INTERVIEW
Morfonica
2023.12.05UPDATE
2023年12月号掲載
Member:進藤 あまね(倉田 ましろ/Vo) 西尾 夕香(広町 七深/Ba)
Interviewer:米沢 彰
メンバーにヴァイオリンを擁し、華やかに魅せる"BanG Dream!(バンドリ!)"発のガールズ・バンド Morfonicaがミニ・アルバム『forte』をリリース。"強く"を意味する音楽記号、"フォルテ"を冠し、メンバーそれぞれをテーマとした楽曲で構成された今作を中心に、これまでの歩みと今後の活動に関して、倉田ましろ役の進藤あまねと広町七深役の西尾夕香のふたりに訊いた。
-激ロックとしては初のインタビューとなりますので、まずはバンドの成り立ちやコンセプトなどをおうかがいできますでしょうか?
進藤:私たちMorfonicaは"バンドリ! ガールズバンドパーティ!(ガルパ)"というゲームから生まれた、"変わりたい"という意思を持った子たちが組んだバンドで、変身を意味する"メタモルフォーゼ"という言葉と、クラシカルなイメージを表現する「シンフォニック」をかけて、"Morfonica"という名前になっています。
西尾:バンドのコンテンツって他にもいろいろあると思うんですけど、ヴァイオリンが入ってるコンテンツ系のバンドはあんまりいないのかなと思うので、ちょっと新しく思っていただけるといいなって思っています。
-ミニ・アルバム『forte』のリリースおめでとうございます。前作が1stアルバム『QUINTET』で今年の3月のリリースとなりますので、9ヶ月ほどでの作品発表となりますね。この間の活動について教えていただけますでしょうか?
進藤:夏ぐらいから秋にかけて、アルバムを引っ提げたツアー("Morfonica ZEPP TOUR 2023「forte」")をやらせていただいたんですけど、そういえばリリースしたの3月なんですね。その間、"BUSHIROAD ROCK FESTIVAL 2023"というイベントに出て"ラブライブ!スーパースター!!"のLiella!さんとコラボさせていただいて、すごく新しい経験をさせていただいたなと思いましたし、"ラブライブ!"のファンの方々もMorfonicaを観てくださってすごく嬉しかった思い出があります。そのあとに"BilibiliWorld 2023"っていう上海のイベントにツアー中に行かせてもらえたんですけど、それが規模的にも、文化的にもすごく大きくて。Morfonicaは始まってすぐコロナ禍に入ってしまって思ったように活動ができなかったので、初めて海外にみんなで行けて、上海で知っていただけるきっかけを貰えたのはありがたいなと思いました。そのうえ、"アニサマ(Animelo Summer Live 2023 -AXEL-)"にも出させていただいて。昨年の夏に"Morfonication(アニメ「BanG Dream! Morfonication」)"という2話のアニメをやらせていただいて、それをきっかけに"アニサマ"にも出させていただいて、すごく嬉しかったです。ずっと"アニサマ"が好きで行ってて、いつか立ちたいねって言ってたところにツアーと同時期に行けたので、ツアーの宣伝にもなったんじゃないかなって。そしてツアー・ファイナルでミニ・アルバムを発表できたので、この1年を通してアルバムとバンドの宣伝がすごくいい感じにできたんじゃないかなって思います。
-改めて今年は本当に密度が濃いですよね。
進藤:今年が一番ライヴの本数やってるんじゃないかなって。初めて海外でやったっていうのもあるし、フェス形式のイベントにもすごくたくさん出演させていただいて、2月にもフェス形式のアニメ系イベント("オダイバ!!超次元音楽祭 -ヨコハマからハッピーバレンタインフェス2023-")に出させていただいて、いろんな場所、いろんなタイミングでMorfonicaを知ってもらえるきっかけになったし、最新のツアーの羽田(Zepp Haneda(TOKYO))では完売という結果も出せて、それがすごく成長を感じるところだったんじゃないかなと思います。
-ほかにも多くのアーティストが出ているイベントだと、いろんな思いとか、考えることもあったりするんじゃないかなと思うのですが、実際はいかがでしたか?
進藤:セトリはすごく考えて、"このグループが好きな人に刺さるかな"とか、"アニサマ"は"AXEL"ということでロックな感じだったので、"え? Morfonicaこんなに激しいの何曲もやったの?"とかX(Twitter)で言っていただけているのを見たりもして。そういうところに気づいてもらえたのが嬉しかったですね。この間TikTokでAyasa(八潮瑠唯/Vn)さんの動画がバズってて、そこにライヴとかイベントで観た方が"Morfonicaのヴァイオリンの方だ、イベントで観た"って言ってくださっていたりして、"あぁ、知ってもらうきっかけになったんだな"って思ってすごく嬉しかったです。
西尾:セトリはこだわるところではありつつ、「Daylight -デイライト- 」(2020年リリースの1stシングル表題曲)という最初の曲が一番知られている曲にはなるんですけど、この間の"ヴァイスシュヴァルツ15周年記念ライブ"ではこの曲をやらなかったんですよね。そうやって激攻めな感じでやったりもして。Morfonicaを最初のころにどこかで見て、"ふーん"ってそのまま終わったっていう人もいっぱいいると思うので、こういうところで再会したときに"こんな曲調もやってるの?"、"ちょっともう1回聴いてみようかな?"と考えてもらえる入り口にもなったんじゃないかなと思うので、良かったですね。
-Morfonicaは2020年の3月に満を持して発表されたのに、すぐに世間はコロナ一色になってライヴもできなくなって、大事なデビュー・タイミングで大きく狂わされたというふうに感じる部分もあるのですが、ご自身ではどういった感覚でしたか?
進藤:結構やられたなぁって思ってますね。倉田ましろはすごく暗い子でネガティヴなんですけど、そういうキャラクター性がゲームをやってる人にしか気づいてもらえないっていうのが一番つらかった気がします。明るくて華やかな曲もあるけど、やっぱり暗い曲調がほかの"バンドリ!"のバンドにはない面で、今回は今までで一番暗い曲調になってるんですけど、そういう幅の広さとか、キャラクターひとりひとりの個性も強いので、それをもっと知ってもらいたかったなって。お披露目ライヴ("Morfonica Debut Event「Prelude」")も中止になってしまったし、一番大きかったのは、ベルーナドームでの"BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020"ができなくて、全開で走り切れなかったのがすごく悔しいなって今でも思いますね。
西尾:"ガルパ"の3周年でMorfonicaっていう新しいバンドが出ます、この人たちですって CMも流れていたんですけど、お披露目ライヴがなくなって5ヶ月ぐらい先のお披露目になってしまって。それまで"君たちはいったいどういう人たちなんだ!?"という状況が続いてしまって、その最中でもコンテンツとしてバラエティのようなYouTube番組を撮って公開したりとか、こんな感じで練習していますっていう動画を公開したりはして、そのときできる最善を尽くしたものの、華やかにデビューしてアクセル全開で行くことはできなかったので、そこはちょっと悔しかったです。
-そのぶん、その期間中に大きく成長できたという面もあったりはしますか?
進藤:コロナ禍のなかでもかなり練習ができたのは大きかったですね。ヴォーカルの先生はすごくお忙しい方で、いつもマンツーマンでやっているんですけど、そのころは1~2週間に1回はできていて。それも毎回スタッフさん含めて消毒とか換気とかも徹底して、おかげですごくいっぱい練習できました。全体練習もかなりやっていたんですけど、それもあってお披露目したときに、スタッフさんたちに"音の揃ってる感じがすごくいい"って言っていただけて。本来のお披露目のときのレベルが5だったとしたら、最終的には20ぐらいにしてみなさんの前でお披露目できたので、それはすごく嬉しかったですね。
-ライヴをやれるようになって、ご自身のプレイや表現にフィードバックされていると思う部分はあったりしますでしょうか?
西尾:少し違うんですが、広町七深というキャラクターは最初のほうは目立たないように頑張るっていうキャラだったので、ライヴでも目立たないようにあんまり大きい動きはしないようにして、プレイに徹しようってやってて。そのあと、ゲーム内のストーリーでちょっと吹っ切れるというか、全開でやりますって言ってからはいっぱい動くように考えだして。成長というか、きっかけがあってからの変化ではあるんですけど、大きく動いたりいろいろパフォーマンスを増やすぞって思ってからは、弾くだけじゃなくてパフォーマンスをこれくらいやりたいから弾くのをこれぐらいの意識にしよう、みたいな配分とかも考えるようになりましたね。
進藤:ライヴをやるなかで自分のコントロールがだんだんできるようになってきたかなって。あとは、当初は歌の技術がわかっていなかったので、ライヴで先輩やスタッフさんに見てもらったりしていただいた言葉だったり、ファンの方からいただいた言葉だったりを生かせるようになったっていうのが、いいなって思える変化ですね。
-今作『forte』の話をうかがえればと思います。全5曲でそれぞれがメンバーのひとりひとりに焦点を当てた完全新規書き下ろし曲となっていますが、おふたりのキャラクターがテーマになった曲と、どういった内容が描かれているかについてうかがえますでしょうか?
西尾:広町七深は「わたしまちがいさがし」という曲です。簡単に言うと天才なので人より苦労なくなんでもできちゃったりとか、感覚も普通の人とは違っていて、そこで孤独を感じてしまったという子なんですけど、まさにその本人の心情が描かれていて。最後のほうに"最初に背中を向けたのは、本当はどっちからだったんだっけ...?"という台詞があって、そう言われて気づかされて、さっきお伝えした全力を出して頑張るという話に繋がってくるんですけど、そこに至るまでの心情を描いた曲になっています。
-冒頭からベースがフィーチャーされていて、曲全体でベースが目立つような曲になっていますが、自分の曲っていう感覚ってあったりしますか?
西尾:自分の曲とまでは行かないのですが、Morfonicaの曲って基本的に歌始まりかヴァイオリン始まりが多くて。ベース始まりはカバーでやった曲があるぐらいで、オリジナルではやったことないかな、という感じなので、そういう意味では広町さんがモチーフなんだっていうのは感じますよね。ベースがめちゃくちゃ常に動いてるなーっていう曲です。
-最初に聴いたとき、ベースが大変そうな曲だと思って。
西尾:音の動いているレベルが尋常じゃなくて。他の曲も特殊なコード進行がたくさん出てくるので、とても覚えるのが難しいです。
進藤:さすがエレガ(Elements Garden)さんって感じだよね。
西尾:しかも5曲とも作曲の方が違っていて、みなさん力を入れて作ってくださったんだろうなぁという感じがします。