INTERVIEW
82回目の終身刑
2025.08.06UPDATE
2025年08月号掲載
Member:葉月(Vo) 鈴原 優美(Mani)
Interviewer:フジジュン
2017年8月デビュー。今年で8周年を迎えた、"日常からの脱獄"をテーマとした"牢獄発囚人ガールズバンド"82回目の終身刑。ロックをベースとした、メタルやポップスと振り幅のある音楽性と、"共犯"や"脱獄"といった独創性ある世界観を持つ楽曲たち。そして、ライヴで見せる、圧倒的歌唱力とアグレッシヴなパフォーマンスで人気を集める82刑(はちけー)だが、現在はオリジナル・メンバーである2名で活動し、新メンバーを広く募集中だ。82回目の終身刑の歴史や魅力を改めて掘り下げつつ、新メンバーを迎えての今後の展望について葉月、鈴原優美の2人に訊く。
-今年8月に結成8周年を迎えた82回目の終身刑。現在は2人で活動中で、新メンバーも絶賛募集中ですが、まず、結成からの8年間を振り返って思うことって?
葉月:気付いたら8年経ってたって気持ちです。"82回目の終身刑"という名前から分かるように、8と2って数字にこだわりを持って生きてきたので、8周年を迎える頃には何かすごいことがあるんじゃないか? とデビューの頃には思っていて、"もう8周年か!"ってのが正直な気持ちで。上手くいかないこともありつつやけど、続けてきたってことが一番大事だと思っているので、ここからも続けていくだけですね。
鈴原:私は最初から、一切楽器を弾かないメンバーとしてやらせていただいてて。メンバーが抜けようが入ろうが、PCが友達というスタンスでやってきたんですけど、まさかそのまま8年続くとは思ってなかったのと(笑)、8周年を迎えて新しいメンバーを迎えて、また新しい気持ちでいろんな音楽ができたらいいなぁというのが今の気持ちなんですが。いつも初心みたいな気持ちでライヴをして、メンバーが変わるたび、新しい気持ちでできているので、また初心に帰って、いろんなことができたらなと思ってます。
-でも最近のライヴでは、優美さんもグッと前に出てお客さんを盛り上げて、葉月さんと鈴原さんのツートップみたいな形でパフォーマンスしてますよね?
葉月:メンバーが刑期満了(脱退)でシャバに出ちゃったんで、優美も前に出てきてもらって。今までは私1人で歌ってたんですけど、新しい曲では優美が歌うパートもあります。
鈴原:楽器は弾かないですけど、歌は頑張って歌ってます(笑)!
葉月:最近は優美が横にいてくれて、すごく心強いです。でも、優美が横で歌ってくれることに頼るばかりではなくて、"私がもっと頑張って、引っ張っていかなきゃ"って逆に思うようになりました。
-葉月さんって、シンガーとして1人でもライヴをやっていて、ヴォーカリストとしての存在感もすごくあって、スッと心に飛び込んでくるいい歌声だと思うんですが。82回目の終身刑でバンド・サウンドをバックに歌ってるときは、また違った魅力が見えてくるし、エレキ・ギターのサウンドにもすごく映える歌声だなと感じています。ご自身ではそこの棲み分けやこだわりについて、どう考えているんですか?
葉月:そこはもう、やったら分かるっていうか。"ソロでやってるのに、なんでバンドもやるの?"ってよく聞かれるんです。"やったら分かるよ"っていつも答えてます。ソロで勉強できるところもあるので、どっちかをやめるっていうことは、たぶんこれからもないと思ってて。ソロとバンドのいいところを掛け合わせた、ハイブリッドなアーティストになっていきたいというのが目標です。
-自分の中でそこのバランスを取りながらやっている?
葉月:どっちもいいときがあれば悪いときもあって。例えばバンドやったら、みんながいるから、ステージでの不安は少ないし、相乗効果もすごく生まれる。ソロだと自分しかいないから、ミスったら自分のせいみたいな責任は大きいけど、お客さんとの一体感は自分だけが貰えるものだと思ってて。どっちも楽しいし、どっちも捨てられないですね。
-優美さんはバンド以外に、グラビアアイドルとしても活躍しています。
鈴原:82回目の終身刑でも、衣装がちょっとセクシーとか、自分の強みを活かせるような感じでやらせていただいてるんですけど、音楽もグラビアも自分をどう見せるか? ってところや、自分を好きになってもらうという部分に関しては一緒やなと思って。グラビアのことを知らない人ももったいないなと思うし、音楽を知らない人ももったいないなと考えてて、自分がエンタメを好きな人の架け橋になれればいいなと思って、両方頑張ってます。
-優美さんも自分の中でバランスを取って、その両方からいい影響を与え合ってる?
鈴原:はい。バンドでやってるとき、"こうしたらセクシーに思ってもらえるんじゃないか?"と思ったことがグラビアに活かせたり、その逆もあったり。スケジュール面では大変なこともあるけど、両方やってて良かったなと思うことが多いし、自分の使える武器は全部使って、82回目の終身刑の魅力を出して、大きくなってくれたら最高やなと思います。
-8年間、この2人でやってこられた理由ってどんなところだと思いますか?
葉月:優美が頑張ってくれてるからですかね(笑)? 私はすごいわがままを言ったりするんですけど、叶えてくれます。
鈴原:ヴォーカルって、"ヴォーカリストやなぁ!"と思う部分があるじゃないですか。自由であったり、ちょっとわがままであったり。うちの葉月はそれがステージ上のパフォーマンスだけじゃないんで(笑)。
-あはは(笑)。でも、そうあってほしいという気持ちも少なからずあるでしょう?
鈴原:そうですね。どんなアウェイでも、葉月が自由に、わがままに突き進んでくれることで、私たちもパフォーマンスができる部分はあるんで。そういうところが葉月のいい部分でもあるし、"82回目の終身刑ってカッコいい"と感じている部分でもあります。私ができる部分はフォローして、自由にライヴしてもらえたらいいなと考えてるし、"うちのヴォーカルが一番カッコいい!"と思ってライヴしてるんで、そこがいろんな人に伝わればいいなと。
-そんな2人でのスタイルも今は確立しつつありますが、昨年6月にメンバーが刑期満了して、一度は活動が止まってしまったんですよね?
葉月:はい。"もう一度、バンドを見直そうか"って期間が2024年7月以降にあって。そのときは結構苦しかったですね。自分はソロとして、"葉月バンド"もやっていて、82回目の終身刑にオファーが来たときは、"葉月バンドやったら出られます"って言って、それでもいいと言ってくれるライヴには出てたんですけど、82回目の終身刑の曲はできないっていう、苦しい半年間があって。今年1月、ようやく再スタートということで前に進めました。
-2人になったときの正直な心境っていかがでした?
葉月:やめたメンバーには、"今までありがとう"って気持ちのほうが大きくて。"わがままなヴォーカルと、長いことやってくれてありがとう"という感謝の気持ちが大きかったんですけど、やっぱりそのメンバーじゃないと出せない音があって、すぐに新メンバーを入れたいって気持ちにはならなかったし、ライヴする気持ちにはならなかったです。なんとか耐え忍んでおりました。
-そこから前向きな気持ちになれたきっかけというのは?
葉月:IRabBitsという先輩バンドがいて。竹下麻衣子(Vo/Pf)さんにすごくお世話になってて、ボイトレの先生もしてもらってるんですけど、その方が私以上に自由奔放というかゴーイング・マイ・ウェイな方で(笑)。"やろうよ、82回目の終身刑! 私が曲書くから!!"って言ってくれて、あれよあれよの間に新曲ができて、その1週間後にはもうMV撮影をしていました。
-それが1月にリリースした、「LEVERAGE LIVES」ですね。
葉月:そうです。この曲のMVを撮影したのが、レコーディングをした次の日で、レコーディングしながら歌詞を書いたので、まだ歌詞が頭に入ってない状況で。曲ができたのが12月末で、MVの発表が1月1日だったんで、怒濤の展開のなか本当に急ピッチで作ったものだったんですが、すごく思い入れのある曲だし、今一番気に入ってる曲です。優美が歌うパートが初めてできた曲でもあるんですけど、歌詞で2人のことを結構書いてて。
-うん、今の気持ちを正直に表した歌詞になってます。
葉月:マイナス思考の優美とプラス思考の葉月が、2人で一緒に頑張っていくという歌詞になっていて。"LEVERAGE LIVES"っていうのも、"レバレッジ"が株用語で"何倍になって返ってくる"みたいな意味があって、"2人で今までよりもデッカい見返りを求めるぞ。82倍返しだ!"って気持ちで付けたタイトルだから。この曲にすごく支えられて、今年はたくさんライヴの本数やってます。
-こっからさらに突っ走っていく気概を感じたし、現在の82回目の終身刑のテーマ・ソングみたいな感じになっていて。竹下さんが今の2人の心情をすごくよく理解して作ってくれたんだなと、お話を聞いて納得しました。
葉月:だから本当にいろんな人に支えられながらできた曲で。"81回死んだって よみがえる魂"って歌詞があるんですけど、歌えば歌う程よみがえられる曲になりました。ファンにもメンバーが刑期満了するたびに"あぁ、またか"って悲しい思いをさせちゃってるのをすごく自覚してて。正直、新しいメンバーを入れるのは怖いなって気持ちもあるけど、また82回目の終身刑を盛り上げてくれるメンバーに出会えたらと思っています。