INTERVIEW
Galundo Tenvulance
2023.08.24UPDATE
2023年09月号掲載
Member:MARCHO(Vo) ASUKUN(Gt) DERA(Gt) GLUE(Ba) KEN(Key)
2020年9月、ギタリスト ASUKUNを中心に結成されたシンフォニック/メロディック・デス・メタル・バンド、Galundo Tenvulance。そこから約3年、このたびSPIRITUAL BEASTよりデビュー・アルバム『Lunar Eclipture』をリリースし、9月2日に本作のレコ発ライヴ[Galundo Tenvulance 1st Full-album "LUNAR ECLIPTURE" Release Show]を控える彼らに、メール・インタビューを実施した。
-激ロック初登場ということでグループ結成の経緯を教えてください。
ASUKUN:2020年9月に僕がDERA、KEN、CHIAKI(ex-Vo)を誘ってデモ音源を制作し始めたのが始まりです。完成した1stシングル「Genesis」(2020年リリース)は自身の曲ながら今まで聴いたことがないパワーを感じ、これで終わらせるのはもったいないと思ってバンド活動を本格始動させることとなりました。
-おひとりずつの自己紹介もお願いします。
MARCHO:作詞とヴォーカルを担当しています。以前は2013年から2015年までメタルコア・バンド Volcanic Eruptionのヴォーカルとして活動し、解散後は不定期にthe Art of Mankindのライヴ・サポートをしていました。the Art of MankindのライヴでASUKUNに声を掛けられたことをきっかけに2022年にGalundo Tenvulanceに加入しました。
ASUKUN:メイン・コンポーザー兼リズム・ギターを担当しています。2017年からソロ・プロジェクトにて音源制作を中心に活動してきました。2020年に結成したGalundo Tenvulanceが初のオリジナルでのバンドになります。
DERA:リード・ギターを担当しています。2018年にメタルコア・バンド ONE LAST STANDに加入し、都内を中心に精力的にライヴ活動、その後2020年にGalundo Tenvulanceを結成して現在に至ります。Galundo Tenvulanceが始動するまではメタルコア/ハードコア界隈を中心に活動していたため、メロディック・デス・メタルのみにとらわれないフレージングや、アグレッシヴなライヴ・パフォーマンスに自信があります。
GLUE:ベース担当で、今作では一部作曲も務めました。2008年からライヴハウスやスタジオ・セッションで、ジャンルにとらわれない演奏活動を積極的に行ってきました。スラッシュ・メタルから民族音楽まで、多岐にわたるバンド活動やライヴ/セッションで得た経験を生かしバンドの低音を支えています。
KEN:キーボードとオーケストレーションを担当しています。Galundo Tenvulanceの他にブラック・メタル・バンドのGalga Falmulにキーボードとして所属し、シンフォニック・ブラッケンド・デス・メタル・プロジェクト Zeminenceを主催しています。
-Galundo Tenvulanceの音楽性について教えてください。
MARCHO:メロディック・デス・メタルを主軸にしつつ、各メンバーの好きな別ジャンルの要素を破綻しないギリギリまで詰め込んだバランスが魅力だと思います。
ASUKUN:メロデス~デスラッシュ由来の攻撃的なリフをベースにしながらも、オーケストレーションとブレイクダウンを多用した荘厳な世界観が特徴です。異質な要素の組み合わせがカオティックな印象を与えるかもしれませんが、それもバンドの狙いのひとつです。
DERA:ギター・ソロに関しては、メロデスらしいハーモニーやネオクラシカル的な要素を基調としつつも、ペンタトニックで弾き倒すロックなフレーズや飛び道具的なサウンドも駆使した、バラエティ豊かな構成が特徴です。
GLUE:シンフォニックやデスの要素であったり、ブレイクダウンなどのメタルコア的アプローチもあるものの、根底にはしっかりメロディアスさがあるのが何よりの強みと感じています。
KEN:オーケストレーションは、メロデスのリフとメロディに準じつつ、それにとらわれないオーケストラ音を入れるようにしてます。往来のメロデス・ファンにも、変わり種を求めてる方にも楽しめるサウンドが特徴です。
-特に影響を受けたアーティストを教えて下さい。
MARCHO:ヴォーカル・フローはTrevor Strnad(THE BLACK DAHLIA MURDER)から、発声はHoward Jones(LIGHT THE TORCH/ex-KILLSWITCH ENGAGE)から特に強い影響を受けています。
ASUKUN:リフワークはMORS PRINCIPIUM EST、THE BLACK DAHLIA MURDERといったメロデス・バンドからの影響が強いです。最近になってからのKREATORやNO RETURN など、メロデス色が強いスラッシュ・メタル・バンドからもインスピレーションを受けています。
DERA:CHILDREN OF BODOMのAlexi Laihoから非常に強い影響を受けました。今作にも多々登場するスウィープ奏法やペンタトニックといったフレーズも彼からの影響ですが、Jason Richardsonをはじめとした近年のギター・ヒーローからの影響も強く、それらをよりモダンな内容へと昇華させられたと思っています。
GLUE:このバンドに参加する際は、フレーズや音色の傾向を再考するために、もとより聴き込んでいたTHE BLACK DAHLIA MURDERやCARRION VAELをかなり参考にしました。単純な好みで言えばBilly Sheehan(MR. BIG)の影響がとにかく大きいので、このバンドにも上手く落とし込めないか検討しています。
KEN:シンフォニック要素のあるメタル・バンド全般に影響を受けている自負があります。最近であれば、ギリシャのシンフォニック・デス・メタル・バンド SEPTICFLESHからの影響は大きいです。彼らが多用する、メロディ・ラインをなぞるだけではない効果的なオーケストレーションを参考にしてます。
-SPIRITUAL BEASTからのデビューおめでとうございます。今の心境はいかがですか?
MARCHO:加入と同時に制作もスタートしていたので実感を得るまで少し間があったのですが、できあがったフィジカルを見て込み上げるものがありました。もしタイムスリップできるなら、10年前の自分に"お前の青春まだ続いてるぞ"って伝えたいですね。
ASUKUN:メンバー脱退があったこともあって、SPIRITUAL BEASTに最初のコンタクトを取ってから2年越しのリリースとなるので感慨深いです。この2年間常に全力でサポートしていただいており、感謝しかありません。
DERA:ギターキッズだった頃、CDショップの棚に並んでいた逆五芒星のロゴを見て、漠然と憧れを抱いていたレーベルからリリースできることを光栄に思っています。また、結成直後から山あり谷ありだった我々のような駆け出しバンドを手厚くサポートしてくださり、感謝しています。
GLUE:加入が決まった直後に今回の件が動き始めたので、当初は本当に驚きました。今作のリリースが決まるまで紆余曲折ありましたが、ここまで辿り着けたことに安堵しています。ただ、今こそ本当のスタートだと思うので、気を抜かず活動に尽力していきたいと思います。
KEN:結成して3年近くが経ち、EPを2枚リリースしてからの1stアルバムのリリースなので、喜びもひとしおです。まさか自分たちがこんな有名なレーベルから出させてもらえるとはと、今でも信じられません。
-今作『Lunar Eclipture』のテーマやコンセプトを教えてください。
ASUKUN:アートワークに描かれている邪神 クレサリスと月蝕を崇拝する物語がテーマであり、その内容はTrack.2「Crescharis」の歌詞でも表現しています。シンフォニックなバンドなのでどうしても西洋的な印象を与えがちですが、あくまでも日本のバンドなのでキリスト教的な世界観に寄りすぎたくない思いがありました。その手段のひとつとしてクトゥルフ神話のような邪教をテーマにしています。
-『Lunar Eclipture』の制作にあたって聴きどころや、特に苦労したポイントはありますか?
MARCHO:Track.10「Therefore I Am」のサビ前の詰め込みフレーズは、思いついたのはいいものの再現が非常に難しくて大変でした。かなりのリテイクを重ねたおかげで満足できるフローになったと思います。
ASUKUN:短期間で制作したので、似たり寄ったりな曲調にならないよう気をつけました。リフこそ僕の好み全開なので同系統のものがいくつかありますが、曲構成に関してはすべて別々になるよう意識して作られています。
DERA:曲ごとのギター・ソロには違ったキャラクター性を持たせつつも、アルバムを通して一貫性を感じさせるフレージングが聴きどころです。また、僕自身は泣きのギター主体で押し通したい派なのですが、メイン・コンポーザーであるASUKUNからはシュレッド主体で弾き倒してほしいという要望が強かったため、その折衷案を模索するのが特に苦労したポイントです。
GLUE:ベーシスト的にはギターとオーケストラ、どちらに寄せるか考えながらフレーズを構築していったので、そこに耳を傾けていただけたらと思います。また、この手のジャンルのレコーディングは初体験だったので非常に苦労しました。
KEN:オーケストレーションはいくつもの楽器を重ねるので、それぞれの音色の塩梅に苦労しました。前のEP(2022年リリースの『The Disruptor Descends』)まではわりとずっとオーケストラの音が引っ切りなしに鳴ってる状態だったのですが、今回は引くところは引いて、盛れるところは盛るようにメリハリを重視しました。また曲によってはオーケストラの楽器以外の音も入れたりと、一辺倒にならないよう工夫しました。ですがあくまでメインの音はオーケストラなので、そこを楽しんで聴いていただけると幸いです。
-1曲目「Red Raven」はMVもあります。撮影での思い出や見どころを教えてください。
MARCHO:翌日に全身が筋肉痛になるほどの全身全霊のパフォーマンスで挑みました! 躍動感のある髪の毛にHeavy Metal Spiritを感じてください。
ASUKUN:撮影での思い出は、スモークが全然拡散されなくてみんなで扇ぎまくったことですかね。大の大人がめちゃくちゃ滑稽でした。見どころは暴れ倒してるメンバー各位じゃないでしょうか。MARCHOとGLUEの躍動感に注目です。
DERA:特にテーマやストーリー性といったものはなく、ライヴさながらに暴れ倒しているところが見どころです。ライヴさながらのパフォーマンスを何本も撮り直したため、テイクを重ねるごとにメンバーの動きが緩慢になっていったところは苦い思い出かもしれません。
GLUE:ほぼすべてのカットに写っていたので、ひたすら動いていたのが体力的にかなりキツかったです。それが隠れてなければ嬉しいので、ぜひ実際に観て確かめてみてください!
KEN:4月初旬の夕方からの撮影だったのですが、夜になるにつれ徐々に寒くなり、全員震えていたのが印象的でした。ただ、この苦労は僕も含めメンバー全員にとって忘れられない、思い出に残る撮影になったと思います。
-現体制で改めてライヴをしてみたい場所はありますか? 具体的な場所や、音楽シーンでも構いません。
MARCHO:メロディック・デス・メタルが好きでメロディック・デス・メタルをやってるのですが、他のメタル・サブジャンルももちろん好きですし、ハードコア・パンクやヒップホップなど他にも好きなジャンルはたくさんあるので、いろんなプレイヤーと交流を深めて、ライヴハウスをもっと楽しい場所にしていきたいです。
ASUKUN:純粋に東京以外の地方都市でライヴしてみたいですね。名古屋や大阪のバンドとの対バンも憧れますし、大学時代は大阪に住んでいたので、あの頃通ったライヴハウスに自分のバンドで出られる機会に恵まれたら素晴らしいと思います。
DERA:僕はメンバーの中で唯一茨城在住なので、地元 茨城のライヴハウスに凱旋してみたいですね。都心だけにとどまらず、ローカルなシーンにも我々の音楽を届けたいと思っています。
GLUE:個人的なことですが、沖縄と北海道ではライヴをしたことがないので、このバンドで行けたら面白そうだと思っています。
KEN:これは願望なのですが、アジアの同じようなメロデス・バンドと対バンしたい気持ちが強いです。僕たちの音楽性として日本の歌謡曲に影響受けてる部分が多々あるので、この音楽性でアジアで通用するのか試したいところです。
-ライヴやツアー、リリースなど、予定されている活動はありますか?
ASUKUN:9月2日にSHINJUKU ANTIKNOCKにてレコ発企画[Galundo Tenvulance 1st Full-album "LUNAR ECLIPTURE" Release Show]、10月29日に SHINJUKU ANTIKNOCKにて"UMEME FEST vol.5"に出演予定です。またリリース時期は未定ですが、2ndフル・アルバムを制作中です。今までになかった要素も加わってよりパワーアップしている予定ので、ぜひ楽しみに待っていてください。
-今後の展望や目標とする場所はありますか?
ASUKUN:抽象的にはなってしまいますが、今後はさらに海外リスナーにアプローチしていきたいですね。現状でもYouTubeのコメントやメールで海外から意見をいただくことが多く、僕たちの音楽が刺さる層がまだまだたくさんいると思うので、ワールドワイドに広めていけたらと思います。
-最後に激ロック読者にメッセージをお願いします。
ASUKUN:このたびはGalundo Tenvulanceに興味を持っていただきありがとうございます。シンフォニックでモダンなメロデスという独自なスタイルではありますが、日本のエクストリーム・メタルを盛り上げていけるよう頑張っていきますので、ご声援のほどよろしくお願いします。2ndアルバムも期待してお待ちいただければと思います。
RELEASE INFORMATION
Galundo Tenvulance
DEBUT ALBUM
『Lunar Eclipture』
IUCP-16363/¥2,828(税込)
[SPIRITUAL BEAST]
NOW ON SALE!!
- 1