INTERVIEW
Bubble Baby
2025.01.14UPDATE
2025年01月号掲載
Member:Rude-α(Vo) Q汰(Gt) 奏(Ba) KenT(Dr)
Interviewer:フジジュン
日本最高峰のラッパー Rude-α、NO BRIGHT GIRLのQ汰、元ACE COLLECTIONの奏、元The Winking OwlのKenTと最強の布陣が集い、2022年に結成されたBubble Baby。2024年は新曲の配信リリースもありながら、下北沢SHELTERにて[Bubble Baby presents "ON GYAO 2024"]と名付けたツーマン・シリーズを開催。ライヴハウスの戦友や盟友を招いてガチンコのライブでぶつかり合い、徹底的にバンドを鍛え上げた。Rude-αが曲を書けなくなったり、バンド内でかなりヒリヒリしたりと、内面的には決して順風満帆ではなかったという2024年の赤裸々な振り返りと、1月26日に控えたワンマン・ライヴ[Bubble Baby presents "ON GYAO 2025"]への意気込みをメンバー4人に訊いた。
-1月26日に控えた下北沢SHELTERでの初ワンマン・ライヴ"ON GYAO 2025"([Bubble Baby presents "ON GYAO 2025"])に向けて、2024年は"ON GYAO2024" ([Bubble Baby presents "ON GYAO 2024"])としてツーマン・シリーズを行ってきたBubble Baby。まずは2024年を振り返って、どんな年になったでしょうか?
Rude-α:Bubble Baby的にもRude-α的にもですけど、2025年に繋げる準備期間だったのかな? というのは思ってて。曲を作りまくって準備してたというよりは、自分的にも落ちる瞬間があったり、急にやる気がなくなった瞬間があったり。4月に「この道の果てで」って曲を出したんですけど、俺的にはその歌詞を書いたとき、自分の内側にあるものを全部出せた気がしたし、自分をすごく削ったなという感覚があって。
-うん、それが伝わる渾身の1曲だと思います。
Rude-α:そういう曲だったから、それを出した後に何を作っていいのか分からなくなっちゃって。その間はソロの曲を作ったり、ライヴをやったりしながらもバンドの楽曲が止まってしまって、やっと1曲出せたのが10月(「Go My Way」)。すごく遠回りしたなとも思うんですけど、何もしない期間も経たことで、今のマインドはすごく音楽に向かってる。そんな1年だったし、あえてのバッドな1年だった気がします。
-ここから止まる間もなく走り続けていくために、そういった期間の必要性や使い方も分かった大事な期間だったかも知れないですね。10月に「Go My Way」、11月に「Bow Do Free」をリリースして、創作意欲が上がってきてるのが見えます。
Rude-α:上がってます。俺自身が言いたいことを日常の中で溜め込んで、それを一気に放出するタイプなので、音楽をやる上では何もしない期間がどうしても存在するんですけど、今年はそれがちょっと長すぎた。メンバーには申し訳なかったけど、今は書きたいことがめちゃめちゃあるんで、2025年に向けてワクワクしてます(※取材は12月中旬)。
-Rude(Rude-α)さんのリリックは自分自身や生き様を晒しているから、ルーティン的に書けるものではないと思うし、波もあるのも仕方ないと思うし。
Rude-α:ミュージシャンだから、本当はルーティン的に書けないとダメなんですけどね。ソロは結構フィクションで書くんですけど、バンドに関してはロックの世界に入って、アーティストもお客さんも裸だなって思ったから、自分自身も生まれてくるリリックとか、そのとき思ってる感情とかにすごくこだわりたいと考えるようになって。嘘をつけないと思って、時間がかかったところはありました。
-バンドでやってると、メンバーに対して中途半端にできない気持ちもあるでしょう?
Rude-α:そうっすね。"適当に作ったでしょ?"って平気で言ってくるようなやつらなんで(笑)。最初にメンバーと事務所の社長にいいって思わせないと、その先にいるお客さんもなぎ倒せないから。まずはメンバーにぶっ刺す、そして自分自身にぶっ刺すリリックを書こうと思って書いてるというか。うちのメンバーはそれぞれ悔しい思いをしたり、音楽で落ちたりした経験があるやつらだし、"いいことばかりじゃないけど、諦めないで自分の道を信じようぜ"ってバンドだと思うんで、そこを突き詰めて......やっぱりリリックですね。英語で歌う気もあんまないし、俺はとにかくリリックにこだわってやってます。
-4人が4人とも、メンバーに対してもお客さんに対しても、中途半端なものは見せられねぇって覚悟を持って曲やライヴに臨んでるというのが、Bubble Babyの印象だし、見ていて心動かされるところです。Q汰さんは2024年を振り返っていかがですか?
Q汰:個人的にはバンドが始まってから、一番大変な1年だったし。Rudeも言ってたんですけど、2025年の活動に向けて調整する1年だったのかなと思ってて。正直、バンド内の健康状態はあまり良くなくて、相当モメたし、お客さんからは全然動いてなかったように見えた1年だったなと。メンバー内で話し合う期間が長くて、そのたびに動きが止まったり変わったりして、すごくモヤモヤもしたんですけど、最近みんなで本気で話し合った1日があって、本当に言いたいことを全部言い合ったんです。みんなで話し合ったことでようやく前に進み始めたので、こっから楽しみだし、来年は音源もMVも今年の倍くらい出していきたいと思ってます。
-Rudeさんのリリックが書けなかった期間もですけど、そうやって何度も話し合って、4人の向かう道を見定める時期も、ここから走り続ける上で重要な期間になりそうですね。KenTさんはいかがですか?
KenT:言いたいことはだいたい2人が言ってくれたんですけど、そんななかでも僕はライヴ現場があると、関係なく全員が全開放できてたと思ってて。全開放と言ってもむやみやたらに暴れるんじゃなくて、うまくいってないときはいってないなりの開放の仕方もあったし、全員のヴァイブスが一致して突き抜けられた日もあったんですけど。ライヴ本数は少なかったけど、一本一本で全開放できたしライヴ力を上げることができたと思ってて、ライヴ・バンドになれたなって気持ちはありました。ライヴって人間性がすごく出るので、エモい部分も出していけたと思うし、それを来年のワンマンに全部持っていきたくて。ライヴがいいバンドって看板はできたと思うから、来年はその看板を引っ提げて全国でライヴをやっていきたいし。その始まりがワンマンだと考えてます。
-自分たちで作った"ON GYAO 2024"をやって、その集大成となるワンマンをやって、鍛え上げたライヴ力を持って外に出ていって、次はいろんな場所でいろんな人と勝負していく。ここからやるべきことがはっきり見えてます。奏さんはどうですか?
奏:バンドに関しては、3人が言ってくれた通りで、ここから上り詰めるしかないなという気持ちなんですが、個人的には自分自身とめっちゃ戦い続けた1年でした。負ける日も多くて心が折れそうになった日もあったんですけど、そういうときもバンドがあって、バンドのことについて話すことで自分の心を燃やし続けた1年でしたね。バンドをやってなかったら、"この道の果て"に行ってたかも知れないですけど、悪い意味で(笑)。バンドをやってたことで踏ん張れたこともいっぱいあったんで、1人の男としてバンドやってて良かったなというのがありました。活動をしていると、華やかである程アーティストシップみたいなものも保たれると思うんですけど、"そんなわけねぇか"ってことに自分の経験から辿り着きまして。そんなずっと調子が良くて、キラキラしてるやつなんていねぇよなって気付いたんです。2019年くらいに好きになった、唾奇さんという沖縄のヒップホップ・アーティストがいるんですけど、彼の音楽で感動したのって、ネガティヴな自分を受け入れてそれを赤裸々に音楽に消化して、音楽を通してたくさんの人の心を打つことができたところで。ネガティヴな気持ちとか、落ちてる時期とかのリアルな人生も、音楽に変えることができればいいのかな? と思ってます。
-"ON GYAO 2024"と名付けた、戦友や盟友を招いたツーマン・シリーズを開催しましたが、このイベントはBubble Babyにどんな刺激や影響を与えてくれましたか?
Rude-α:See You Smile、UNMASK aLIVE、Good Griefの3組とやったんですが、自分たち的には最初にぶつからなきゃいけないバンドだったし、ぶつかったことで、自分たちのジャンル感が分かったなというのをすごく思ってます。最初、一緒にライヴをやってカッコいいなと思ったバンドに声を掛けたとき、Bubble Babyがポップ・パンクのシーンで、そういうバンドたちと競い合っていけたら面白いなと思ってたんですけど、やり切った後で感じたのは、"俺等、ポップ・パンクと思ってたけど、なんか違うかも知れない"ってことで。"ポップ・パンクのカッコ良さは彼等が突き詰めてるから、俺等は俺等で新しいジャンルを作らなきゃいけない"ってすごく思ったんです。それで今、"B-Boyロック"ってジャンルを勝手に作って、名乗っていて。
-「Go My Way」では、"チャンプルーカルチャー"とも歌ってます。
Rude-α:ミクスチャーというより、マジでロック・サウンドの上でバチバチのラップをする。それはバンドマンのラップじゃなくて、ガチのラッパーがラップするってところで、戦っていこうと思ったんです。ライヴをやってるなかで"自分たちの音楽が刺さってないのかな?"と思うこともあったんですけど、圧倒的ラップのスキルさえあれば分からせることができるというのも実感したから、今は"お前等を振り向かせてやる"って気持ちになってて、ラップをめちゃくちゃうまくなってやろうと。"ON GYAO 2024"で対バンしたバンドは、自分たちの武器を磨いた上で彼等のスタイルがあることが分かったから、俺も自分にあるものを磨こう、オリジナルでいいじゃんって思わされた対バンでしたね。
-"ON GYAO 2024"に出たバンドはジャンルで言うとポップ・パンクだけど、どのバンドもすごく個性的で。思ったのは、Bubble Babyってどのバンドとも交われるし、どのバンドとも交われないなって。
Rude-α:そうなんです。だからすごく難しくて(笑)。