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INTERVIEW

kein

2024.11.20UPDATE

2024年12月号掲載

kein

Member:眞呼(Vo) 玲央(Gt)

Interviewer:長澤 智典

2022年5月、約22年ぶりの再結成を発表したkein。2023年にリリースした1stアルバム『破戒と想像』は、入手困難な過去音源や音源化されていなかった楽曲たちを、新たに甦ったkeinとして形にした内容だった。衝撃の復活発表から約2年半の歳月を経て、最新曲のみを詰め込んで生み出されたのが、11月20日にリリースするメジャー・デビューEP『PARADOXON DOLORIS』となる。"これをメジャーから!?"という嬉しい驚きを満載した、keinらしい痛みを伴った本作について、眞呼と玲央が語ってくれた。

-keinは、2000年8月に約3年間の活動に終止符を打ちました。その後、玲央さんはlynch.として、眞呼さんとaie(Gt)さんはdeadmanとして活動。それから約22年の歳月が流れた2022年5月に、再結成を発表しました。まずは、その経緯から教えてください。

玲央:僕がkeinの解散後に始めたlynch.が、2022年に一時的に活動を休止して。それで自由な時間ができて、"ここまでにやり残したことはないか"、"自分自身のスキルアップに繋がる活動をしたい"と今一度自分の音楽人生を振り返ったときに、真っ先に浮かんだのがkeinの存在だったんです。幸いなことに、当時のドラマー以外のメンバーはずっと第一線で音楽活動を続けていて、一人一人に"もし、再び一緒にkeinをやれるのなら"と自分の気持ちを伝えたら、眞呼、aie、攸紀(Ba)が賛同してくれたので、keinを再始動しました。

-玲央さん自身、keinの活動でやり残したことがいろいろあったわけだ。

玲央:僕個人としてはすごくありました。当時の自分はバンドの成長にも、バンドを取り巻く環境の変化にも追い付けずにいて、その気持ちをメンバーに正直に話したら"じゃあ、このままバンドを終わらせようか"という話になり、keinは解散に至ったんです。 僕自身、keinの楽曲が大好きでしたし、あの頃から何十年後に聴いてもかっこいいと思える楽曲をいっぱい作っていました。なのに、当時音源化していたのは2本のデモテープと、2枚のシングル盤のみで。未音源化の楽曲がまだまだたくさんあったから、それを形にしたかったのも再びkeinとして活動したい気持ちを後押ししています。

-それを復活後に形にしたのが......。

玲央:昨年、インディーズで出したアルバム『破戒と想像』になります。

-眞呼さんは、keinを復活させる話を聞いたとき、どんな気持ちでした?

眞呼:解散を決断する時期までも含めて、バンドもメンバー関係も上手くいってたんですよ。活動を重ねてバンドの存在が大きくなり始めて、新たにギターにaieさんを迎えて"さらにここから"という時期に先の申し入れがあり、メンバー内で話し合った結果"解散"の道を選択して。いろんな経験を積んで大人になった今なら違った答えを出せたと思うけど、当時はみんな若かったこともあって、それが最適の答えだという気持ちでした。なので、今回声が掛かったときは即決でしたね。

玲央:眞呼さんに連絡したらaieさんも一緒にいたんですけど、そこは改めてaieさんにも自分から連絡を取って、思いを伝えています。keinはaieさんが加入した約半年後に解散して、世の中の見え方的にaieさんの加入が解散の引き金になったと誤解されている部分がありましたし、aieさん自身も"keinを解散させた引き金だ"等とネタとして語っていましたけど、そういうことは全くないです。眞呼さん自身も"aieさんにはkeinでもっと活動してほしかった"と言ってたくらいですから。今回、復活の話をaieさんに振ったときも"あっ、いいっすよ"とすぐに返答をいただいて、それは攸紀も同じで。なのでこの4人はすぐに集まりました。

眞呼:私がdeadmanを始めたのも、わりとkeinの延長線上という思いがあってのことで。最初の意識はそこにありましたけど、長く活動を続けていくと、自然とdeadmanとしてのスタイルになっていくんですよね。改めてkeinを始めたときも、deadmanの延長線上の活動になるのかという懸念がありましたけど、実際には全くそういうことはなく、keinはkein、deadmanはdeadmanという棲み分けは自然にできていました。

-とはいえ、眞呼さんの根底には、両バンドに共通する意識がありません?

眞呼:ありますけど、そこは表現の仕方を変えていけばいいことなので。むしろ、keinと同じレールの上でdeadmanを始めたはずだったのが、22年の歳月を経た上で改めてkeinに触れたときに、こんなにも違ったベクトルを持っていたんだという発見にも繋がりました。

玲央:眞呼さんもそうだけど、僕もkeinとlynch.でプレイしているときの感覚を比べても、どちらも好きなことを追求しているし、根底にある姿勢は何も変わってないんです。缶コーヒーで例えるなら、真正面から見れば長方形だけど、真上から見たら丸い、みたいな。要は、その物事をどの視点から見せるかの違いですね。今のkeinも、経験を重ねた今のメンバーでどの角度から見せていこうかと、そういう意識や感覚で向き合っています。
あとこれも伝えておきたいのですが、僕にとってのkeinは、lynch.があってのサブ的な活動ではなく、どちらも本気だし、並行して成り立っています。それは他のメンバーみんなも同じだし、むしろ並行して、角度を変えて表現しているからこそ、それぞれがバンドの中でいろんな遊び心を見せられるんです。

-なるほど。インディーズで出したアルバム『破戒と想像』は、以前のkeinの楽曲の集大成と語っていましたけど、今回作り上げたメジャー・デビューEP『PARADOXON DOLORIS』は、全て書き下ろしの新曲たちになりました。

眞呼:私は、当時のことに思いを巡らせながら楽曲を書きました。EPには入ってないんですけどね(笑)。

玲央:最初にメンバー内で"今回は5曲入りでいこう"と決めていたので、結果的にaie、攸紀、玲央の3人の楽曲が収録されましたけど、今回は全員が楽曲を作って、それを持ち寄った上で選んでいます。実は、今回の作品を作る上で攸紀と話したとき、以前のkeinを意識したほうがいいのかと聞いてきたので、"それぞれ好きなように作っていいんじゃない? むしろ、今の攸紀の中から生まれる楽曲を持ち寄ったほうが自分らしさが出るし、このメンバーで演奏すれば自然とkeinの色になるから、変に気を使うことはないと思う"と伝えたんですね。そうしたら攸紀から上がってきた楽曲がどれもトリッキーで(笑)。"なるほど、今の攸紀はそういうモードなんだ"とみんなで受け止めたし、keinとしての新しい色になったなとも思っています。

-特に「Toy Boy」はかなりぶっ飛んでいますよね。

玲央:自分たちもびっくりしました(笑)。そういう楽曲が生まれるのも、メンバーそれぞれが他に音楽活動をしていくなかで培った経験があるからこそですね。意識せずとも、その経験値は楽曲の制作や演奏に反映されていくものだし、そこが今のkeinの強みだと思っています。

-今回は5曲に絞りましたが、どのくらい楽曲は集まったのでしょうか。

玲央:"締め切りまでに持ってこれるだけ持ってきて"と先に伝えてからそれぞれ制作に入ったのですが、まとめ上げる自分のところにはバンバン曲が届いていましたね。それで選曲会を行って、最初に「Puppet」、「Toy Boy」、「Rose Dale」、「リフレイン」の収録を決めました。その上で"こういう曲が欲しいよね"という話をしていたら、突然aieさんが"あと2時間スタジオを使えるなら、今ここで新曲を作りましょうか"と言い出して。そこからaieさんが即興で考えたリフに"こんなリズムで"とドラムがリズムを刻んで、その上にベースが乗っかり、さらに歌メロが重なって、"この隙間を埋めるギターはどういうのがいいだろう"と自分なりに弾いて、その時点で楽曲の9割が完成しました。その後、構成を含めてブラッシュアップして生まれたのが「Spiral」だったんです。