MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

82回目の終身刑

2025.08.06UPDATE

2025年08月号掲載

82回目の終身刑

Member:葉月(Vo) 鈴原 優美(Mani)

Interviewer:フジジュン

生きるのが下手でも、とにかく音楽が好きで、82回目の終身刑で自分の個性を思い切り出していきたいと思う子が入ってくれたら


-優美さんは新曲ができて、どんなお気持ちでしたか?

鈴原:私は活動休止中、葉月がソロでバンドで出たりしてるのが頼もしい反面、ちょっぴり寂しいなって思う気持ちもあって。マイナス思考なので、"じゃあ、82回目の終身刑じゃなくてもいいんじゃない?"と思うこともあったんですけど。やっぱり1人じゃバンドはできないし、自分がバンドをやるのは82回目の終身刑しかないと思ってるから、どうにかもう一度頑張れないかな? と1人の活動をしていて。年末に新曲ができて、1月1日から再始動という形で、あれよあれよの間にもう一度動き出すことができたんですけど、まさか自分が歌を歌って戻るとは思ってなかったので、ものすごく緊張したし、言葉を選ばなければ、"嫌やな"みたいな気持ちもあったし(笑)。

-この状況を見て、"私、歌います!"みたいに覚悟決めたわけじゃなかった?

葉月:全然違くて、竹下さんが"Bメロはゆぅみん(優美)が歌っちゃおう!"みたいな軽いノリでした(笑)。

鈴原:で、先輩にノーは言えないから"分かりました"って言うんですけど。いざライヴとなったらリハから手もすごく震えるし、声はひっくり返るし(笑)、強いヴォーカルの代わりに、この何秒間かは自分の声をみんなの耳に届けると考えると、やっぱりプレッシャーのほうが大きかったし。「LEVERAGE LIVES」を聴いて"面白い!"と思ってもらえるフックが私のパートにかかってることも分かっていたから、すごく緊張したんですけど、ファンの人たちにも受け入れてもらえて、すごく自信になりました。

葉月:優美は声がすごくいいんですよ。私がハスキー・ヴォイスでヴィブラートを掛けたりするのが特徴なんですけど、優美はまっすぐで声が透き通ってるから、その差がこの曲に関しては、すごくいいんじゃないか? と思ってて。たくさんの人に聴いてほしいです。

-でも優美さんは覚悟を持って一歩前に出たら、気持ちも風景も変わったでしょう?

鈴原:変わりましたね。見えてるものも変わりましたし、"ヴォーカルってすごいな"と改めて思いました。葉月はなんなくこなしてるけど、"こんなプレッシャーを抱えてやってたんや!"と感じて。自分の中で幅も広がったし、新しいメンバーが入ったとき、もっと新しいことができるんじゃないか? と思えました。

-そして、今年5月にはワンマン・ライヴ("82回目の終身刑 無料独房LIVE 82-KEI-二か八かの大捜索-")を開催。活動休止から約1年を経て、ようやくワンマンをやるまでに復活した気持ちはいかがでしたか?

葉月:その日は平日で告知も遅かったので、どれくらいお客さんが入るか不安やったんですけど、結果的にはたくさんのお客さんが入ってくれてすごく嬉しかったですし、あの日から衣装を変えて、白黒や真っ黒の囚人服から、オレンジにしたら目立って目立って(笑)。それに合わせてオレンジのTシャツを販売したら、会場がオレンジ色に染まって、すごく明るく前向きな気持ちになれました。

-海外の囚人服にある色ですね。明るく前向きな囚人というのもおかしな話だけど、衣装だけでも気持ちや雰囲気がガラッと変わったんですね。

葉月:あと、今までは「初公判GUILTY」(2018年リリースの1stアルバム『脱獄計画』収録)とか、「逃亡先の地獄郷-ユートピア-」(2023年リリースのベスト・アルバム『監獄BEST』収録)とか、独特な世界観を持った曲が多かったんですけど、最近はお客さん参加型のポップな曲も増えてきて、ライヴの雰囲気も変わって。ただ、ダークな部分が好きな人もすごく多いので、それを見せるためにも固定のメンバーが必要だなと思ってて、早く新しいメンバーと一緒に、ダークな世界観も作っていけたらいいなと改めて感じました。

-ポップな曲が増えると、ダークな曲もより映えるでしょうしね。

葉月:そうなんです。その振り幅があるのも、82回目の終身刑の面白さなんで。

鈴原:この日のワンマンで初披露した「GATCHA!」って新曲では、なんと私がAメロを歌うという大役をいただいて。

葉月:最初私が歌ってたんですけど、早口のラップっぽいパートで、私より優美のほうが滑舌が良いから、"歌ってみる?"って急遽決まって、やってみたらいい感じで。

鈴原:2人になってそういう挑戦をさせていただく機会も増えたし、挑戦しないと成功もできないし、当たって砕けろでやれるところが、2人で身軽にやってることの強みかな? と思うんですが......やっぱり緊張しましたね。ライヴ中、頭のどこかで"あぁ、あと何曲で新曲だ"と思いながらやってましたし、"え、ゆぅみんがAメロ歌うんや!?"って驚くファンのみんなの顔は絶対忘れないし。あのときの"頑張れ"という期待と不安の表情って、いつか自分が"もう無理かも"と思ったときに支えになってくれるだろうなって考えています。

-1つ聞きたかったのが、82回目の終身刑は"日常からの脱獄"をテーマに、牢獄とか囚人といったコンセプトで曲作りをしてきたじゃないですか? そういったテーマやコンセプトがはっきりしてることで、逆に歌詞や曲で表現しやすい部分もあるんじゃないかと思ったんです。"脱獄"や"共犯"といった言葉を使うことで、自分の正直な気持ちを物語に乗せて伝えることができるというか。

葉月:それはあると思います。自分のソロの歌詞を書くときは"脱獄"とか使わないですけど、82回目の終身刑の歌詞を書くときは自然と出てくるんです。人間って誰しも何かに囚われて生きてるじゃないですか? 時間とか仕事とか、人間関係とか。

-生まれてきたときから、入獄しているみたいなね(笑)。

葉月:そうです。そういった縛りがあるなかで生きてて、脱獄して自由になりたいこともあるだろうし、逆に囚われることで守られてることもあるだろうし。その意味合いでというのは後付けなんですけど、逆に伝わりやすい部分はあるので、"日常からの脱獄を歌う、囚人ガールズバンド"というコンセプトにして良かったなと今では思っています。最初、コンセプトを決めるときはすごく迷って。ハロウィンか囚人か、すごく悩んだんですけど、自分が囚われるのが好きで、囚人服を何着か持っていたので(笑)、メンバーに囚人服を着てもらったら、"......いいな。これだ!"と思って、"囚人ガールズバンド"に決めたんです。

-"囚われるのが好きで、囚人服を何着か持ってて"ってなかなかのエピソードですね(笑)。そしてそんな82回目の終身刑は現在メンバー募集中。ギター、ベース、ドラム、管楽器、弦楽器と様々なパートを募集しています。

葉月:はい。過去にはダンサーとか、楽器を弾かないメンバーもいたので。大道芸人さんに応募してもらってもいいし、本当になんでもいいんです(笑)。やっぱり"バンド"って固定観念があるから、ダンサーがいたときも"なんでバンドなのにダンサーなの?"とか言われたけど、やってるうちに、"ダンサーがいてこそ82回目の終身刑だよね"と言われるようになったし。固定観念に囚われないバンドを作っていきたいんです。

-具体的にはこんなメンバーに来てほしいとかありますか?

葉月:すごく普通なことを言いますけど、音楽活動に対して前向きでやる気のある子がいいですね。生きることや人間関係が難しい子でも、全然いいんです。そういうのも1つの個性になるし、上手に生きられる人は一般企業で働いてると思うんで(笑)。だから、生きるのが下手でも、とにかく音楽が好きで、82回目の終身刑で自分の個性を思い切り出していきたいと思ってくれる子が入ってくれたら嬉しいです。牢獄の中、住みやすいよね?

鈴原:住みやすいよ。だってみんな自由だもん(笑)。普段は勝手でも、ライヴでは音楽で1つになれるから、自由で好奇心旺盛の人がいいです。ヴォーカル含めて、これまでも自由で好奇心旺盛な人が多くて。それで葉月が楽しくやれるなら、それが一番だと思うんで。私はできるかぎりフォローします。

葉月:うん、何より楽しくやりたいね。82回目の終身刑ってコンテンツを"面白い!"って心から思ってくれて、思い切り楽しんでくれる人と一緒にやれたら幸せです。

-ここからも予想しなかった変化や展開が待ってるかも知れませんが、82回目の終身刑の完成形ってどこにあると思いますか?

葉月:完成形は考えたことなかったですね。やっぱりメンバーが変わるごとに、形がどんどん変わっていって、その時々が完成形であり、完成形じゃないと思ってて。今の2人の状況もある意味完成形ではあるんですけど、完成形ではなくて、ここからも変わらないこと、不変こそが完成形だと考えています。ライバルは他の誰でもなく自分なので、過去の自分を常に越えていきたいです。

鈴原:(日本)武道館でライヴをやりたいとか、世界ツアーをやりたいとか、それぞれ目標はあると思うんですけど、一番は"みんなが楽しければいい"ってことで、楽しくやってて、目標に到達できるのが一番やと思うので。不変ってのはたしかにそうやと思うし、楽しいバンドが完成形だと考えています。

-8周年を経て、次の目標は10周年ですかね?

葉月:でも8と2にこだわっていきたいんで、次の目標は82周年なんですよね。

鈴原:それは長いなぁ(笑)。

葉月:じゃあ、18周年? いや、12周年かな。82回目の終身刑は私にとって初めてのバンドなんで、"終身刑"の名前通りに最後の最後までやり切ろうと思ってます。

INFORMATION
82回目の終身刑 メンバー募集中


募集パート:ギター / ベース / ドラム / 管楽器 / 弦楽器
詳細はこちら