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INTERVIEW

来門(NEO BURNING FIRES)×JUBEE 対談

2025.02.05UPDATE

2025年02月号掲載

来門(NEO BURNING FIRES)×JUBEE 対談

RED ORCA/SMORGASで活躍する来門が、新プロジェクト NEO BURNING FIRESを始動。2月19日に初のシングル『ignition』をリリースする。そのリリース・パーティー"NEO BURNING FIRES & やなモン製作所共同企画『ignition release party』"には、バンド AFJBのフロントマンでもありジャンルを横断した活躍を続けるラッパー、JUBEEも出演。それぞれの時代、それぞれのルーツを経由してミクスチャー・ロックという交差点で巡り合った2人が、熱い対談を繰り広げた。

NEO BURNING FIRES:来門(MC)
JUBEE
Interviewer:サイトウ マサヒロ


ヒップホップの人にも、ドラムンの人にも、ロックの人にも本気でぶつかれば応えてくれる(来門)


-本日は、それぞれ異なるキャリアを歩んできたお2人に、ミクスチャー・ロックという共通項について語っていただきたいと思います。

来門:最近またミクスチャー・ロックが盛り上がってきてますよね。それはやっぱりThe BONEZの存在もそうだし、JUBEE君が先頭に立ってやってくれているからで。俺としても嬉しいです。

-世代が1周してまた戻ってきたというか。

来門:そんな感じがしますね。

JUBEE:JESSE(The BONEZ/RIZE/Vo/Gt)さんは俺と同じ申年で、ちょうど1回り上なんですよね。そういう先輩たちがみんな優しく受け入れてくれて、今回も来門さんにこうしてお誘いいただいたり。すごく嬉しいです。

-2人はすでに面識があるそうですが、どこで出会ったんですか?

来門:rag(underslowjams/Rap)ちゃんが、ある日"JUBEEってラッパー知ってる?"って言ってきたんですよ。ミクスチャーやドラムンベースをやってて、めちゃくちゃカッコいいんだよって。だから名前は知ってたんだけど、初めて会ったのはclubasiaでのRIZEの復活ライヴ("RIZER'S CLUB会員抽選当選者招待ライブ")のときでした。

JUBEE:会うのは今日で2回目くらいですよね。俺は高校生のときに来門さんとragさんが参加した曲「Move On」(2011年リリースの東日本大震災復興支援チャリティ・アルバム『MOVE ON - thru love and affection -』収録のDJSEN a.k.a. Street Joker feat. RAG, RAIMON名義の楽曲)を聴いて来門さんを知ったんですよ。

来門:え、マジで!?

JUBEE:SMORGASやunderslowjamsと出会うよりも先に、その曲で来門さんやragさんを認識してて。その後、ragさんとクラブで会うようになって「Boost feat.shimizu eisuke(Age Factory),rag (underslowjams)」(2022年リリースの1stアルバム『Explode』収録)っていう曲を一緒にやったんですけど。

来門:あの曲、カッコいいよね。

-それぞれの活動にはどのような印象を抱いていますか?

来門:JUBEE君は本当に飛ぶ鳥を落とす勢いで素晴らしいなと思ってます。今のミクスチャーの代名詞というか。シーンを引っ張ってるから、心強いしカッコいいなと。

JUBEE:JESSEさんやKj(Dragon Ash/The Ravens/Vo/Gt)さんもそうですけど、長くバンド活動を続けている人はカッコいいなと思いますし、そういう先輩がフックアップしてくれるおかげで俺がやれてるってところもあるから、尊敬してます。あと、来門さんにはシンパシーを感じてるんですよ。ドラムンベースをやってるというのもあるし、ギター・ヴォーカルとかじゃなくてMCじゃないですか。

来門:ギターを持って歌うのに憧れてはいるんだけどね。どうも手と口が一緒に動かないし、暴れたくなっちゃうんだよ。楽器があると暴れられないから(笑)。たしかに、日本にドラムンベースのMCってあんまり多くないよね。だからドラムンベースとミクスチャーをやってるJUBEE君みたいなラッパーが出てきたのは"やったー!"って感じです。ようやく時代が来たなと。ヒップホップとミクスチャーがそうであるように、ドラムンベースとミクスチャーってすごく緻密な関係があるよね。

JUBEE:そうですよね。ブレイクビーツとミクスチャーは、BPM的にもハマるっていうのを感じます。

来門:うんうん。ドラムンベースってちょっとメロコアっぽいノリがあるじゃん。で、メロディアスだからメロディを付けやすい。なおかつ疾走感があるから、バンドと合わせやすいと思うんですよ。

-来門さんがキャリアをスタートさせたときは、ラップとロックを融合させるスタイルにどのようなマインドで挑戦していたんですか?

来門:何も考えてなかったです。あんまり科学的に音楽を捉えてないので。そういう意味では、コードにメロディを乗せるよりもラップを乗せるほうが簡単なんですよ。だからただ暴れてるだけだった。

JUBEE:俺もラップに関しては感覚でやってるところがあるんですけど、トラックを作るときは科学っぽさがあるかもしれないです。先輩たちがいろんなことをやり尽くしてて、その焼き直しじゃ面白くないから。"今みんなこれやってなくね?"、"これとこれを混ぜたら新しくね?"って抜け道を探しながら作ってますね。

来門:なるほど。俺は未だに何も考えてないから(笑)、NEO BURNING FIRESの曲もめちゃくちゃシンプルになっちゃった。よく言われるんだよね、"また同じコード進行じゃん!"って。"でもしょうがないじゃん、これが歌いやすいんだもん"っていう。JUBEE君の新しいアルバム(2024年7月リリースの『Liberation』)はいろんなスタイルがあるよね。

JUBEE:そもそも音楽の趣味が雑食っていうのもあるんですけど、めちゃくちゃ幅を広げておこうと思って、以前からダンス・ミュージックもロックもヒップホップもやるようになったんです。それが自分のスタイルだから、『Liberation』でも幅の広さを出したいと思ってましたね。

来門:なるほど。そもそも、JUBEE君はなんで歌ってるの?

JUBEE:昔は自分のためだったんですけど、今はお客さんのためっていうのに変わってきて。例えばJUBEEのライヴに地方から毎回来てくれる子って、めっちゃ金かけてくれてるわけじゃないですか。そうやって人生捧げてくれてるのに、適当なことはできないから。ライヴで人生を変えさせるくらいじゃないとっていう責任を感じてて。もちろん、俺がカッコいいと思う音楽をもっと伝えたいっていうのもあるし、とにかくお客さんの心を動かすためにやってますね。

来門:すげぇ。

JUBEE:俺はKjさんと一緒に曲をやるのが夢だったんですけど、それを叶えることができた(2024年10月リリースの『Liberation (Deluxe Edition)』収録曲「Dream Smasher feat. Kj (Dragon Ash / The Ravens)」)から、お前等にもできるっしょってちゃんと言いたいというか。そのために人間性も鍛錬しないといけないと思いますし。



来門:NEO BURNING FIRESを一から始めて、別の仕事もやりながら続けるなかで、俺はなんで歌ってるんだろうってずっと考えてて。でも結局は、俺たちが歌う種族だからなんだろうなと思うんだよね。狼が遠吠えを上げる理由って、狩りの合図だとかいろいろ説はあるんだけど、根本的にはよく分かってないらしいんですよ。俺が歌うのもそれと同じだと思うし、JUBEE君ももしお客さんがいなくなっても歌い続けるんだと思う。自分を救えるのは自分の音楽しかないし。自分の曲が一番刺さらない?

JUBEE:分かります。

-来門さんは90年代からミクスチャー・ロックのシーンで活躍していましたが、当時はヒップホップやダンス・ミュージックのシーンとどのような繋がりがあったんでしょう。

来門:繋がりはいろいろありましたよ。SMORGASでは、福岡でヒップホップのイベントに出たり。全然盛り上がらなかったですけどね(笑)。でも、その中で大暴れするのがめちゃくちゃ楽しいんですよ。怖い先輩から睨まれながらね。そこがヒップホップとミクスチャーの違いかもしれない。ヒップホップは頭脳的で戦略的に、フロウで魅了しながらみんなをザワつかせる感じ。ミクスチャーは、ロックの音でとりあえず爆発するみたいな。でもやっぱり通ずるものはあって、その後にRINO(LATINA II)さんとかと繋がって遊んでる時期がありましたね。一緒にイベントに出たり。

JUBEE:へぇ、そうなんですね。どこでやってたんですか?

来門:池袋のBED 。俺はJUNGLIST YOUTHSっていうドラムンベースのユニットを立ち上げて、"BED"ってずっと歌ってたの。それでも継続してると伝わっていくんだよね。

-プレイヤー同士のジャンルを超えた繋がりがあったんですね。

来門:そうですね。むしろプレイヤー同士の繋がりしかないんですよ。SMORGASも、プレイヤーからしか賛同を得られない(笑)。

JUBEE:僕もどちらかというとそっちのタイプかもしれないです。でも、プレイヤーからリスペクトしてもらえるのが一番嬉しい。

来門:そうやってみんなで競い合って、遊び合いながら続けるのがシーンを大きくしていくことに繋がるよね。そこに"あなたの音楽で人生が変わった"っていうオーディエンスが現れたら、次のステージに進んだってことだと思うし。俺も早く誰かの人生を変えたいです。

JUBEE:いや、もう変えてますよ絶対。

-一方のJUBEEさんは、AFJBを結成してロック・シーンに本格進出するとき、どのようなマインドだったのでしょう?

JUBEE:正直、今のロック・シーンにAFJBみたいなスタイルのバンドはいないから、カマせると思ってはいたんですけど。The BONEZがツアー([The BONEZ 10th Anniversary Tour "47 AREAS"])に呼んでくれたり、"REDLINE ALL THE FINAL"に出させてもらったり、リアクションが先輩たちからあって、やっぱり嬉しかったですね。先輩から影響を受けてやったものがちゃんと通用してるっていう。最初は"誰だ?"って感じだったのが、だんだんやりやすくなってきて。

来門:俺もKYONOさんに憧れてはいたけど手が届かない存在だったし、ミクスチャーの先輩っていうのはいなかったかもしれない。

JUBEE:最近思ってるのは、やっぱりヒップホップのライヴとバンドのライヴは全然違うっていうか。クラブだと、俺が目当てじゃない人も、ただ酒を飲みに来てるやつもいるから、そこで何か熱いことを言ってもしょうがない。だから"調子どうだ!?"とか"朝まで遊ぼうぜ!"みたいなMCしかしてなかったんですけど、ライヴハウスはそうじゃないんですよね。

来門:オーディエンスが直に来てるもんね。"俺たちはライヴを観に来たんだ!"みたいな。

JUBEE:だから、AFJBを始めてからは結構喋れるようになったんですよ。で、逆にヒップホップ・シーンにそういう熱いやつがいないことが気になるようになっちゃって。だから、あえてライヴハウスのデイイベントでツアーをやったりとか、ヒップホップにない部分をロック・シーンから持ち帰ったりしてます。

来門:それ、すごい面白い。クラブ・シーンはライヴハウスよりもっと遊びっぽいよね。スケボーっぽいっていうか。誰かがヤバい技を決めたら、周りも"イェー"って盛り上がるみたいなノリがありますよね。

-来門さんも、パフォーマンスする場によってスイッチを切り替えたりするんですか?

来門:いや、切り替えないですね。クラブで歌ってるときも、逆に酔っ払ってる人たちの目を覚めさせるようなワンラインを歌えないかなって思ってます。ragはフリースタイルで盛り上げるの上手いじゃん?

JUBEE:あぁ、上手いですよね。

来門:俺がやると、熱いこと言いすぎちゃって客が散っていっちゃう。でも、その瞬間も楽しめる(笑)。でも、クラブの技とライヴハウスの技を身に着けてその両方を使えるのはJUBEE君の強みだと思います。

JUBEE:そもそも、AFJBを始める前はガッツリ声が入ってる音源でライヴをやってたんですよ。なんなら、自分の曲のデータをなくしちゃって、iTunesで曲を買ってそれを流したり(笑)。今はそれじゃダメだなと思って、昔の曲も一からライヴ用にミックスし直しました。

来門:でも、海外のラッパーはワンフレーズだけ叫んであとは全部客に歌わせたりしてるじゃん。それはそれで1つの技だよね。

JUBEE:たしかに。ただ、みんながそれをやってるから、自分は実力で魅せないとなって。

来門:そういう、JUBEE君のシーンを切り拓いていこうという姿勢は強く感じますね。それが他のアーティストとの違いなのかも。初めて会ったときに思ったんですけど、JUBEE君ってすごく爽やかなんですよ。

JUBEE:ハハハ(笑)。嬉しいです。

来門:音楽やってる人の中でも、本当に悪そうなやつがいるんですよ(笑)。JUBEE君はそうじゃないし、バンドマンっぽいヴァイブスを感じます。

-JUBEEさんのように多くの領域を横断するアーティストが活躍しているのは、リスナー側の態度が変化したからでもあるのかなと思います。サブスクの普及で、どんなジャンルでも分け隔てなく聴くようになって。

JUBEE:あると思う。僕自身は全然CD世代なんで、そこまで若い人の気持ちは分からないんですけど。

来門:でも、そもそもジャンルを超えたリスナーを魅了できないとアーティストじゃないよね。誰かのファンだからそれ以外興味ないっていうお客さんだって、音楽が好きなのには変わりないから、ステージで魂から歌ってたらそういう人にも届くと思うんですよ。そういう意味では、ジャンルは関係ない。ヒップホップの人にも、ドラムンの人にも、ロックの人にも、本気でぶつかれば応えてくれると思うし、プレイヤーも分かってくれる。

JUBEE:うん、関係ないと思います。

来門:最近の俺は本当にカッサカサなんですよ(笑)。もうステージが全てで、俺がいられる場所はそこしかないんです。

JUBEE:俺は、ヒップホップのお客さんにもっとライヴを楽しんでほしいんですよ。音楽を楽しむよりも動画を撮りたいっていうか、"有名人来た!"みたいなテンションがあって、バンドキッズのほうがライヴを楽しんでる感じがするというか。ライヴ自体をもっと身体で味わってほしいって思いがあるんで、"CROSSOVER"っていうイベントを主催して、The BONEZやAge Factoryにも出てもらったんです。そこで、俺のお客さんが初めてモッシュを体験して。

来門:最高だね。

JUBEE:前列でもみくちゃになって、"今までこういうライヴに行ったことなかったけど、すごい楽しかった!"って。そういう楽しみ方をこれからも教えられたらいいなと思います。だから、ライヴハウスでの俺のライヴは基本的に撮影禁止にしてるんです。ライヴに集中してもらおうと。