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INTERVIEW

The DUST'N'BONEZ

2023.11.08UPDATE

2023年11月号掲載

The DUST'N'BONEZ

Member:nao(Vo) 戸城 憲夫(Ba) 坂下 丈朋(Gt) 満園 英二(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

-例えば、実質的なタイトル・チューンである「THOUSAND ROCK'N'ROLL」と、先ほども少し話題に挙がった「DOWN」ではまったくギターの音像が違いますものね。

坂下:そうなんですよ。使ってる機材も、弾き方も違うし、フレーズも違うわけですからね。自然と空気感もまったく変わってくるんです。もちろん、最終的なジャッジをするのは憲夫ですしね。憲夫は作曲者であって、ベーシストでもあるし、プロデューサーでもあるから、実質うちのBob Ezrin(※KISSなどを手掛けた超大御所プロデューサー)みたいな存在なんです。

-懐かしい名前が出てきましたね!

戸城:今日は出てくる名前がほぼ70年代だな(笑)。

坂下:でも、世代感で言うと俺と憲夫では微妙に違ったりするんだけどね。たぶん、憲夫はTHE ROLLING STONESのギターって言ったら真っ先に"Mick Taylor!"って言うでしょ?

満園:Ritchie Blackmoreって言ったら、俺と丈ちゃんはRAINBOWだけど、戸城さんはDEEP PURPLEってことだよね。

戸城:そうだね。そこの違いはある。

-世代的な感覚の違いという面でいくと、naoさんとはさらに捉え方が異なってくるわけですよね。

満園:Bob Ezrinとか知らないでしょ?

nao:あんまりピンと来てないです(笑)。3人の言ってることがわかんないまま、わかるフリをしてることも時々ありますね。

坂下:いや、だけどnaoちゃんはそこがいいんだよ。受け止め方とかセンスとか、メンバーそれぞれで微妙に違ってて、だからこそThe DUST'N'BONEZの音になってるところってあると思うな。

戸城:それに、naoは俺の思ってる通り......いや、思ってる以上の歌を歌ってくれるからね。いいものが作れればそれでいいんですよ。

-しかも、naoさんは今回アルバム全曲の作詞までされている大活躍ぶりです。

nao:まずはデモとして曲を貰って、そこから2ヶ月くらいは詞のことばっかり考えてましたね。僕は並行して首振りDollsっていうバンドもやってるんですけど、今回はちょうどそっちのレコーディングも重なってたんで、2ヶ月で20曲ぶんくらいの歌詞を書いたことになります(笑)。

-それはさぞ大変だったことでしょう。お疲れ様でございました。

nao:でも、今回の『1000のロックンロール』は戸城さんから"コンセプト・アルバムっぽくしたい"と言ってくれてたので、そこがヒントになって書けた歌詞が結構あったんですよ。曲順が決まった段階でストーリーができてるところもあったし、戸城さんがどんなことを考えてその曲を作ったのかという話も聞けたんで、そういうのはすごく参考になりました。自分でゼロから作るわけじゃなかったんで書きやすかったんです。「The Golden Age」の詞も、これはMOTT THE HOOPLEの歌詞から引用して書いてます。

-「The Golden Age Of Rock 'n' Roll」のことですね。

戸城:MOTT THE HOOPLEも、私はかなり影響を受けてるんでねぇ。まさに「ロックン・ロール黄金時代」はほんと大好き。

-その幕開けを受けて、2曲目として響き出すのは実質的な表題曲「THOUSAND ROCK'N'ROLL」です。こちらは絵に描いたようなロックンロール・チューンで、その痛快さに痺れます。

戸城:こういう曲を作るのは昔から得意なんだよ。でも、この曲は昔より頭使って作ってるね。そして、ベースラインがすごくカッコいい(笑)。

-たしかに。それに、「THOUSAND ROCK'N'ROLL」はギター・ソロも素敵ですよ。

坂下:あぁ、あれは音色をMOTT THE HOOPLEっぽくしたんです。あと、この曲ではプリンセス プリンセスの加奈(中山加奈子)ちゃんにギターを借りて録りました。

戸城:あれはJohnny Thundersモデルなんだよね。

-ドラマー的に「THOUSAND ROCK'N'ROLL」で心掛けられたのは、どのようなことでしたか?

満園:この曲はライヴでやってたから、その経験も生かしながらのレコーディングではありました。とはいえ、ロックンロール曲のレコーディングってこれまでもいろいろしてきてるわけでね。これをどう音源として収めようか、という点ではちょっと考えたところもあります。結果的には、ちょうどいいところに収まって良かったですよ。

-naoさんは「THOUSAND ROCK'N'ROLL」の歌詞についても、戸城さんから何かしらのヒントはいただけていたのですか?

nao:それが何もなかったんですよ、これは。しかも、これだけキャッチーなサビの歌詞というものを書くこと自体が自分にとっては珍しいことだったので、メロディの持ってる明るさや優しさを生かしながら、それとはちょっと裏腹な哀愁と切なさみたいなものも表現するとなると、この曲で自分はどんな言葉を歌えばいいんだ? っていうことはめちゃくちゃ悩みましたね。その結果、戸城さんとか丈朋さん、英二さんがずっと長いキャリアで音楽をやってきたなかで、そこにはずっとファンの人たちの関係性があったんだろうな、ということを歌詞にしちゃいました。自分の場合はあとからこのバンドに入ったこともあって、最初の頃とかは自分もステージにいるのに、どこか傍からThe DUST'N'BONEZのことを見てたような時期もあったんですよ。この詞は、その経験があったからこそ書けたものなんじゃないかと思います。

-では、歌う側として見た「THOUSAND ROCK'N'ROLL」とはnaoさんにとって、どのような特性を持つ楽曲になるのでしょう。

nao:ロックをずっとやってきたので、自分は声を歪ませて歌うことを得意として生きてきたつもりだったんですよ。でも、今回は「THOUSAND ROCK'N'ROLL」もそうだったし、わりときれいな声で歌うことが多くて、それが新鮮だったし楽しかったです。でも、キーは僕にぴったり合った曲を作ってくれてますし、とても歌いやすいんですよね。そのうえで自分では開けたことのない引き出しを戸城さんがバンバン開けてくれました(笑)。

戸城:そこは前作のときよりも、上手くいった部分だね。あの頃はまだnaoのことを理解してきれてなかったし、首振りDollsのプロデュースもやったけど、今回は曲も自分で書いてるわけだからよりnaoの一番いいところを引き出せたと思います。

nao:マジで今回は限界突破しました。アルバム最後に入ってる「空色」なんて、戸城さんから"Janis Joplinみたいに歌ってくれ"って言われて、"俺、男だけどそんなふうに歌えるかな?"って不安でしたもん。やってみたら意外とそれっぽくいけたんですけど、"ここまで出るんや!"って自分でも驚きでした。

坂下:いやー、あの歌はほんとにすごいよね!

戸城:「空色」が最後っていうのは曲順的にもこだわったところで、あれは「MONKEY」で終わったと思わせておいて......っていう流れがポイントなんですよ。

-「MONKEY」はZIGGYのカバーであり、ずっとThe DUST'N'BONEZのライヴで演奏されてきた曲なのだそうですね。

戸城:これまでのライヴでは「MONKEY」と、「空色」のあの頭の部分までは流れとしていつもやってたんだよね。今回はその続きを作ろうと思って、ちゃんと1曲として「空色」を完成させたんですよ。

坂下:だから、その2曲は使ってるギターも一緒です。

満園:「空色」もドラムは"最近、他ではなかなか聴かないなぁ"っていう音になってるので、そこをぜひ聴いてください(笑)。

-そのほかにも今作にはその名の通りにブギーのテイストが生かされた「Bremen Boogie」、ノスタルジーを感じる「Rock 'n Roll Radio」、粋なタイトルと70年代ディスコ的なノリが楽しい「ロマン非行」などなど、聴き応えのある楽曲たちがふんだんに詰め込まれています。生粋のロックンロール・アルバムに仕上がっているとは言えど、一方では彩り豊かなアソート感もあってこのアルバムは飽きさせない造りが素敵ですね。

戸城:俺はロック小僧でもあったけど、女にモテたいディスコ小僧でもあったらかね(笑)。曲作りにはそういう経験も生かしてるわけです。

坂下:ダンス曲繋がりなのかわかんないけど、なぜか「ロマン非行」にはMichael Jacksonの「Beat It」でギターを弾いてたSteve Lukather(TOTO)のフレーズをオマージュしたカッティング・フレーズも憲夫の意向で入れてますね(笑)。

-つくづく、今作『1000のロックンロール』にはみなさんの音楽愛が濃厚に詰まっているのですね。

戸城:手前味噌で申し訳ないけど、これは相当いいアルバムになりましたよ。

-今作のリリース直後からはツアー"The DUST'N'BONEZ Newアルバム発売記念!『1000のロックンロール』"も始まります。最後に、ライヴに向けての展望もぜひお聞かせくださいませ。

戸城:前からやってるのは「THOUSAND ROCK'N'ROLL」と「Darling」と「MONKEY」くらいだから、ツアーはどうなってくだろうね。あ、でもアルバムから全曲やるわけではないよ?

-だとすると、各人はどの曲を特にやりたいと思っておられます?

坂下:どれだろう? 俺は「カナリア」かな。

満園:俺は「MONKEY」と「空色」。

nao:僕は「Rock 'n Roll Radio」ですね。これ、歌いやすくて好きなんです。

戸城:俺はどれもやりたいよ。まぁでも、曲によってはもうひとりギターがいないとっていうのもあるからな。そのへんも考慮しつつだけど、何しろ俺の予定ではこの『1000のロックンロール』でThe DUST'N'BONEZは人気爆発する予定だからさ!

坂下:その言葉、毎回アルバム出すたびに言ってない??

満園:でも、たしかに今回は爆発してもおかしくはない気はしますよ。

nao:全体的にわかりやすさはありますよね。自分自身もそこを意識して詞を書いたところがあったし。

戸城:だろ? ってことは、もしこれで人気爆発しなかったとしたら、それはもう時代が悪いってことだな(笑)。