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INTERVIEW

The DUST'N'BONEZ

2022.05.18UPDATE

The DUST'N'BONEZ

Member:nao(Vo) 戸城 憲夫(Ba) 坂下 丈朋(Gt) 満園 英二(Dr)

Interviewer:山口 哲生

大音量の中でこそ見えてくるもの、感じられるかっこ良さがあって――それをずっと追い続けている


-満園さんとしては、今回のアルバムの制作はいかがでした? どんどん曲ができていったとのことでしたけども。

満園:今のダスボンも、前のダスボンも、THE SLUT BANKSで叩いていた時期もあったけど、戸城さんって、始まると始まっちゃうんだよ。だからプリプロを重ねていってどうなるかなっていう盛り上がりがあったのと、個人的にはあんまり頭を使わずに、とにかく大きい音をたくさん叩きたいのはすごくあった。リハでもベースの音がとにかくすごくうるさいんですよ。それに合わせてドラムを叩くんだけど、やっぱりそういう音量じゃないと表現できないものがあるんですよね。それがまたやれるのは嬉しかったし、そういう感じで毎曲盛り上がって、それがアルバムに繋がっていて。すごく楽しかったです。できればすぐに次のアルバムを作りたいぐらい。

-頭を使わないというのは、考えすぎないようにしたということでしょうか。

満園:考えすぎないようにしようというよりも、どちらかというと、考えずにやれるのが重要なんですよ。もちろんよりカッコ良くするため、しっくりくるために考えるけど、とにかくベースの音がクソデカいから。

nao:"うるさい"とか"クソデカい"とか(笑)。

満園:だって曲作りしてるのにヴォーカルが聴こえないんだから(笑)! 曲を作っているのに、"ギターの音を大きくしてくれ"っていうリクエストがベーシストから行くっていう。

戸城:そこはやっぱ、それこそそうじゃないと生まれないものは絶対にあるからね。

満園:そう! ホントそうなんですよ。

戸城:Jimi Hendrixも、みんながみんなバカみたいにデカい音を出していなかったら、あのギターを弾けなかったと思うしね。そこで自分もトランス状態になって、あんなギターが弾けたような気もするんだよ。だから、ああいう時代のロックをやりたいんだよ、常に。

満園:戸城さんとやるとなると、スネアのチューニングを上げないといけないし、スティックも違うのを持っていくし、テンポの解釈とかもいろいろあるし。そういうのがたまらなく楽しいんですよ。大音量の中で乗り切っていくコツみたいなものもあるし、大音量の中でこそ見えてくるもの、感じられるかっこ良さみたいなものがあって、それをずっと追い続けていて。アルバムで言ったらもう10枚以上は一緒にやっているから、またそれがやれるっていうのはいいですよね。

坂下:ただ、大音量なところもあるけど、実は意外とすごく繊細だから。曲作りにおいても、リフ・マスターというか。憲夫はギタリストでもあるから、僕は毎回一緒にやるときには気の利いたギターを弾こうとするんだけど、そこはなかなか課題というか、"お前もっと考えてこいよ!"って言われながらやっていて(笑)。でも、それに応えるのが楽しみになっているし、憲夫の曲をみんなで良くしていく作業が毎回楽しいし。だけどまぁ、意外と繊細よ?

戸城:意外とね(笑)。

坂下:ちゃんと音楽的だし、爆音でバーン! って鳴らして、俺はロックだぜ! っていうだけでもないし。すごくよく考えられてる。

戸城:別にね、5度コードだけ鳴らしているわけじゃないから(笑)。

坂下:そうそうそう(笑)。よく聴くと、曲の骨組みもアレンジも、びっくりするぐらいすごく凝っているし。だから、毎回新鮮な気持ちでやれて、ほんと幸せです。

-音もいろいろ重ねられていたりとか。

坂下:あ、でも今回はそんなにやってない。以前はすごくやってたけどね。下手したら、1曲でギター7本とか8本とか。

戸城:その安心感はやめようと思って。曲を作るにあたって、やっぱり俺はAEROSMITHの『Rocks』がカッコいいと思ったんだよなと思って、改めて聴くと、全然無駄なものがなかったんです。

坂下:スカスカだよね。

戸城:うん。ガンズ(GUNS N' ROSES)の『Appetite(Appetite For Destruction)』)を聴いても、ほぼ裸っていうか。

坂下:リハーサルをそのままレコーディングしたみたいな。

戸城:あのテンション感を表現したいなっていうのがちょっとあった。

-過剰に重ねるわけではなく、とはいえ必要なものは入れつつ。

戸城:そうそう。ガツンとくるみたいな感じにしたかった。

-音を重ねるというところでいうと、「RUN AWAY」は勢い良く疾走していきつつ、アウトロでは様々な音が一気に出て迫ってくる形になっていて。

戸城:あの曲は、俺が子供の頃にロックを聴いて覚えたテンション感みたいなものを、ちょっと表現したかったんだよね。だから、無理矢理シングルコイルみたいなギターでやったんだけど。

坂下:最初ね。ベーシックのギターの音は。

戸城:それは正解かどうかわからなかったけどね(笑)。もっと太い音でもかっこ良かったのかもしれないんだけど、あえてあの感じ。で、アウトロはもうTHE BEATLESの「A Day In The Life」だよ(笑)。ああいうのをサンプリングしてもらって、ちょっとカオスな感じで終わりたいなっていう。

-「RHYTHM」の途中に入っている"nyanyanya"というコーラスも印象的でした。あれはボコーダーとかで声を変えていますか?

戸城:いや、あれは女の子に歌ってもらった。最初のドラムの感じもそうだけど、あの曲は、1972年~73年ぐらいの感じでやりたくて。あのコーラスも、俺の思うグラム・ロックとか、グリッター・ロックみたいな感じ。

-naoさんは、様々なタイプの曲を歌っていくにあたって、難しかった曲はありました?

nao:「sad rainy」が難しいんですよ。歌ってみないとわかんないと思うんですけど、サビの音を全然捕まえられなくて。転調するし、リフがそれまでとまたちょっと別の感じだから、歌のラインがどこなのかわからなくなるんですよね(笑)。もう慣れたけど、最初にリハスタでやり始めた頃、まだキーとか変えながらやってみたりしてたときは、さらにまたわけがわからなくなって。どうしたらいいんだろうってなった覚えがあります。

戸城:俺、音楽理論ってよくわかってないんだけど、リフからAメロから何から何まで転調だらけで。それをまとめられたから、俺すごくね? って感じではあった(笑)。

nao:そうなんすよ。すごいんすよ。もうわけわかんなくて(笑)。

-みなさんで詰めていくなかで、化けた曲ってありましたか?

戸城:俺は「junkie」かな。あれはかっこ良く仕上がったなと思う。歌も最高にいいし、演奏もすごくいい。

nao:ファンキーな感じで。

-naoさんのシェイカーもいいですね。

nao:いい感じにできたと思います。

-満園さんはいかがです? "こんなふうになったんだ!?"みたいな、面白さのあった曲というと。

満園:驚いたのは、「Search and Destroy」で、ドラムとベースがある日突然ごっそりなくなるっていう、すげぇ大胆なアレンジがされていて(笑)。

戸城:リズムを録ったあとにアレンジ変えちゃったからね(笑)。

満園:あれは"化けた"というか、たまげた。

坂下:こういうふうにするなら、最初からそうやって叩くのにっていう。

満園:そうだよ(笑)。こっちは止まるつもりで叩いてないから、いきなりいなくなっちゃった感じになってて。

戸城:そのときは思いつかなかったから(笑)。

満園:でも、この曲に限らずですが、ここからまたライヴ・アレンジしていきますから。The DUST'N'BONEZはライヴ・バンドなんで。どの曲も、大きい音で何も考えずに楽しくただ叩くっていう感じだったから、何も思い残すことはないんですが、個人的には「モノクロ」とかのリズムが好きです。あと「Addictions」は、自分のハイハット・ワークに驚きます。うまい、うますぎるって。

坂下:ホントか(笑)?

満園:イントロとかね、こんなにうまいと思わなかった。緊張感がありつつも、一定の独特のグルーヴで。

坂下:英二は人の良さがレコーディングにすげぇ出るんですよ。

満園:基本ね、こう見えてもアンサンブルの男なので。戸城さんの音がクソデカいと言っていますけど、全員の演奏で押せるバンドだし、それを、年を重ねるごとに思うのでこのメンバーでしか出せない音ができているなと感じます。だから、さっきからしつこく言ってますけど、できるだけたくさんのライヴをやって、早くアルバムを作りたい。アンサンブルを磨き続けるのが、バンドの使命なので。

坂下:あと、鍵盤とかが入る曲はさ、ベーシックを録ってるときはどうなるかわかんないから、結構びっくりするよね? 最初はこんなに地味でいいの? って思うんだけど、完成形はもう憲夫の頭の中にあるから。

戸城:まぁ、そこはざっくり言うぐらいだからね。メロトロンを入れたいとか、ホーンを入れたいとか。

坂下:そうそう。最初からそういう指示はあるんだけど、こうなったか! って、できあがったときに聴いて感動することは、多々ある。

-特に驚いた曲というと?

坂下:いつもどの曲も驚いてますよ。爆音でガンガンやっているんだけど、一曲一曲すごくクリエイティヴだし、全部意味のあるアレンジだし、憲夫が最終的にここに辿り着くみたいな曲のイメージが決まっていて。そこに向かって、みんなで協力してひとつの曲を作っていくっていう作業は、やっぱり何度やっても楽しいですよね。だから、この曲がというよりは、全体的にいつも、どの曲もびっくりするような感じになります。こういう話じゃダメだった?

戸城:いや、もっとどんどん褒めてください。

坂下:はははは(笑)。褒めてるつもりはないのよ。感想だから。実際に一緒にやっていて、そう思ったっていうだけ。

-naoさんは驚いた曲ってありますか? 例えば、アルバムには「starry street」や「君の街」といったミディアム・ナンバーも収録されていますけど。

nao:長いこと首振りDollsをやってきたけど、作ってもらった曲を歌うっていう経験があんまりないんですよ。だからどの曲も新鮮でしたけど、おっしゃっていたミドル・テンポの曲は、デモを貰ったときから戸城さんらしさをすごく感じて。戸城さんって、ZIGGYの頃から"これは戸城さんの曲だな"ってわかるじゃないですか。その感じが、色褪せずにずっと現役な感じで、新しい曲として目の前に現れたことに感動したというか。戸城さんの曲だ! ってなりましたね。これに俺が歌詞をつけるんだって。

-歌詞も出てきやすかったですか? オケは景色やイメージがすごく浮かびやすいといいますか。

nao:もう本当に。戸城さんの曲って、景色が浮かびやすいですよね。何回も聴いていると、それが自然と見えてきて、それを捕まえていくような感じというか。自分に見えてきた景色に合うような引き出しがあれば、それを引っ張り出すっていうか。だから作詞はそんなに苦労していないんですよ。

-戸城さん的に、naoさんが書いてきた歌詞に関してどんな感想がありました?

戸城:いいと思ったよ。

nao:暗くなかったですか?

戸城:あぁ。「dust bunny」とかは、悲しくねぇか? って思ったけど(笑)。

nao:これ悲しいですね。

満園:ドラマチック。

戸城:この子は病に冒されているのかなぁとかね。

坂下:でも、曲調と歌詞とタイトルがすごく一致してる感じがした。

戸城:そうそう。そこがすごくマッチングしてる。

nao:「dust bunny」は、デモを貰った5時間後ぐらいに歌を入れて送り返してましたね。すぐに歌詞を書いて、すぐに歌を入れて。

-すごいスピード感ですね。

戸城:俺は歌詞の才能が全然ないから、一緒にやる人に文句なんか言ったことないんです。nao君の歌詞は、暗いっていうか、「dust bunny」に関してはマイナーな曲調の感じに合っていて良かったけどね。物悲しい感じで、いいなと思った。なんとなく画が浮かんでくるじゃない?

nao:戸城さんの曲はその画がすごく浮かびやすいです。

-それゆえにすべてのマッチングができているという感じですよね。戸城さんとしては、やはりミディアム・ナンバーも入れたかったと。

戸城:こういうの好きなんだよね。THE BEATLESとかOASISとか。あと、大袈裟なやつが好きなんだよ。本当はオーケストラも入れたいぐらいなんだけど。

-そこもロックの原体験なものとしてあって。

戸城:そうそう。「starry street」なんかは、メロトロン入れたくて作ったところがあるから。

-まさにその音が感傷的な感じを膨らませていて、すごく良くて。

戸城:いいでしょ。俺の中ではあれはJohn Lennonなんだよね。

-ラスト・ナンバーの「君の街」は、それこそOASIS的というか。

戸城:そうそうそう。好きだから入れたくなっちゃうよね、そういうのは。

-本作のレコ発ライヴも決まっていますが、ここから先の展開もいろいろと考えられているんですか?

戸城:需要があれば(笑)。

坂下:供給する(笑)?

戸城:押し売りみたいになっちゃうのも嫌だしね。

-ここから4人で出していく楽しみも現時点でかなりありますか?

戸城:そうだね。もう歳も歳だし長いことできないだろうから、ガツガツしないで、楽しくできりゃいいかなっていうのは正直あるかな。この間もライヴやったんだけど、自分の年齢を考えるの忘れてて、20何曲やって。これといったMCもなく。ヒーヒー言いながら、俺、これいつまでできるんだろうって思ったんだけど。

nao:でも、こう言ってますけど、戸城さんマジで一番元気なんですよ。この前も一緒に飲んでたんですけど、俺が"明日撮影があるから帰ります"って言ったら"本当に帰るの?"って、まだ飲みたそうにしてて。もう2軒行ってるのに。戸城さんすげぇなと思いました。

戸城:次の日、1日無駄にしてるんだけどね(笑)。

nao:でも、一番元気なんで。だから、ゆっくりやるとか全然信用してないです(笑)。ガツガツやるんだろうなと思ってます。