INTERVIEW
I PREVAIL
2024.01.10UPDATE
Member:Eric Vanlerberghe(Vo) Steve Menoian(Gt)
Interviewer:菅谷 透 Translator:原口 美穂
BRING ME THE HORIZON(以下:BMTH)がキュレートする新フェス"NEX_FEST"にて、I PREVAILが待望の初来日を果たした。2ndアルバム『Trauma』(2019年リリースの2ndアルバム)で大ブレイクを果たして以降、海外では名実共にビッグ・バンドへと成長を遂げていただけに、彼らをついに日本で観られる機会に大興奮した読者も多かったのでは。そんな想いを具現化するかのように、兵庫公演や愛知公演では大盛り上がりの光景がSNSにてシェアされていたが、その熱量はもちろんバンド側にもしっかりと届いていたようだ。幕張公演前日の11月2日にメンバーへ行ったインタビューでは、日本での体験や最新アルバム『True Power』について、さらにI PREVAILがフェスをキュレートするとしたら? といった質問に答えてくれた。
-日本に来るのは今回が初めてだと思いますが、印象はいかがでしょうか?
Eric:すごく気に入ってるよ! 面白い経験ができているし、とても美しい国で、人々はとても親切だし、何よりメタルが好きなことがよくわかった(笑)。BMTHとの最初のショーに出るときは、どういうものになるか全然予想がつかなかった。でも最初の数音を鳴らした時点で、"絶対すぐに戻ってこないと"と思ったんだ――それくらいヤバかったね。
Steve:独自の文化を持っているところが興味深いよね。アジアに来ること自体が初めてなんだけど、文化を体験するのが楽しいよ。またEricが言ったように、その日どういうショーになるかは最初の数音でだいたいわかるんだ。俺たちは最初に激しい曲をプレイするからね。でも日本では、すぐに"これはすごいライヴになるぞ"というのがわかったんだ。それと、ファンのみんなが曲中はとても激しいのに、曲が終わるとすごく静かになるのも面白いね(笑)。俺たちが話すことを熱心に聴いてくれようとしていて、そういう部分もアメリカとは違う文化でクールだよ。
-海外から来たアーティストの方がよく"日本は曲中は激しいけどMCでは静かだ"と言っているのを聞くので、おふたりもそうしたことを体感されたんですね。
Steve:その通りだったね。実はSLAYER(「Raining Blood」のカバー)をプレイする前に、少しセットに落ち着きを与えたいと思って時間を取ろうとしたんだ。でもあまりに静かだから、Ericと"おい、静かすぎるぞ! すぐやろう! 今すぐだ!"って話してたよ(笑)。
Eric:(笑)
Steve:でも素晴らしいことだと思うし、いい経験になったね。
-ちなみに、ライヴ映像では先ほど話に上がったSLAYERの「Raining Blood」や、SYSTEM OF A DOWNの「Chop Suey!」の一節を披露しているのを観ましたが、こうしたカバーはどのような想いからプレイしているのでしょうか?
Eric:俺たちがそうしたバンドのファンだからだね。ファンだからこそ、トリビュートを捧げたいんだ。それに、みんなが予想していないタイミングでカバーをプレイすることも楽しみのひとつだと思う。ファンもそういった曲を知っているし、(「Raining Blood」の)"ダダダン"という音を聴いて"この曲知ってる!"ってエキサイトしてくれるのはライヴにおける楽しい瞬間のひとつだね。
Steve:カバーで意識していることとして、最も知られている曲からは少し外れたものを選ぶようにしているんだ。コアなファンが知っているような、少し想像から外れるであろうものをプレイしているよ。
-すでに日本でのライヴは2公演を終えていますが、オーディエンスの反応はいかがでしたか?
Eric:バンドがショーのオープニング・アクトとして出演するときは、しばしば様子見している観客に戦いを挑んで、ゲームに勝たないといけないような気分になるんだ。でも今回ステージに足を踏み入れ、数音を鳴らしたら、まるで俺たちのヘッドライナー・ショーのように感じたよ。みんなのリアクションや盛り上がりがすごかったし、"なんでもっと早く、数年前に来なかったんだ?"と思ったね(笑)。ヘッドライナー・ツアーで戻ってくるのが楽しみだよ。
Steve:これがインタビューなのはわかってるけど、観てもらいたいビデオがあるんだ。Ericが観客の中に入っていくやつでさ(笑)。
-あぁ、モッシュ・ピットの中に入っていくやつですね(笑)。
Steve:そうそう(笑)。観客みんながEricの周りを回っているんだ。
Eric:こうやって客席に飛び込むことなんて、全然したことがないんだ。今までで数回くらいだよ。本当に特別な夜だったね。
-今回はフェスでの来日ですが、SNSでも"次はヘッドライナー・ツアーで観たい"という声がたくさんありましたよ。
Steve:(※嬉しそうに)ここまでみんなが迎え入れてくれるとは思ってなかったんだ。日本には大きなファン・ベースがあることに気づけたし、この2公演でファンになってくれた人、明日のショーで観てくれる人もいる。だから、きっとまた戻ってこれると信じてるよ。日本にはロックやメタル、ヘヴィ・ミュージックの素晴らしいマーケットがあることもわかったから、すごく楽しみだ。
-嬉しいお言葉ありがとうございます。ちなみに、ライヴ以外で何か日本で体験したことはありましたか?
Eric:大阪では少し時間があったから、食べ物を楽しんだり軽く散策したりしたんだ。時差ボケもあって大変だったけど、大阪の街を見ることができて素晴らしかったね。
Steve:大阪ではステーキハウスで和牛に挑戦したんだ。行った店が個室で、靴を脱いで上がるようなところだったんだけど、和牛がテーブルの上に並べられていて、日本らしい経験ができて良かったね。まるで口の中で溶けるようだったよ(笑)!
-日本を楽しむことができたようで良かったです。さて、今回はBMTHのフェスに出演する形での来日となりましたが、彼らとはどのような関係なのでしょうか?
Steve:俺たちは昔から彼らのファンだよ。Brian(Burkheiser/Vo)とBMTHのJordan Fish(Key)が話すようになって、コンタクトを取り合っていたんだ。
Eric:ドイツの"Rock am Ring"ってフェスで共演したことがあってね。
Steve:ツアーを一緒にやろうという話もあったけど、コロナ禍の影響もあってなかなか実現しなかったんだ。彼らのことはずっと大好きだし、境界線を押し広げていて、枠を超えた音楽を作っている素晴らしいバンドだと思うよ。彼らのフェスに出演するために初めてアジアに来ることができたなんて、本当に完璧な機会だよね。
Eric:俺たちとBMTHのファンは共通している部分があると思う。初めて日本に来て、BMTHのファンの前で演奏できたことはすごくラッキーだし、最高の経験だよ。
-BMTHもI PREVAILも、ポップ・ミュージックとヘヴィ・ミュージックを融合させた音楽性ということで共通項があり、シーンの架け橋になるような存在だと思いますが、こうした意見についてはどう思いますか?
Eric:アリガトウ(笑)。俺たちもBMTHのように境界線を広げていくバンドになりたいと常に思っているんだ。例えば25年くらい前には、LIMP BIZKIT、LINKIN PARK、SLIPKNOTのようにラップやヒップホップとヘヴィ・メタルをモダンなやり方で融合させた、ニューメタルと呼ばれる人たちがいたよね。今の時代では俺たちやBMTH、FALLING IN REVERSE、BAD OMENSのようなバンドが、さらにモダンなプロダクションや、モダンなメタルを取り入れて、より新しいサウンドを作っていると思う。コロナの影響で世界が止まってしまったあと、こういったバンドが境界線を広げ、新しいものを作り、クリエイティヴな活動をしているのは興味深いよね。
-今回はBMTHの主催フェスへの参加となりましたが、I PREVAILとして今回のようなフェスを主催するとしたらどんなイベントにしたいですか?
Eric:面白い質問だね(笑)。今回と少し似たような感じで、様々なジャンルのバンドのミックスになると思う。日本のバンドも呼びたいね――Paledusk、Crossfaithとか、なかなか観るチャンスのないバンドを呼んでみたいよ。俺のワガママだけど(笑)。
Steve:俺はEDMとクロスオーバーしたフェスにしたいね。俺たちはILLENIUMってアーティストと「Feel Something」(2020年リリース)という曲でコラボしたことがあって、シカゴで彼のショーをサポートしたんだ。すごく良かったよ。
Eric:俺たちが唯一のメタル・バンドだったけどね(笑)。あとはみんなエレクトロニック系で。メタルとEDMが混ざったフェスもクールだね。
-クラブ・ミュージック系のステージ、メタル系のステージという感じで分けるのも面白そうですね。
Steve:たしかに(笑)。でもKAYZOとかSullivan Kingとか、ロックとEDMを完全に融合したアーティストもいるからね。
-彼らはEDMからのロックへのアプローチという感じで、また異なっていて面白いですよね。
Steve:その通りだね。