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INTERVIEW

FREAK KITCHEN

2025.09.30UPDATE

FREAK KITCHEN

Member:Mattias "IA" Eklundh(Vo/Gt) Christer Hysén(Ba/Vo) Björn Fryklund(Dr)

Interviewer:菅谷 透 Translator:石田 桂一 Live Photographer:Jun Tsuneda、Hikaru

俺たちの合わせた力がFREAK KITCHENのエネルギーになって、クールなものを生み出す瞬間は、まるで神聖な体験のようなんだ


-たしかにそうですね。ところで、最近では多くのバンドがライヴでクリックを使用しますが、皆さんは使っていないですよね。クリックの有無でどのような点が違うのでしょうか?

Björn:他のメンバーとシンクロしやすいから、レコーディングのときはクリックを使うのが好きなんだ。でもライヴは生モノだからね。実は俺は、光が点滅するメトロノームを置いているんだけど、数曲でときどき確認する程度だよ。テンポがだいたい合ってるかをチェックするためにね。でも、70パーセントの曲では全く見ない。俺たちのフィーリングがあるからね。いくつかの曲はちょっと複雑だけど、クリックは使わない。視覚的なメトロノームだけだよ。

Mattias:曲を始めたときはいい感じのテンポだったのに、終わる頃には全く違うテンポになってることもあるんだ(笑)。俺たち全員に言えることだね。あるテンポで始めて、"クソ、これじゃ遅すぎる"と思ってスピード・アップしたりする。それで構わないんだ。

Christer:そうだね。俺たちは正確なテンポを保つことに集中してるわけじゃない。お互いとの交流と、ステージで生きていることに集中しているんだ。それにクリックがないことは、自由でもあるね。クリックがあったら曲を止めることができないし、観客と話すこともできない。フロアで誰かが倒れてしまったときみたいに、何かが起こったら対処することができないんだよ。そういうことはよくあるしね。

Mattias:とにかくセクシーじゃないんだ。"ピッピッピッ......(※イヤモニを外す仕草)やぁ、こんにちは。(※イヤモニを付ける仕草)じゃあ始めましょう"って感じになって、上手く話せなくなってしまう(笑)。

Christer:俺たちは自由なんだ。他の音楽――つまり追加の楽器やヴォーカル等は必要ないからね。

Mattias:俺たちがしくじったら、みんなにそのまま聞こえてしまう(笑)。

Christer:他の誰のせいにもできないから、自分のことに責任を持たなければならないんだ。

-ヴォーカルに関して言うと、MattiasさんだけではなくChristerさんがメインで歌唱する楽曲がありますし、Björnさんもコーラスを担当しています。これもライヴで際立つポイントだと思いますが、こうしたパフォーマンスをするようになったのはなぜでしょうか?

Mattias:俺が好きなバンドの多くは、例えばKING'S Xのように複数のシンガーがいる。3人共歌っていると思うけど、主にTy(Tabor/Gt/Vo)とDoug(Pinnick/Ba/Vo)だね。THE BEATLESもKISSもそうだ。俺としては、Chrisが歌ってくれることは本当にいいことだよ。俺とは全く違う歌い方をするし、それが上手く機能している。多くの人がChrisのヴォーカルを気に入っているよ。俺には"もっと黙っててくれればいいのに"と思っている人もいるだろうけど(笑)、言いたいことがたくさんあるからね。

Christer:俺は数曲でできる限りベストを尽くして歌うだけで十分なんだ。喉を休めた状態にできるからね(笑)。俺たちは歌い方のタイプも全く違う。 Mattiasは"俺には伝えたいことがあるんだ。聴いてくれ"って感じで、みんなを惹き付ける歌い方だ。それはシンガーにとって重要なことだよね。俺も似たところがあるけど、よりメロディに忠実で、古いタイプのヴォーカリストなんだ。どちらがいいって話ではなく、ただ違いがあって、それがバンドの表現の幅を少し広げてくれる。Mattiasが少し休憩して、その後フルパワーで戻ってくることができるのもいいね。

Björn:それぞれが歌い始めると、また違うサウンドになるんだ。ストーリーが変わるみたいにね。

Christer:みんなに少しリラックスしてもらってから、(Mattiasが)"さぁ聴け"って戻ってくる感じだよ(笑)。

Mattias:まぁ、ライヴであれこれ変えすぎる必要はないんだ。ソロのときにほんの少しディレイを掛けるだけで、それはリズム・サウンドとほぼ同じだ。それが唯一の違いだよ。

Christer:俺はMattiasと組んでベースを演奏し始める前はリード・シンガーだったんだ。だからみんな"リード・シンガーからベース・プレイヤーになったって? 一体どうしちゃったんだ?"って言ってきた。でも俺は"何も分かってない"って答えたんだ。喉のことを考えなくて済むのは最高だよ。リード・ヴォーカリストであることには大きなプレッシャーがある。旅に出たり、よく眠れなかったり、もし病気になったりすると喉という楽器は常に影響を受けるし、そのことで神経質になって、ガチガチになってしまうからね。リード・ヴォーカリストであることは本当にプレッシャーなんだ。だから俺にとっては、ベースも弾けて、そのバンドで歌うこともできて幸せだよ。

-現体制になって、今年で25周年を迎えますね。メンバー・チェンジや大きな変化なしに続けてこられた秘訣はなんでしょうか? この取材だけでもバンドがいい雰囲気であることは感じますが。

Mattias:2人のおかげだね(※笑いながら頭を撫でる)。

Björn:(※Mattiasにハグして)俺がその秘訣だよ(笑)。Mattiasが俺たちを選ぶときに、どれだけ上手く演奏できるかより、どんな人間かを重視したことが大きいだろうね。それがバンドを長続きさせる要因だと思う。クールで、バンドに集中できて、バンドを何よりも重要な存在だと考えられる......俺たちみたいなやつらってことだ(笑)。

Mattias:みんな社交的で、お互いを人間として好きなんだ。一緒にツアーするのもとても簡単で、面倒ごとやクソみたいなことはない。時間通りに現れるし......大抵はね(笑)。"コンサートの前にリハーサルしたほうがいい?"、"うん"となったら、日曜日の朝10時に俺の家に集まって古い曲を引っ張り出して、"あれはあまり上手くいかなかったな......まぁ知るもんか、俺たち3人なら大丈夫だろう"って感じだよ。俺たちの合わせた力がFREAK KITCHENのエネルギーになって、みんなで集中してクールなものを生み出す瞬間は、まるで神聖な体験のようなんだ。 でもそれを当たり前だと思わず、軽く考えないことだね。一緒に作業しないときは、"ヘイ、ちょっとコーヒーでも飲みに行く?"って感じにはならない。でも俺たちは互いが誰なのかを知っている。俺たちは生涯の友達で、生涯の兄弟だ。たくさんのいいことも、クソみたいなことも一緒に経験してきた。だから絆が固いんだ。

Christer:(※日本語で)ソウデス!

-(笑)大阪公演の感想を見ていると、楽曲や演奏はもちろん、MC等も含めたショーマンシップへの言及が多くありました。こういった部分で悩んでいる若手のアーティストがいるとすれば、どんなアドバイスがありますか?

Mattias:ミスを恐れないことだね。完璧じゃないことを認めて、警戒を解いて、なんでもやっていいと思えば、もうプレッシャーはない。最大限のことができるようになるだろう。多くのミュージシャンは緊張して、1点に集中しすぎているよね。彼等は楽器ばかり見ているけど、そこには誰もいないんだ。俺たちは違う。ステージがあって、俺たちがそこに立っていて、観客が向こうにいる。俺たちはみんなをよく見ているんだ。シャイなやつらも見かけるけど、前に来て一緒にジャンプして、振付やふざけたことをやっているやつらもいる(笑)。それで俺たちは"やぁみんな! そこのお前はバーで飲んでるのか? こっちに来いよ"って感じで演奏するんだ。これは重要なことだよ。 日本でも同じことを言うかもしれないけど、(※何かを鷲掴みにするポーズをしながら)"タマを掴めば、残りは付いてくる"って表現があるだろう(笑)? 要するに、相手の心を掴めば、残りは自然と付いてくるってことだ。それが俺たちのやり方だよ。俺たちはロック・バンドなんだから。俺たちがステージの最前線でどれだけ魂を込めているかは分かってもらえないと思うけど、そのやり方が好きなんだ。それがショーで重要なことだからね。みんなきっと"おぉ、スウェーデンから来た汗だくのギター・プレイヤーがこんなに近くにいる!"って感じを望んでいる。安全じゃないけど、最高だよ(笑)。

Christer:いつも観客のほうをじっくり観るのが好きなんだ。俺はみんなを見ている。君が観客の中の誰かになったら、俺はそこにいることが分かるよ。なぜなら俺たちが君を見ているからね。俺は観客を見たいし、感じたいし、交流したい。一緒に何かを成し遂げたいんだ。俺はいつも観客からエネルギーを貰うよ。誰かとアイ・コンタクトを取って、"そうだ、君を見てるよ"とか、小さな子どもがいたら"君にピックをあげよう......違う、お前じゃない!"って感じでね(笑)。観客がいい反応をしてくれると、俺たちはよりハッピーになるんだ。