダム(機動戦士ガンダム)"で繋がってるので(笑)。
-(笑)ここからは収録曲について1曲ずつ伺います。「Rejected」はニューメタル的なアプローチが感じられる楽曲ですね。
kenken:「Rejected」は5曲のうち、ボツにしたのを除いたら最後から2番目に作った曲ですね。その前に「As Oneself」、「Dive」、「Seraphim」を作ってて、あと2曲違う毛色の曲を作りたいなっていうのがあったんです。「Rejected」はおっしゃる通り、リフもシンプルで且つラップもシャウトも入れられて、歌も歌えるっていう、まさに作り方としてはLINKIN PARKとかLIMP BIZKITとか、ああいう2000年代以降のニューメタルっぽい感じで。ただ、サウンド自体は今っぽくしたかったんですね。だからFEVER 333とか、BAD OMENSとか、そういう海外っぽい分厚い仕上がりで。ギターも入ってるんですけど、裏でシンセを同じフレーズで全部重ねてるとか、パワーをガッツリ出した曲ですね。
Tak:アメリカは全部重ねるからね(笑)。
kenken:レイヤー、レイヤー、レイヤーみたいな(笑)。だから、これはもう完全に曲から作りました。で、ある理由で僕がこの曲の仮タイトルを"Rejected"にしたんですね。"拒否"とか"拒絶"っていう。だから"拒絶"がコンセプトでこういう激しい曲を作ったから、仮タイトルも踏まえて、(Takが)自分の中の"Rejected"を書いてくれたのかなと。でも、"拒絶して引きこもろう"じゃなくて"拒絶して立ち向かおう"、さっき言ってたように、嫌なものに中指を立てて"負けないぞ"という部分があって。わりと挑発的な歌詞でもあり、挑戦的なサウンドです。
Tak:ヘイターに向けて、みたいな感じです。あのパートが全てですね。
kenken:あとは、ライヴで1曲目にやったらかっこいいかなと(笑)。最初にいきなりバンドで入るんじゃなくて、シンセから始まるような形で。ステージの幕が開いて、僕たちが板付きで出てきたらかっこいいかなっていうのも考えていて。だからライヴでやる想像もしながら作った曲ですね。
-続いての「Zero」は疾走感があって、サイバーな雰囲気もある楽曲です。
Tak:この曲は今回のツアーで毎回お客さんが気に入ってくれてますね。
kenken:"一番良かった"って言われる曲で、僕としても狙い通りではあります。
Tak:ありがたいことに、お客さんがこれでツーステをしてくれて。
kenken:でも、そういう意識も僕の中ではあった曲ですね。日本的な作りかなって。
Tak:そうだね。今までこういう曲はやったことなかった。
kenken:イントロも他の曲に比べて結構長いんですけど。煽りやすいのもあるし、リズムの切り替えとか、ノリやすいBPMで作ったりもしていて。「Zero」は最後に作っていて、ツアーも決まってから作ったので、(ツアーで)やることを意識しています。
Tak:このEPの中では、一番作詞に苦労した曲ですね。作ったことがなかったタイプの曲なんですよ。最初デモが送られてきたときは"これは絶対作りやすいな"って思っていて、でもいざ作ってみたら"あれ、どういうメロディ・ラインでどういうふうに書けばいいんだろう"となって。僕はこれが一番時間がかかりましたね。
-ちょっと日本語も交ざっていますよね。
Tak:ちょっと交ぜましたね。"ここに何か欲しいんだよな"と思っていて、"じゃあ日系人だし日本語を交ぜてみるか"と。本当にちょこっとだったんですけど、交ぜてみたらガッツリハマって。
kenken:僕の中でも日本語を一瞬交ぜるのは狙い通りと言うか、欲しい要素ではあって。「Zero」は僕の中ではサイバーパンクみたいなのがコンセプトにあった曲で、空想世界、VR世界というか近未来みたいなのを想像したので、疾走感がありつつ、完全なバンド・サウンドじゃなくてエレクトロ要素もありつつって感じにしています。
Tak:やったことがなかった曲ってのもあるんですけど、パフォーマンスしてるときにいい意味で"狂いやすい"曲だなと。新しい自分が開けた感じです。
kenken:デジタルとフィジカルの中間にいる自分、みたいなイメージが僕の中であって。で、それに加えて歌詞として人間の二面性、自分の中の自分と戦うみたいな内容を書いてくれたので、それもマッチした部分かな。今"狂いやすい"って出てきたんですけど、ライヴで衝動を抑えずに解き放ちたいっていうのは演者もそうだし、観に来てる人もそうだと思っていて。自分の中にあるものを解き放って、進んでいこうぜっていうサビになってるから、そういうメッセージ性も伝えられたらいいなと。ツアーを経てこの曲を最後にやろうというのが固まってきていて、"In The Family"とかでも最後の曲としてやってましたね。
Tak:これまで「Rejected」と「Zero」みたいな曲がなかったんですよね。最初のパンチがある曲と、最後に締める曲がなかったので、この曲ができて本当に良かったです。
-「Dive」は2000年代のポップ・パンクや、いわゆる洋楽ロックみたいなニュアンスの楽曲ですね。
kenken:この曲は去年の11月のツアーの前に作ったんです。ツアーをする時点で、曲が足りなくて(笑)。"どうする?"ってなったときに、ライヴ映えする曲を作ろうってコンセプトに決まって。ライヴでやれる、楽しく終われる曲や明るい曲がなかったんですよね。
Tak:もともとはシングルを作ってたんですよ。で、最初は「Seraphim」って曲を作るよう言われてたんで、その作業をしてたんですけど、ある日突然、「Dive」の完成されたトラックが送られてきて。"先にこれを作って"って言われたんで、"これ、どっから来たんだ?"と(笑)。
kenken:去年のツアーでセットリストを考えたときに、"ヤバい、セットリストの最後にやる曲がない......どうしよう......"ってなって作った曲ですね。
Tak:これは爆速で作ったね。
kenken:僕はポップ・パンク――SUM 41とかALL TIME LOW、BLINK(BLINK-182)とかも好きだったので、そういうコード感もありながら、みんなで歌えるような曲ってイメージで。キラーチューンじゃないですけど、フェスとかでやったら楽しそうだなと。2年前くらいにアメリカでフェスに出させてもらったんですけど、野外フェスも初めてで。そういうところで演奏したら楽しそうだなって曲を書きたかったのがありました。この曲はポジティヴな歌詞になってるよね?
Tak:もう、これは明るく中指立てろっていう曲ですね(笑)。そういうことですよ。
kenken:(笑)勇気や自信を持って自分らしく進もうぜ、みたいな。"みんなで音楽に飛び込んでいこうぜ"って歌詞になってるので、わりと前向きな意識で書いた曲です。ただ、パンチも欲しいからブレイクダウンを入れていて。
Tak:なんなら「Seraphim」以外、漏れなく全部Fワードが入ってますね。
kenken:(笑)ARKTAでやってないことをしようと思って作った曲だったので、メジャー進行したり、転調を入れたりしました。
Tak:ワインみたいに、年を重ねてこの曲がどうなっていくかが楽しみで。他の曲はだいたい想像できるんですけど、この曲は5年後、10年後にどうなってんだろうなと。育て甲斐がある曲ですね。
kenken:この曲はアメリカでMVも撮ったしね。
-MVもアメリカンな雰囲気で、スケールの大きな映像になっていますね。
kenken:なかなか日本じゃできないスケール感みたいなのはありましたね。
Tak:僕からしたら、いつも通ってる道なんですけどね(笑)。
kenken:(笑)日本人からしたらあんな赤い岩の広大な土地で、MVが撮れるなんて絶対ないし、ARKTAらしい部分ですね。
-逆に、次は東京で撮るみたいなのもできそうですね。
Tak:東京のスクランブル交差点とか(笑)、そうじゃなくても東京のどこかで撮れたらいいなぁとは思いますね。