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INTERVIEW

LETITOUT-lelia-

2022.08.05UPDATE

2022年08月号掲載

LETITOUT-lelia-

Member:MINAHO(Gt/Vo) KANA(Gt/Cho) MOMO(Ba/Cho) NARUMI(Dr/Vo)

Interviewer:杉江 由紀

育ち盛りな彼女たちは、まさにバンド名に託された"Let it out=限界なく内にあるものを吐き出していく"というその志を、ここに2nd EP『TASTE'EM ALL』として具現化してみせることになった。宮崎県出身のハイブリッド・ガールズ・ロック・バンド LETITOUT-lelia-は、このたび"今の自分たちにとっての「カッコいい」を全部出そうと思って"今作の制作に臨んだというだけあり、内容はアレもコレもソレも含めた様々なものが一気に棚卸しされたかのごとき多彩な内容となっているのが大きな特徴だと言えよう。ラウドでカオスなものから、爽快感とみずみずしさに満ちたものまで、全7曲のコース仕立てとなった今作をみなさまどうぞ召し上がれ。


リアルタイムでメンバー4人の思う"カッコいい"を、そのまま音にしてみたんです


-このたび、1st EP『L』(2021年リリース)に次ぐLETITOUT-lelia-の最新EP『TASTE'EM ALL』がここに完成したわけですが、聴かせていただいた印象としましては、音楽性の面でかなりの進化を遂げられているように感じております。少し極端な言い方をするならば、コンピレーション・アルバムなのかな? と思うくらいに各曲の色合いが多彩な仕上がりです。

KANA:たしかに、今回は前の『L』以上にいろんなタイプの曲が入った作品になってるかもしれないですね。

-これだけバリエーションに富んだ曲たちがここに揃ったというのは、バンドとして意図的に狙ってのことだったのですか? それとも、意識せず自然とこのような形に?

MINAHO:自然とです。意識はしてませんでしたし、そのスタンス自体は前作『L』のときと変わってません。ただ、前作のときは1stということもあって、まずはあの時点で自分たちの持っているものや、溜めてきたものをすべていったんあの1枚に詰め込んでおこう、という気持ちで作ったものではあったんですよ。その点、今回の『TASTE'EM ALL』はリアルタイムでメンバー4人の思う"カッコいい"をそのまま音にしてみよう、というのが基本的なコンセプトだったんですね。当然、そうなるとひとりひとりにとっての"カッコいい"は違ってきたりもするので、結果的に今回は前回以上にいろいろなものが揃っていくことになった感じなんですよ。

-なるほど、そういうことでしたか。ちなみに、今回の7曲はどのようなプロセスでエントリーされていくことになったのでしょう。

KANA:この7曲に絞り込まれたのは最後の最後だったんですよ。

MINAHO:作り始めの段階だと15曲くらい? 結構曲数あったもんね。

-つまり、今作『TASTE'EM ALL』はかなりの選抜チームなわけですね。その中においては、シード権を持っていた曲というのもあったりしたのでしょうか?

MINAHO:ありました。1曲目に入れた「if」は今回最初にできた曲だったんですけど、これはほんとにすんなりできたうえに、当初からすごく手応えのある曲でしたね。重くてクセのあるガツンとしたタイプの曲が欲しかったので、まさに自分たちの求めていた通りのものができたことが嬉しかったです。

KANA:この「if」がEPの軸としてドーンとあるんだったら、あとはもう自由になんでもやれちゃうな! という気持ちにもなれたよね(笑)。

-「if」を作曲されているのはMINAHOさんですが、曲の中で"重さ"を強調していくために取られた方策はどのようなものでしたか。

MINAHO:ただ重いだけじゃなく、クセのある纏わりつくような粘着性を出していくように心掛けましたね。全体的な雰囲気としては"どよーん"としていながらも、そこにはちょっと微妙で複雑なハーモニーも混在しているみたいな曲にしていきたかったんです。

-たしかに、この「if」はラウドロックの激しさとオルタナティヴ・ロックの渾沌とした空気感が融合したような音像を持った曲だと感じます。前作『L』のリード・チューンがポップでキュートなイメージの「Love Letter」であったことを思うと、今回「if」がEPの1曲目でありリード・チューンとなっている事実は、なかなかにインパクトが強いですね。

KANA:LETITOUT-lelia-に対して、前の「Love Letter」のときのイメージが強いという人は「if」を聴くとちょっと驚くかもしれません(笑)。でも、私たちとしてはむしろそこが狙いだったんですよ。

MOMO:もちろん、どの曲も自信を持って作っていますけど、この「if」を作っていくときも"これが今の自分たちの思うカッコ良さなんだ!"という気持ちが明確にありました。そして、私たち4人にとってはそれぞれにとっての好きな音楽がいろいろとあったりするなかで、ここに詰まっているものって全員の根底にあるんじゃないかな? ということを、この曲を作っていく過程では改めて感じましたね。

-なお、そんな「if」のサウンドに漂う重さと粘着性に関しては、特にリズム隊の貢献によるところが大きいように感じます。

NARUMI:「if」では、その粘り気を出していくためにドラムの音数は意図的にかなり減らしました。普段とは違う慣れないことだったんで、すごい難しかったです。音数を減らしたぶん、どれだけひとつの音を長く聴かせることができるか? というアプローチをする必要があったんですよ。そのあたりはほんとにめっちゃ考えました。

MOMO:ベース・ラインに関しては、音数そのものはいつもとそんなに変わってないと思うんですけど、MINAHOから言われた"音に粘着性が欲しい"という言葉を音にするにはどうしたらいいんだろう? って、自分なりに弾き方や音作りをいろいろと何パターンも実際に試してみました。その結果としてできたのが今の形なんです。今のLETITOUT-lelia-として最大限のカッコ良さを追求した粘り気がこれ、ってことですね(笑)。

-「if」を完成させたことにより、リズム隊であるNARUMIさんとMOMOさんが得られたことがあったとすると、それはなんだったでしょう。

NARUMI:今後に向けて、音を減らすことで曲をカッコ良くしていくというやり方はまた別の曲でもやってみたいなと思いました。ミドル・テンポの曲だからこそできるシンバルの使い方とかも含めて、さらなる可能性を感じることができました。

MINAHO:これまでのNARUMIは、基本的に"前好き"な転がるタイプのドラマーだとずっと思ってたんですよね。だけど、今回「if」をプレイしてる姿とかできた音からは少し溜めた感じの"後ろノリ"なプレイもこんなに上手かったんだな、という新しい発見をすることができたのも面白かったです。いい意味でほんと驚きました(笑)。

MOMO:レコーディングのとき、私もその"後ろノリ"な感じは聴いててすごく気持ち良かったです。今までと全然違ったから、すごく新鮮でもありましたね。

KANA:とにかく、リズム隊のふたりがいい感じに粘ってくれたことでこの曲は予想以上にカッコいいものに仕上がったと思います。

-そうしたリズム隊の作ってくれた土台を前提に、ギタリストであるKANAさんが「if」の中で特に留意されたのはどのようなことでした?

KANA:粘り気の部分はリズム隊が充分に醸し出してくれているので、ギターはそこに乗っかっていくような感じでしたね。ただ、そのまま乗っかるだけだとつまらないので、チョーキングを使いながら絶妙な音程を出していくようにしたんです。この曲の持っている曖昧でカオスな部分を、音を揺らすことで表現していきました。

MINAHO:チョーキングは相当こだわってたよね。やりすぎると気持ち悪くなっちゃう場合もあるから、ここの部分だけは音の幅を狭めようとか、今回はだいぶ時間をかけて細かく作っていってました。

KANA:わりとMINAHOとユニゾンをしてるところも多いから、そこはふたりでも結構話し合ったもんね。今回は今まで以上にいっぱい話し合ったかもしれないです。

MINAHO:ユニゾンして音を重ねたほうが基本的に重さは出しやすいしね。だから、最初はベースも込みで全部ユニゾンで作っていたんですけど、ずっとそれだけだと面白くないよねということで、部分的にはセクションの終わりとか、あえて全員が別のフレーズを弾くように途中からアレンジを変えたところもありました。やっぱり全体的にギリギリなところを攻めたなという感じはあるんですよ。

-先ほどMINAHOさんは"やりすぎると気持ち悪くなっちゃう"という発言をされていましたけれど、この「if」はどちらかというとギリギリでセーフな音ではなく、ギリギリで気持ち悪い方向に傾いているところが素晴らしいと感じますよ。詞の内容を考えても、この曲はそうあるべきですもの。

一同:(笑)

MINAHO:なんか気持ち悪いんだけどカッコいいっていう、紙一重なところは上手く表現できたかなと思います(笑)。

MOMO:あとは、MINAHOとNARUMIのツイン・ヴォーカルもこの曲の持っている気持ち悪いんだけどカッコいいっていう特徴を、より高めているのかなと私は感じてますね。特にハモりの部分がいいんですよ。

MINAHO:あのハモりは、最初わりと普通に3度ハモりで全部やろうと思ってたんです。だけど、途中でサビ以外は4度ハモりに変えたんですね。それによって、気持ち悪いところと気持ちいい部分を行ったり来たりと、はっきりと描き分けることができました。

NARUMI:(無言で深く頷く)