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INTERVIEW

DARK TRANQUILLITY

2024.08.13UPDATE

2024年08月号掲載

DARK TRANQUILLITY

Member:Martin Brändström(Key/Syn)

Interviewer:菅谷 透 Translator:川原 真理子

-本作にもJens Bogrenがミキシングとマスタリングで参加しています。Jensは『Construct』(2013年リリースの10thアルバム)以降の全アルバムに関与しており、前作のインタビュー(※2020年12月号掲載)でMikael Stanneは彼を"分かってくれる人"と評していましたが、プロデュースを担当する立場として彼の仕事ぶりをどのように評価していますか?

プロデューサーとしては、作品のクオリティを最後にチェックするのにJensのような人がいてくれてとても感謝している。彼はまさにプロフェッショナルだ。Jensがやるといつだって素晴らしいサウンドになる。と同時に、アルバムのミキシングのやり方は山ほどあるし、僕たちが素晴らしいと思う方法を見つけるために、彼はとても辛抱強くやってくれている。Mikaelが言ったことには同感だね。彼は本当に僕たちの音楽を分かってくれているよ。何を引き出して現実の形にすればいいかをちゃんと分かっている。だから、僕たちは彼と一緒にずっとやってきたんだ。最初の彼との仕事にすごく満足したからだよ。

-Track.1「Shivers And Voids」は前作のメロディックな流れを汲みつつ攻撃的な側面も見せる、アルバムの導入に相応しい楽曲です。アルバムの曲順の意図やこの楽曲について詳しく教えていただけますか?

この曲を完成させるまでにしばらく時間がかかったんだ。明確なアイディアがあることを曲自体に示してもらいたいと思っていたけど、できあがってみると、君が言ったようにメロディと攻撃性という2つの面を兼ね備えていることが分かった。馴染みがあるけれども、同時に新しさもある。でも、そこまでチャレンジしていない。だからこれを1曲目に持ってきたんだ。僕からすると、これは歓迎の曲だね。"さぁ、座ってくれ。これからもっと曲が聴けるから、リラックスして"みたいな感じなんだ。

-Track.2「Unforgivable」は7thアルバム『Character』(2005年リリース)の頃を思い出すような強烈なファスト・チューンですが、この曲についても伺えますか?

これはアルバムの中で速めの曲で、僕たちの曲のそっちの側面をよく表していると思う。Joakimはとてもテクニカルなドラマーだから、こういう曲を作っても彼ならきっちりやってくれる確信が僕たちにはあった。それでそうして、できるだけアグレッシヴにやってみたんだ。こういうタイプの曲をまたやれてとても良かったよ。でも、僕たちが思う2024年のファスト・チューンにしようとも思ったんだ。ちょっとモダンにしたかったんだよ。でも、君には同感だ。たしかに『Character』のDNAが入っているね。

-すでにライヴでも披露していますね。

そうだよ。最初はちょっとナーヴァスだったけどね。あまりにも速い曲だから。でも、結果は良かった。やれたよ!

-ファンの反応はいかがでしょう?

これまでに3曲公開したけど、今ライヴではこれをすべてやっている。どれも、反応はとてもいいよ。みんなすでに曲を自分のものにしているんで、まるで長年プレイしてきた曲のように思えるんだ。みんな楽しんでくれたようだから、嬉しいよ。

-Track.3「Neuronal Fire」は荘厳な光が降り注ぐようなポジティヴな印象があり、いい意味でバンドのイメージとギャップを感じるような楽曲でした。この曲についても伺えますか?

それは正しいと思う。この曲はマイナー・コードではなくメジャー・コードで始まるから。メジャー・コードのほうがいつだって開放的だし、軽やかな気持ちになる。と同時にメランコリーなものもあるんで、メジャー・コードがいいコントラストになることがあるんだ。メランコリーは必ずしも悲しみではない。異なる感情のメランコリーというものもあるからね。そして、「Neuronal Fire」にはそれがあると思う。山あり谷ありだよ。最初はアップリフティングなメジャー・コードだけど、それからは感情の浮き沈みが激しい。曲の終わりのコーダでは、何度もコーラスをやる代わりにしばらく感情の余韻に浸るんだ。

-Track.6「One Of Us Is Gone」は生のストリングスをフィーチャーした壮大な楽曲になっています。ストリングスが参加するのは初めてではないかと思うのですが、アレンジの経緯や楽曲に込めた想いについて伺えますか?

今回は生のストリングスを入れたかったんだ。この曲はFredrikについてだし、彼と一緒に作った曲だったから、僕たちにとってとても重要なものだったんだよ。ストリングスを入れたいと思うと、僕としては本物のストリングスを入れたくなったんで、イェーテボリ交響楽団に連絡して、チェロ奏者に会ったんだ。彼は僕が望むアレンジを理解してくれて、ストリング・カルテットを組んでくれたから、僕たちはそれをレコーディングしたんだよ。僕たちが生のストリングスをフィーチャーしたのは今回が初めてだった。あれは超エキサイティングだったよ。自分たちの曲をあれほどの腕前のミュージシャンがプレイするのを目の当たりにするのは、とてもエキサイティングなことだったな。素晴らしかった。素晴らしい体験だったよ。

-Track.10「Wayward Eyes」ではレトロな音色のシンセ・リード等、80年代メタルのヴァイブスが感じられて非常にユニークだったのですが、この曲についても伺えますか?

僕はいろんな時代のキーボードに手を出すのが好きなんだ。シンセ・オタクなんで、いつも古いアナログ・シンセを使っている。そっちのほうが音がいいと思っているんでね。この曲はちょっと変わっている。コーラスには繰り返されるメロディ・ラインがあるけど、この曲はそこから始まったんだ。そこをシンセで弾いているんだけど、それを追求したかったんだよ。

-ちなみに、あのシンセ・リードではどのシンセサイザーを使ったのですか?

Minimoogだ。

-本物のアナログのMinimoogですか?

そうだよ。僕は古いアナログ・シンセをたくさん持っているんだ。長年の間にオタクになってしまった。本物のシンセだと、チューニングをしないといけない。きちんと向き合わないといけないんだ。しかも、意図していたこととは違うことが起こる場合がままあって、そこから別の道に進むことができたりする。ツマミを回していると、そういうことが起こり得る。だから僕はシンセサイザーが大好きなんだ。

-ソフト・シンセは使わないのですか?

使わない。ピアノで使うことはたまにあるけどね。あれは難しいから。前作では僕が持っている130年前の古いピアノを使ったけど、調律すると壊れるかもしれないということで、やってもらえなかったんだ。それで今回はピアノ用のソフトを使ったんだよ。古いピアノはAnderssonというスウェーデンの小さなメーカーが作ったものでね、僕が8歳のときに母親が買ってくれたんで、僕はそれで始めた。だから思い入れのあるピアノなんだ。調律してもらえるかもしれないから、そうしたらまた使いたいね。

-前作『Moment』のリリース時にはストリーミング・コンサートを実施されていましたが、ライヴへ行くことが難しい時期に配信という形で体験することができて、心の支えになったのを覚えています。ぜひ次は生で観たいところですが、日本へ来る計画はあるのでしょうか?

日本にはぜひともまた行きたいと思っているんだ。行くチャンスを常に狙っているんだよ。今話をしているところだけど、実現することを願っているよ。前回の来日は2015年だったんで、もう9年も経っている。"LOUD PARK"に出たんだけど、ずいぶん間が空いてしまったんで、日本にはまた行かないといけないね。すごく楽しみにしているんだ。日本に行くのは他の国とは全く異なる体験だから、新しいメンバーもいの一番に"日本に行くの?"と言っていた。彼らも行きたがっているんだ。もちろん僕たちもね! だから近い将来実現することを願っているよ。

-すでに日程が出ているツアーはあるのですか?

来年の春にはかなりツアーをすることになる。今はフェスティバルに出ていて、"Summer Breeze Open Air"に出演する日にアルバムがリリースされるんだ。アルバムがリリースされる真夜中にプレイするんだよ。ステージに上がるときはアルバムはまだ出ていなくて、ステージを降りるときにはアルバムが出ているから、一大イベントにしようと思っている。その後はAMORPHISとのアメリカ・ツアーがあるし、ヨーロッパに戻って2週間のオフの後に、今度はヨーロッパでMOONSPELLと一緒に回る("Endtime Signals Tour")。だから12月までほぼずっとツアーだね。でもその後はさっきも言ったように、日本にまた行けたらと思っているよ。

-ぜひお待ちしています! 最後に、日本のファンへメッセージをお願いします。

長年僕たちを聴いてくれてどうもありがとう! 日本がすごく恋しいよ! 僕がバンドに入って最初に行った国が日本で、超エキサイティングだったな。だからまた行けるのをとても楽しみにしているよ。そして、ニュー・アルバムとシングルを楽しんでくれ。