INTERVIEW
来門(NEO BURNING FIRES)×JUBEE 対談
2025.02.05UPDATE
2025年02月号掲載
NEO BURNING FIRES:来門(MC)
JUBEE
Interviewer:サイトウ マサヒロ
-そうやって音楽性だけじゃなく、マインドやカルチャーもミックスさせていくのがJUBEEさんのやり方ですよね。
来門:やっぱりJUBEE君が出てきたことでこっちにも火が点くよね。"俺ももっとできるかも!"って。
-より音楽的な面にもフォーカスしたいのですが、それぞれのラップ・スタイルについてはどう思いますか?
JUBEE:来門さんのラップは俺にはできないなと思いますね。高音でキレが良くて。俺は低い声でがなる感じだから。来門さんの能力が欲しいです。
来門:なぜか高音で歌っちゃうよね。そのほうが燃えるんです。
JUBEE:そういえば、今日たまたま見つけたONE MINUTE SILENCEっていうミクスチャーのバンドが、来門さんっぽいスタイルでめちゃくちゃカッコ良かったんですよ。(※スマホを取り出しONE MINUTE SILENCEの楽曲を流す)。
来門:おぉ、本当だ。めちゃくちゃカッコいいじゃん! これ流しながら対談しましょうよ(笑)。後でまた教えて。
-来門さんは、JUBEEさんのラップ・スタイルについてどう思いますか?
来門:アルバムを通していろんな歌い方ができて素晴らしいですよね。ドラムンベース、ヒップホップ、ミクスチャー、R&Bまで。トラックメイクをするっていう話を聞いて、なるほどと思いました。自分の歌をパーツとして曲にどう付け加えるかをよく分かってるなって。
JUBEE:たしかにそうかもしれないですね。歌で新鮮さを出したいから、それこそ科学っぽい考え方でアプローチしてるかも。
来門:それを"お試し"って感じじゃなくて、それぞれの曲で100パーセントやれてるのがすごいよね。俺なんて、SMORGASのレコーディングでリリックが書けてなかったから、"ちょっと外に行ってくる"って言って5時間逃げたことありますよ。
一同:(笑)
JUBEE:スタジオでリリックを書いてたんですね。
来門:そうそう。
-JUBEEさんは時間をかけてリリックを書くタイプなんですか?
JUBEE:そうですね。フリースタイルとかでやるタイプではないから。意外に思われるかもしれないけど、デスクでパソコンに向かって書くんですよね。ノートとかスマホじゃなくて。
来門:俺は、今はノートとペンで書いてる。ずっとドトールで(笑)。デニーズとジョナサンもすげぇ捗るんだよね。
JUBEE:曲のテーマはどうやって決めてますか? そこで悩むことが多くて。
来門:RED ORCAとかROSのときは、トラックができた段階で仮タイトルが付いてたから、そこから言葉を選んでたね。でも音のファースト・インプレッションで付けられたタイトルだから、それが間違いないことが多くて。題名が決まってる本を渡されて、その中身を書くっていう感じ。あとは音を聴いたら自然に絵が見えることもあるし。
JUBEE:見えますね。
来門:そのイメージから内容を考えてる。
-JUBEEさんは、ミクスチャー・ロックでのラップのスタイルをどのように身に付けたのでしょうか?
JUBEE:俺は完全にKYONOさん(の影響が大きい)ですね。KYONOさんのあのヴォーカルをヒップホップでやる、みたいな。
来門:そういうのをサラッと言えるのが素敵だよね。"フリースタイルをやるタイプじゃない"とか"完全にKYONOさんです"とか、ある意味弱みでもあるところを言えるのが。
-JUBEEさんのような存在が現れて、これからさらにミクスチャー・ロックが盛り上がる兆しを感じますが、これからのシーンにはどういったことを期待していますか?
来門:まためちゃくちゃなやつらが出てきてもいいんじゃないかなって思ってますね。俺たちが始めた頃のミクスチャーは、本当にアホだったんですよ。アホがやってた音楽がミクスチャーで、でもそれがすげぇカッコ良くて。だから、もっともっとステージでアホなことをやる人が増えてきてもいいんじゃないかな。そしたら俺も生きやすくなるし(笑)。もちろん、JUBEE君みたいに科学的に新しいものを作る姿勢も大切にしていきたいです。
JUBEE:ラッパーのワンマン・ライヴってアフターパーティーがあるけど、バンドの場合はだいたい打ち上げじゃないですか。だから、バンドマンもDJを呼んでアフターパーティーをやったらいいんじゃないかと思って、Age Factoryと2~3年前ぐらいからやり始めたんです。そしたら、最近The BONEZとDragon Ashもアフターパーティー([The BONEZ × Dragon Ash - "Straight Up" Tour After Party])をやってて、たぶん俺が生み出したムーヴメントなんじゃねぇかなって(笑)。そういうところでもカルチャーが混ざり合っていったら面白いなと思います。
来門:すごい、タフだね。
-来門さんもぜひやりましょう。
来門:やりましょうかね。DJ五木ひろしって名前で、五木ひろしさんだけを1曲丸々流すDJを。
JUBEE:ヤバいっすね(笑)。
来門:こないだ五木さんのライヴを観に行ったんだけど、半端なかったよ。マイクを腰のあたりまで離してるのに、めちゃくちゃ声拾ってたし。"俺には音楽しかねぇから"っていう意地があの年齢でも燃え続けてるのを感じて、"この人、ミクスチャーだ"って思ったね。一緒に行ったBANBI(DJ)君も、それ以来ずっと五木さんのこと調べてたし(笑)。
-ここからは、2月19日に初シングル『ignition』をリリースするNEO BURNING FIRESのお話を。まずは、改めて結成の経緯を来門さんの口からお話いただけますか?
来門:2023年12月に、BANBI君と「Awakening」っていうシングルをリリースして。それをきっかけに、BANBI君にDJをしてもらってソロでライヴをやるようになったんですね。で、息子(RUU/Dr)が「Awakening」のトラックに合わせてドラムを叩いてるところをインスタに上げたら、BANBI君が"いいじゃん、バンドに入れちゃおうよ"って言ったので、加わることになって。ベースの河辺(真/Ba/SMORGAS)さんは、吉祥寺で飲み会をしてるときに、"河辺さん、もう一回ミクスチャーやろうよ"って言って。そうやって結成されて、柳沢英則(新宿LOFT店長/レーベル"やなモン製作所"運営)さんが一緒にやろうと声を掛けてくれたので、このたびやっと音源が出せるという流れです。
NEO BURNING FIRES
— やなモン。 (@HUSKERBU) January 5, 2025
MC: 来門 (RED ORCA,SMORGAS)
Bass: 河辺真(SMORGAS)
DJ: BANBI
Drums: RUU
EVER BURNING 何度でも燃えてみせろ
2025年2月19日 (水曜日) 2曲入りシングル発売
価格 1210円 (税込み)
01.ignition
02.AWAKENING relight mix
タワーレコード予約https://t.co/sv1EsXq8nz pic.twitter.com/ZZD0S3DTEQ
JUBEE:すごいですね。お子さんはおいくつなんですか?
来門:今、22。生意気盛りですね。バンドは組んでなかったんだけど、ドラムはずっとやってて。離れて暮らしてたんだけど、会うたびにスタジオで遊んだりしてたんだよね。テクニック云々じゃなくて、グルーヴを持ってて。親子だから組んだっていうわけじゃなく、お互いを1人のメンバー同士として扱ってる。
-これまで来門さんが参加してきた様々なプロジェクトとNEO BURNING FIRESを比べて、どのようなモチベーションの違いがありますか?
来門:今までは兵隊の1人だったんですよね。できたトラックに俺がラップを添える。船に乗っかるような感じだったんです。だから、今回は俺が船を作れたらいいなと思ってて。この年齢になってやっとリーダーシップを執ってます。
JUBEE:俺も、CreativeDrugStoreでは兵隊の1人だけど、その他は自分の船って感覚でやってますね。後者はやっぱり身が入るっていうか、"ちゃんとやらねぇと"って。
来門:"ちゃんとやらねぇと"だよね、分かる。
-NEO BURNING FIRESには、文字通り燃えているんですね。
来門:もう中畑 清ばりですよ。伝わらねぇか(笑)。
JUBEE:出てくる名前が古いですよ(笑)。
-シングル『ignition』について、JUBEEさんはどのような印象を抱きましたか?
JUBEE:ストレートで、すごくカッコ良かったです。正統派というか。何かを考えながら聴くっていうよりは、分かりやすく受け入れやすくて、シンプルにカッコいい。
来門:嬉しい。例えば本を読んでても、若い作家さんはすごい難しい言葉を使ってて。こんな言葉、普段使わないけどなぁ......って感じることがよくあるんだよね。でも、村上春樹さんとかはめちゃくちゃ読みやすいんですよ。こんな俺でも、スッと入ってくる。それを俺も自分なりの言葉でできればと思って。
JUBEE:今のラウド・シーンに、シンプルで分かりやすい曲をやる人って逆にいないっていうか。例えばPaleduskとか、めちゃくちゃ複雑じゃないですか。それに対して、AFJBも分かりやすさを重視してたりするんですけど。
-『ignition』は、イントロのリフ一発で打ちのめされるようなパワーがありますよね。
来門:それこそ、サブスク時代の子はイントロとか飛ばしちゃうって言うよね。俺も実はそれにアグリーしてて。イントロの長い曲とかMVの冒頭とか、スキップしちゃうタイプ。だから『ignition』も最初からドーンっていっちゃうっていう。
JUBEE:俺もLIMP BIZKITとか、すぐに首を振れるような音楽で育ったから、やっぱりそういう曲が一番いいなって思いますね。
-リリックの言葉選びもシンプルですが、その中に長年のキャリアが刻んだ年輪を感じるような内容だなと思います。
来門:悔しい思いをいっぱいしてきてますから。俺も早く上がりたい(笑)。でも、昔より熱い歌詞を残せてるのは嬉しいです。SMORGASで歌ってたことも間違いではないけど、今ここに来てさらに燃えながらリリックを書けてる。
JUBEE:羨ましいです。俺もそうやって、十数年後にもワクワクするプロジェクトを始められてたらいいなと思います。
来門:やっぱり、音楽を作るのってワクワクするし最高だよね。説明書のないプラモを組み立ててるみたいな。それで超カッコ良くなっちゃったりして。
-様々なステージを経験してきた来門さんが今シンプルなカッコ良さを追求していること、それ自体がカッコいいですよね。
JUBEE:そうそう。
来門:牡羊座だからシンプルなことしかできないんですよ。牡羊座のO型はもうお話にならないです。
JUBEE:牡羊座ってそうなんだ(笑)。
来門:回りくどいことができないからね。
-2月20日には本作のリリース・パーティーが新宿LOFTにて開催され、JUBEEさんがゲスト出演されます。
来門:とても嬉しいです。
JUBEE:期待以上の仕事をするしかないですね。イベントが成功するように盛り上げます。
-それでは最後に、リリース・パーティーに向けての意気込みをお願いします。
来門:NEO BURNING FIRESとしては1発目のイベントですし、JUBEE君とMandaという若くて勢いがあるアーティストを招いているので、胸を借りるつもりでというか。俺たちも挑戦者として、挑ませていただきます。
JUBEE:僕もバチバチにぶつかって、来門さんに呼んで良かったなって思ってもらえるようなライヴをしたいです。
-フライヤーに書かれている"何度でも燃えてみせろ"というフレーズの通り、熱いライヴになりそうですね。
来門:まさに。俺は死ぬまで歌うと思うし、何度でも燃えるつもりなので。この日も俺等やJUBEE君、Mandaの熱いライヴでフロアが何度も燃えると思う。大炎上しましょう!
EVENT INFORMATION
"NEO BURNING FIRES & やなモン製作所共同企画『ignition release party』"
2月20日(木)新宿LOFT
OPEN 18:00 / START 18:30
出演:NEO BURNING FIRES / KYONO BAND / JUBEE / Manda /
DJ NOKS(NYQUILL/Amp Lifier)
前売 ¥4,000 / 当日 ¥4,500(D代別)
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