INTERVIEW
FROM ASHES TO NEW
2024.06.14UPDATE
Member:Matt Brandyberry(Rap Vo)
Interviewer::菅谷 透 Translator:安江 幸子
音楽のあらゆる側面に対して心をオープンにしておくのは、アーティストとしてとても大事なことだからね
-「Live Before I'm Dead (Hours)」はいかがでしょう。
俺が最初に歌った曲なんだ。あちこちで歌ってはいるけど、フルで1曲歌ったことはなかったからね。
-言われてみればそうですね。
そうなんだよ。だからみんながどう思うか、感想が楽しみだね。これもいつもの俺たちとは違った、グランジ・スタイル寄りのアプローチなんだ。俺には歌の路線が3つくらいあってね。ひとつはこの曲みたいなグランジ寄りのスタイル。それからいわゆる"ダッド・ロック"、つまり2000年代初めのラジオでかかっているようなタイプのロックだね。例えて言えば初期のTHREE DAYS GRACEみたいな感じかな。あと、カントリー・ミュージックも結構うまく歌えるんだ。でも個人的に好きなのは「Live Before I'm Dead (Hours)」みたいなやつだね。あれが俺の好きなスタイルだから、将来的にはもっとやるかもしれないね。
-この曲をあなたが全面的に歌うことになったのはあなた自身のアイディアだったんでしょうか。それともDannyに"これは君の曲だ"と言われた?
実はLance(Dowdle/Gt/Ba)のアイディアだったんだ。彼はもう何年も俺に1曲歌わせようとしていたんだよね。俺はずっと"やりたくねぇよ"と拒み続けてきたけど、この曲ができたときに"お前はこの曲を歌わないといけない"と言われてさ。"この曲こそお前が歌うべき曲なんだ!"なんてね。実際歌ってみたら......今までとはまったく勝手が違った。でもできあがりは誇りに思っているし、みんなにも楽しんでもらえると心から思っているよ。
-今回はあなたも躊躇せず、Dannyが"俺が歌いたい"と言って反対することもなかったと。
なかったね。俺は"Dannyが歌いたかったらどうぞ"という感じだったけど(笑)。ただ、今回はLanceのプッシュが強かったんだ。
-いいサプライズになりますね。ところでコラボ曲としては、「Barely Breathing」でAGAINST THE CURRENTのChrissy Costanza(Vo)をフィーチャーしています。女性ヴォーカルということでオリジナルとはまた異なるドラマが描かれていますが、彼女を起用した理由をうかがえますか?
もともとは男性ヴォーカルをフィーチャーするという話だったけど、俺たちが女性ヴォーカルを起用したいと強くプッシュしたんだ。曲の文脈的にも男女のアーティストに合いそうな感じだったからね。伝統的な恋愛関係における、うまくいかない恋愛の話だから、そうしたいという気持ちが強かった。そうしたらレコード会社が"AGAINST THE CURRENTというバンドにChrissyというヴォーカルがいる"と薦めてくれたんだ。実はそのバンドのことをあまり知らなかったからいくつか作品を聴いてみたら、"おぉ! うまいじゃないか!"と思ったよ。彼女は本当に声がいいんだ。それで彼女に曲を送ったら自分の分を入れて返してくれた。とにかく最高だったよ! 普通フィーチャリングもので相手のが返ってくると"うーん、どうかな......"とか"ここにこう手を入れたほうがいいんじゃないか"と思う箇所があるものだけど、彼女の場合は一発で仕留めてくれた。なんの疑問もなかったね。すぐに完成した感じだった。彼女のおかげで、この曲が本来あるべき姿になったんだと思う。
-彼女の声が加わったことで、ようやく曲が完成した手応えがあるのでしょうか。
そうだね。というか、初めからこういう形のものを俺たちはヴィジョンとして描いていたんだ。ただ、オリジナル版を作ったときには女性のフィーチャリング候補がいなかった。それでふたつバージョンがあるわけだけど、もし初めからChrissyがいたら、こっちのバージョンしか出さなかったと思うよ。こっちが本来あるべき姿だからね。初めからこうあるべきだったんだ。
-オリジナルを作ったときには候補がいなかったんですね。
そう、女性を入れたいという考えだけがあって、特定の女性アーティストを想定していたわけではなかったんだ。
-「Monster In Me (Feat. Yelawolf)」ではYELAWOLFが参加しており、DJのスクラッチも取り入れて彼のキャラクターがよく出たアレンジになっていますが、彼を起用した経緯をうかがえますか?
これもまた、俺が昔から大好きだったアーティストとのコラボだね。前から一緒にやりたいと思っていろいろ画策してきたけどうまくいかなくて、ようやくうまくいったんだ。俺はラップの大ファンで......いや、どんな音楽でも好きだけど、中でもラップがいつも好きリストのトップにあるんだ。彼のスタイルも昔から好きだったよ。人と違うからね。とてもユニークだし。「Monster In Me (Feat. Yelawolf)」は俺に言わせればベスト・ラップ・ソングなんだ。彼がヴァースの中で彼らしさを発揮してくれたことをとても光栄に思っているよ。
-あの曲はあなたの獰猛なラップも聴かせどころですよね。彼のDJがそれをうまく惹き立てていると思います。
そうだね。昔ながらのラップやヒップホップ・スタイルを取り入れているんだ。それがすごくクールだと思うし、曲にもいい感じに馴染んでいると思う。
-「Nightmare (Sullivan King Remix)」は、SULLIVAN KINGによってド派手なEDMナンバーに変貌を遂げていますが、どのような経緯で彼がリミックスを手掛けることになったのでしょうか? また、このトラックを初めて聴いたときはどのような印象を持ちましたか?
第一印象は......とにかくものすごく驚いたね。というのも、実はリミックスが行われていたこと自体知らなかったんだ。
-そうだったんですね!
ああ(笑)。なんの見当もつかなかったよ! ある日突然、たしかマネージメントだったと思うけど"SULLIVAN KINGリミックスができたよ"みたいな感じで送ってきてさ。"え?"、"なんだって?"と思ったよ(苦笑)。すごくクールな話だよ。聴いてみて"なんだこのドープな音は!"と度肝を抜かれたね。何しろ思いもよらなかったことだったし、それに俺は彼の作品の大ファンなんだ。彼がロック・シーンでやっていることもすごくいいなと思っている。たぶん俺の感想を一番良く言い表しているのが"超現実的"という言葉だろうな。フィーチャリング全体に対してね。俺たちが作った曲に彼らが施してくれたものを目の当たりにするのは、本当にいい経験になった。ケーキのトッピングみたいな感じだね。
-SULLIVANにアプローチしたのはマネージメントだったのでしょうか。
いや、レコード会社だったと思うよ。何も教えてくれなかったけどね(笑)。でも蓋を開けてみれば素晴らしかったよ。SULLIVANにはまだ会ったことがないけど、これで今後きっと会えることになると思うしね。彼は俺たちの音楽のファンで、だからこそ手を加えてくれた。いつかは直接対面もして、ライヴか何かで一緒にやりたいね。そうなったらクールだよ! こっちはやる気満々なんだ。彼の参加は今年最大のサプライズのひとつだったね。
-本作に限らず、BLIND CHANNEL(「Xoxo (Feat. From Ashes To New)」)、NO RESOLVE(「Thriller」(Michael Jacksonカバー))、IN FLAMESのAnders Fridén(Vo/「Scars That I'm Hiding」)など様々なアーティストとコラボしているのを目にします。それぞれが違う姿勢で音楽に臨んでいますよね。YELAWOLFやSULLIVAN KINGは、ロックやEDMからヘヴィ・ミュージックへと接近していく、FROM ASHES TO NEWとは似て非なるスタンスのアーティストですが、こうしたアーティストから刺激を受けることはありますか?
俺たち自体があらゆる音楽のブレンドだからね。俺たちの音楽には様々な音楽の要素が入っている。その素晴らしい点は、俺たちが様々なジャンルに身を委ねることができることだけじゃなくて、各ジャンルも俺たちに身を委ねることができるということなんだ。だからあまりに極端すぎるものでなければ、俺たちが取り入れないものはないと思うし、逆もまた真なり、といったところだね。そういう姿勢は心の中にも新しい道を切り拓いてくれるんだ。俺たちが通常あまりやらないようなものに飛び込んでいくというのはね。俺は常に学ぶ姿勢にあるし、いろんな音楽の側面に何が生きるかを見るのが好きなんだ。例えば俺はスムース・ジャズをよく聴くんだ。だからと言って俺たちがスムース・ジャズをやると言うつもりじゃないけどね、それは極端かもしれないから(笑)。でもどんな音楽にも目を閉ざさないようにしているよ。音楽のあらゆる側面に対して心をオープンにしておくのは、アーティストとしてとても大事なことだからね。そうすることによって成長するんだ。だからこそ俺はミュージシャンという生業が大好きだし、これからもこの人生が続く限りやっていくつもりだよ。
-2016年にはONE OK ROCKらと日本でライヴ("ONE THOUSAND MILES TOUR 2016")を行っていますが、あれからずいぶん時間が経ってしまいました。今後来日公演を行うアイディアはあるのでしょうか? また、最後に日本のファンへメッセージをお願いします。
現時点では何も予定がないんだ。ただ、"ぜひ"日本には行きたいと思っているよ。東京でプレイしたのが、おそらく俺にとっては最高の経験だったからね。今日本向けのインタビューをしているから言っているんじゃないよ(笑)? 俺はそれまで飛行機に乗ったことがなかった。初めて乗った飛行機で、カリフォルニアから東京に行ったんだ。初めての飛行機としてはなかなか強烈な経験だった。日本の音楽カルチャーも、あんなのは見たことがなかったね。ファンは......ほら、ONE OK ROCKと一緒だったからさ、そこにいたファンは俺たちが何者かなんて知らなかったんだ。俺たちはとにかくまったく新しい存在だった。でも例えば"Put your hand in the air(手を上げて)"なんて声を掛けると、会場中の人たちが上げてくれる。みんなが音楽のためだけにそこにいてくれるというのがすごいと思った。彼らのライフスタイルを垣間見た瞬間だったね。よくファンのミート&グリートをやるようにと頼まれるんだけど、そこでしばしば"好きなツアー先はどこですか"と聞かれるんだ。Lanceと俺はいつも"東京"と答えているよ。みんな本当に良くしてくれたしね。品川に泊まったんだけど、そこも最高だった。食事も人生最高の部類に入るね。とにかくすべてが素晴らしい経験だったんだ。そうだ、STUDIO COASTも素晴らしい会場だったね。今もあるのかな? え、もうない? それは残念だ......でもきっといろんな素晴らしい会場があるだろうから、早くそっちにまた行きたいと思っているよ!